世界初の医療カナビス・スプレー

カナダ、サティベックスを認可

米での治験申請ロビーに前麻薬取締官僚も雇用

Source: NORML
Pub date: 21 April 2005
Subj: Canada Approves First Ever Medical Cannabis Spray
Sativex-Maker Hires Former Drug Czar Deputy Director
Web: http://norml.org/index.cfm?Group_ID=6518


カナダ保健省は、今週、天然のカナビス抽出液を原料にした経口スプレー サティベックス を医薬品として認可した。サティベックスは、多発性硬化症に伴う神経障害性の痛みの治療に使う薬で、医師の処方箋のもとで利用できる。この春の終わりまでにはカナダ市場に登場することが見込まれている。

サティベックスは、イギリスのバイオテクノロジー会社 GW製薬 が開発したもので、医療用に栽培された天然のカナビスから成分を抽出し、THCやカナビジオール(CBD)の他にもテルペノイド(テレピンオイル)やフラボノイド(抗酸化剤)などの成分を正確な量で摂取できるようになっている。

臨床実験 では、プラセボに比較して、多発性硬化症に伴う痛み、筋肉のけいれん、膀胱失禁などさまざまな症状を軽減されることが示されている。

「今回の認証は、天然のカナビス派生医薬品では世界で最初の出来事になります」 とGW製薬のジオフェリー・ガイ最高執行役員は語っている。また、会社では、サティベックスをアメリカ市場に持ち込むために、提携企業のバイエル薬品と協力して、今年の終わりには連邦食品医薬品局(FDA)と治験許可の交渉を開始したいとしている。

さらに、GW製薬では、今後、カナダでも多発性硬化症以外の病気の治療にサティベックスを利用できるように、カナダ保健省に追加認証を求めることを予定している。

最近行われたサティベックスの臨床試験では、プラセボに比較して、ガン患者の痛みを著しく軽減 させるほか、進行した多発性硬化症患者が苦しむ 泌尿器の機能障害 を緩和することも見出されている。

しかし、イギリスでのサティベックスの認証は棚上げされたままになっている。認証にあたるイギリス医薬品医療製品規制局(MHRA)は、昨年の12月に 声明 を発表し、ライセンスを審査にあたっては、多発性効果症の痙縮にサティベックスが軽減効果を持っていることを示すさらなる妥当臨床エビデンスが必要だとしている。

また、GW製薬は、今週、アメリカとの交渉のコンサルタント役として、ホワイトハウス麻薬撲滅対策室の元次官アンドレア・バーサウエル氏を雇用したと発表している。役職当時のバーサウエル氏は、認定患者が天然のカナビスを合法的に利用できるようにする法制化の動きに反対するロビー活動に従事していた。

「サティベックスが利用できるようになれば、国中の患者が天然の無精製な植物を使えるように目論む動きを確実に削ぐことになります」 とロスアンジェルス・タイムスに語っている。

これに対してNORMLのアレン・ピエール事務局長は、「将来、サティベックスがアメリカの患者や医師でも合法的に利用できるようになることは歓迎しますが、そのことを理由に、医師の監督下で患者が逮捕や投獄の恐れなしに天然の医療カナビスを吸えるようにすることまで押さえつけるべきではありません」 と述べている。