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2006年7月13日


カナビノイドが脳腫瘍の成長を止める、人間の臨床研究では史上初の快挙
アラスカ高裁、カナビス再犯罪化法を認めず



●カナビノイドが脳腫瘍の成長を止める、人間の臨床研究では史上初の快挙
2006年7月13日 - スペイン・マドリッド発

カナビノイドの抗ガン作用を調べていた臨床研究で、THCを投与すると人間の再発性多形神経膠芽腫(GBM)の増殖を抑えることが明らかにされた。人間の臨床研究でカナビノイドの抗ガン作用が直接確認されたのは史上初めてのことになる。再発性GBMは、極めて急速に進行する致死性の脳内腫瘍。

この研究を行ったのはスペインのコンプルテンセ大学の研究者たちで、再発性GBMと診断された9人の患者に対して腫瘍内に直接THCを投与した。患者たちは、それ以前に行った手術や放射線療法などの標準的な治療では成果がみられず、明らかに腫瘍が進行していたことが確認されていたが、その後のTHC療法で2人の患者の腫瘍細胞の増殖が抑えられた。

報告書では、患者の生存にTHCがポジティブな影響をもたらしたかどうかについては直接言及していないが、少なくともカナビノイド治療でガンの進行が早まったり、予想余命時間が短くなるようなことはなかった、と結論を書いている。THC投与開始からの患者たちのメディアン生存時間(半数死亡期間)は24週で、2人についてはほぼ1年生存している。GBM患者の典型的な生存余命は診断直後より6〜12ヶ月になっている。

研究者たちは、早期に神経膠芽腫が発見された患者に対してカナビノイドをベースにした治療を行えばさらに好ましい結果が得られるだろうと展望を書いている。

また、人間のGBM細胞を培養した体外実験でも、THCには著しい抗増殖性が見られたと報告している。

「THCの安全性や腫瘍細胞に対する抗増殖性については、この実験の他にもいろいろな研究で確認されているが、将来はこれをベースに、さらにカナビノイドの抗腫瘍性を確かめる研究が行われることになる」 と結論を書いている。

2005年には、サンフランシスコにあるカリフォルニア太平洋医学研究センターでも、人間のGBM細胞株に対する実験で、THCが健康な細胞には影響を与えずに、悪性腫瘍の増殖を選択的に抑制してアポトーシス(細胞の自然死)引き起こした、と 
報告 している。

また、別の研究でも、カナビノイドやエンドカナビノイドがさまざまなガン細胞株で腫瘍の進行を遅らせ、細胞の死を誘発することが示されている。そうしたガン細胞には、乳ガン前立腺ガン結腸ガン皮膚ガン膵臓腺癌 などがある。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "A pilot clinical study of delta-9-tetrahydrocannabinol in patients with recurrent glioblastoma multiforme," appears in the July issue of the British Journal of Cancer. Abstracts of the study are available online at: http://www.nature.com/bjc/journal/v95/n2/abs/6603236a.html.

Additional information on cannabinoids' anti-cancer properties is available in NORML's report, "Cannabinoids as Cancer Hope," online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6814  (

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6947


●アラスカ高裁、カナビス再犯罪化法を認めず
2006年7月13日 - アメリカ・アラスカ州ジュノー発

アラスカ州高等裁判所は、今週、個人の家庭内でのカナビスの少量所持を再犯罪化することを求めた 
新しい州法 の条項を州憲法違反として認めない判決を下した。6月に施行された新しい州法では、少量のカナビス所持を懲役もある刑事犯罪として再犯罪化するとともに、カナビス4オンス以上の所持を重罪と規定している。

この裁判は、先月、アメリカ米国自由人権協会(ACLU)アラスカ支部が訴えていたもので、新しい州法が 「プライバシーの権利を認め、それを犯してはならない」 とする州の憲法のプライバシー条項に違反しているとして、法の執行停止を求めていた。1975年には、アラスカ州最高裁は、ラビンvs州政府 の裁判で、家庭内でのカナビス所持と使用が州憲法のプライバシー条項に含まれるとする裁定を下している。

高等裁判所のパトリシア・コリンズ裁判官は、アラスカ議会には1975年の最高裁判決を覆す権限がないとして、「アラスカ最高裁判所は、個人の家庭内でのカナビス所持を禁止する法律を制定させようとする州政府の権限には憲法上の限界があるとして、一貫して何度もラビン判決を支持してきた。この決定は、最高裁判所が逆の決定をしない限り覆すことはできない」 と述べた。

コリンズ裁判官の裁定は、1オンス以下のカナビス所持を再犯罪化するという部分だけを却下したもので、それ以上の所持の禁止についてはそのまま残された。「アラスカの控訴裁判所では、家庭内での所持の限界量を設定する権限は議会にあると認めており、量の設定についてはラビン判決に矛盾しない」 とその理由を述べている。

また、新法では、1〜4オンスまでのカナビス所持は、最高1年の懲役の軽犯罪として処罰される。

アラスカ州法務長官事務所の弁護士は、控訴裁判所に提訴することになると述べている。しかし、2003年9月の控訴裁判所は、家庭内のカナビス所持が憲法で保証されていると 判決 を下している。これに対して法務長官事務所は再考を求めで上訴したが、2004年にアラスカ州最高裁判所はそれを 却下 している。

新法を強く支持してきたフランク・ムルコフスキー知事(共和)は、カナビスの健康に対するリスクが今日では1975年当時に比べて大きくなっているとして、もはやラビン判決がアラスカでは合わなくなっていると主張している。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, at (202) 483-5500.

Full text of the Superior Court ruling, ACLU et al. v State of Alaska, are online at: http://www.aclu.org/drugpolicy/decrim/26060lgl20060630.html.

Additional information, including an interview with the ACLU's Allen Hopper, is available on the July 12 NORML Audiostash at http://www.normlaudiostash.com/id120.htm

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6948