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2006年7月27日


ヨーロッパ当局、アンチ・カナビスの抗肥満薬を認可
連邦の研究用カナビス独占体制を問う審査が大詰め



●ヨーロッパ当局、アンチ・カナビスの抗肥満薬を認可
2006年7月27日 - フランス・パリ発

ヨーロッパ医薬品管理当局は、カナビノイド・ブロッカーSR141716Aを処方医薬品として認可した。この薬は、抗肥満薬としてサノフィ・アドベンティス製薬から 
アコンプリア(リモナバント) という商品名で販売されることになっている。20mgの錠剤で経口投与する。カナビノイド・ブロッカーは、カナビノイド・レセプターに対するアンタゴニストで、レセプターの機能を無効にする働きがある。カナビノイド・システムのアンタゴニストとしては、人間の使用が認められた史上初の医薬品になる。

アコンプリアは当初イギリスで利用できるようになるが、当面は広く使われる予定はなく、イギリス健康臨床評価機構(NICE)から正式な販売許可を得るまでには2年間のテスト期間が必要とされている。サノフィ・アドベンティスでは、今年中に、デンマークやアイルランド、ドイツ、フィンランド、ノールウエイでも販売を開始したいとしている。

臨床試験では、毎日アコンプリアを投与した被験者は1年間で平均14ポンド(6.4kg)、2年目では2.4ポンド(1kg)の減量に成功している。しかしながら、投与を中断した被験者の場合は、ほとんどが元の体重にもどってしまっている。副作用としては、うつ症状、不安、嘔吐が共通して見られるが、被験者の15%が副作用で使用を中断している。

アコンプリアは食欲を低下させるために、神経情報を介在するCB1レセプターをブロックして、体内で自然に生成される内因性カナビノイドが結合できないようにしている。アコンプリアがTHCのような体外カナビノイドまでブロックするかどうかは不明で、また内因性カナビノイドの体内生成を調整する働きがあるかどうかもわかっていない。

体内のエンドカナビノイド・システムは、食欲 や体温、気分の改善 、血圧 、骨の密度、生殖活動、学習能力、運動神経 などの 基本的な生物機能 の調整に関与しているために、専門家のなかには、アコンプリアを長期間使用していると著しい副作用が出てくるのではないかと懸念する向きもある。

NORMLのアレン・ピエール事務局長は、アコンプリアの認可について、「何十年にもわたる多数の臨床研究や事例研究で、天然のカナビノイドの吸引には安全で際立った治療効果があると報告されてきましたが、それに対して、今回の「アンチ・カナビス」 薬ともいえる医薬品については、長期使用の健康リスクを十分に検証することもなく認めてしまいました。ヨーロッパ当局のやりかたには何とも拙速で偏った感じがします」 と皮肉っている。

サノフィ・アドベンティスは、減量と禁煙抑制薬としてアメリカでも認可を求めている。アメリカ食品医薬品局では今年の2月に許可しない意向を示しているが、会社側は2007年までには認可を得たいとしている。

サノフィ・アドベンティスは販売額世界3位の製薬会社で、ヨーロッパでのアコンプリアの販売額を年間300万ドルと見込んでいる。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6961


●連邦の研究用カナビス独占体制を問う審査が大詰め
2006年7月27日 - アメリカ・ワシントンDC発

現在、臨床研究用のカナビスの生産と配布は連邦薬物乱用研究所(NIDA)によって独占的にコントロールされているが、近々、麻薬取締局(DEA)の法律審査官は、その形態を維持することの妥当性を判断する必要に迫られている。

問題は、アマーストにあるマサチューセッツ大学が、連邦食品医薬品局(FDA)の認可を受けた研究用に自らカナビスを栽培することを麻薬取締局に申請したことに端を発している。麻薬取締局は、
大学からの申請 を不当にも3年間も放置したあげく、2004年になって、「そのような施設をつくることは公共の利益に合致しない」 として正式に 拒絶 してきた。

麻薬取締局の決定に異義を申し立てているのは、サイケデリック研究多分野連盟(MAPS)とマサチューセッツ大学医療植物研究班のライル・クラッカー代表で、昨年開かれた行政審査会 において、独自の栽培施設を設けることは、医薬品の分野で市場の競争を刺激し、技術的・化学的な発展を促進することになり、その点で連邦規制薬物法に示された公共の利益に見合うと主張している。

現在では、カナビスに関して連邦が認可した研究はすべて、連邦薬物乱用研究所と契約した施設で栽培し配布されたカナビスを使うことが義務ずけられているが、マサチューセッツ大学では、食品医薬品局が認めたカナビスの臨床研究用に従来の供給源とは別の独立した施設を確保して、研究者たちにカナビスを提供することを求めている。

最近では、アメリカの研究者の間から、連邦薬物乱用研究所が提供しているカナビスの品質が悪く、臨床研究でカナビスの治療効果の可能性を評価するには不適切だという苦情があがっている。また、カナビスの医療利用の可能性を検証しようとする臨床プロトコルに対して、連邦薬物乱用研究所が前向きに取り組もうとしないことへの批判も寄せられている。2004年には、こうした声に答えて、連邦健康研究所のノラ・ボルコウ代表 も、「カナビスの医療利用を研究することは、連邦薬物乱用研究所の使命ではない」 と述べている。

現行の連邦法のもとでは、たとえ麻薬取締局の審査官が連邦薬物乱用研究所のカナビス独占供給体制に反対する裁定を下しても、麻薬取締局のカレン・タンディ局長にはその決定を覆す権限が残されている。

For more information, please contact either NORML Executive Director Allen St. Pierre or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: (202) 483-5500.

Additional background regarding MAPS' administrative law challenge is available online at: http://www.maps.org

Source:  
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6962