スペイン

カナビス栽培クラブの合法性が確定


ベルギーでも追随の動き

Source: IACM-Bulletin
Pub date: 20 August 2006
Subj: Spain/Belgium: Cannabis clubs in Spain legal, first formation of a club in Belgium
http://www.cannabis-med.org/english/nav/home-bulletin.htm


スペインでは、最近、カナビスを共同で育てるカナビス・クラブが各地に結成されその合法性が問われていたが、バルセロナのあるカタロニア地方と北部のバスク地方の裁判の合法判決に対して、検察側が期限までに控訴せず、判決が確定した。

カナビス・クラブは、集まったメンバーの中から選ばれた一部の人がカナビスの栽培を担当し、利益をのせずに原価で配布する仕組みになっている。栽培場に入場したりカナビスを利用できるのはメンバーに限られている。スペインではカナビスの取引は禁止されているが、個人使用のために所持は認められている。今回の決定で、カナビス・クラブはこの条件に違反していないことが認定されたことになる。

バスク地方の最大都市ビルバオで行われた裁判では、66人で構成されたカナビス・クラブの代表ら4人が違法栽培の罪で起訴されていたが無罪となった。栽培規模は150kgで、乾燥カナビスでは17.4kg相当する。また、メンバーのうち39人は医療目的でクラブに参加していた。

ヨーロッパでドラッグ法の改革を訴えている ENCOD (公正で効果的なドラッグ政策を求めるヨーロッパ同盟)では、スペインのカナビス・クラブ方式が、今後、他の国でもモデルになるのではないかと注目している。最近では、ベルギーでもカナビス栽培者の団体が初めて結成されてたが、ベルギーはスペインと同様に個人使用目的のカナビス所持は合法になっている。

VICTORY FOR ASSOCIATED SPANISH CANNABIS CONSUMERS  August 2006, Spain: No legal trial against cannabis consumers' association

カナビス・コンシューマー・クラブの試み、自らの手でカナビスを正常化  (2006.6)

ヨーロッパの新たな動き 非犯罪化+ カナビス組合  (Tyma News, 06/08/20)

8月、スペイン
ヨーロッパの多くの国では、個人使用目的でのカナビス(カナビス、マリファナなど)の少量所持が非犯罪化されていますが、一方でのその栽培や販売は違法という不自然な状況が生じています。つまり、現状ではエンドユーザーがマリファナを購入する「小売業者」や「生産者」は「密売者」ということになってしまいます。

これに対してまずオランダでは、免許制のコーヒーハウスという制度を設け、エンドユーザー(18才以上)が直接生産者と接触することなくマリファナを購入できるようにしました。これに対して、昨年オランダの20都市の市長が、栽培を含めマリファナを合法化するべきだと訴え、コーヒーハウスの現状が「パン屋にパンを売ることは許しながら、小麦の栽培を禁止するようなもの」であると批判しています。

現在、このコーヒーハウスとは違ったやり方がヨーロッパの複数の国で登場してきていますが、これがカナビスクラブとかカナビス組合と呼ばれるものです。これは完全会員制の生協的な組合で、会員のためだけにマリファナを栽培し、原価で会員に分けるというものです。

昨年10月、スペインのバスク地方にあるカナビスクラブの一つ「Pannagh」が警察の強制捜査を受け、会員と会員の委託を受けた畑の所有者が逮捕され、栽培していたマリファナが没収されました。これに対してバスク州裁判所は今年3月、検察側の訴えを退け、8月2日までに検察側の控訴がなかったために棄却が確定することになりました。

棄却の理由として裁判所では、次の点を挙げてこれが最高裁が認める「共同利用」に当たるとしています。

  • 会員の前歴に問題がない
  • 組合が閉ざされた組織であり、会員以外は利用できない
  • 商業目的ではない

  • これに加え、犯罪組織が薬物の密売を行う場合は活動を秘密にする一方で、この組合は合法的に設立された市民組合組織であり、秘密性がないことも勘案されました。

    Pannaghの会員数は66人で、うち39人が医療目的にカナビスを使用しています。


    EUの考え方は?

    これに先立つ2004年、ヨーロッパ議会のイタリア代表がこのPannaghの問題についてヨーロッパ委員会に質問状を提出していました。質問の要旨は、マリファナの個人使用が非犯罪化され、消費者組合の結成も認められている国において、個人使用を目的に結成された消費者組合に対して法的措置が執れるというのは矛盾しているばかりか、EU法で認められている権利の保障にも抵触するのではないか、というものでした。

    これに対してEU委員会の回答はきわめて明確で、EUには消費と所持に関連する活動を規制する権限はない、というものでした。EU加盟国は、違法薬物の商業売買に関わる活動については、国連条約やEU法に基づいて訴追する義務を負うものの、個人使用の場合はその義務は発生しないということでした。したがって、個人使用目的による栽培については、規制する権限は各加盟国に委ねられるということです。

    現在、このようなカナビス組合の取り組みは今回のスペインの他にスイス、ベルギー、オランダ、デンマーク、ドイツ、ポーランド、チェコ共和国などで盛んに行われています。今後はヨーロッパ20カ国以上に点在するこれらの組織をCannabis Social Clubとして束ねる動きも出てきています。