Weekly News

2006年9月28日


成人のカナビス使用はうつ病を引き起こさない
カナビス経口スプレーが緑内障の眼圧を下げる
カナダ政府、医療カナビス研究への資金拠出を打切り


●成人のカナビス使用はうつ病を引き起こさない
2006年9月28日 - アメリカ・メリーランド州バルチモア発

中毒ジャーナルの10月号に掲載された長期研究の途中結果によると、統計的に、成人のカナビス使用がうつ病の顕著な要因にはならないことが示された。

バルチモアのジョンズホプキンス大学とサンタモニカにある同大学ブルームバーグ公衆衛生学部の研究テームは、過去17年にわたって8759人(29〜37才)の成人うつ病患者に対して、自己申告による過去のカナビス使用歴とうつの関連を調査してきた。

その結果、「補正を加えていないデータで見ると、カナビスを使い続けている人とうつ病の間には強い関連がみられるが、継続している人と中断した人の違いを示すベースラインを注意深く補正すると、完全にはなくならいものの、ほとんど関連性は見られなくなる」 と結論している。

さらに、「この報告書の結果は、カナビス使用とその後に出てきたうつ症状の間に見られる関連が、カナビスの継続使用そのものによるのではなく、カナビスを使う決心とうつの双方に共通して関連する第3の要因が働いている、ことを示唆している」 と加えている。

NORMLの評議委員でもある 
ミッチ・アーリーワイン博士 が共著者となって、昨年の中毒行動ジャーナルに掲載された別の 研究 でも、深刻なうつ病症状やその兆候は、カナビスを使用している成人のほうが、ノンユーザーよりも少ないと報告されている。

報告書には、「うつ病の程度を示すすべてのサブスケールのスコアを比較して見た限りにおいて、カナビスの使用が週1回以下の人では、使用していない人よりも、ポジティブな影響が大きく、落ち込んだ気分や体の不調を訴えることも少ない。こうしたデータは、成人ではカナビス使用しても、うつ病のリスクが増えないことを明確に示している」 と書かれている。

今回発表された研究結果について、アーリーワイン博士は、「この新しいデータは、我々が行った研究よりも、規模、人数、期間においてはるかに上回っていますが、もしカナビスがうつ病を引き起こすのであれば、この研究のデザインモデルによって症状の進行が捕捉され明確に示されていたはずです。しかし、それを支持するものはなかったということになります」 と語っている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Marijuana use and depression among adults: testing for causal association," appears in the October issue of Addiction.

To listen to an interview with Dr. Mitch Earleywine about the study, please download the September 27, 2006 edition of the NORML Audiostash.



Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7059


●カナビス経口スプレーが緑内障の眼圧を下げる
2006年9月28日 - イギリス・オックスフォード発

緑内障ジャーナル10月号に掲載された予備実験の結果によると、天然のカナビス抽出液型舌下スプレーが、緑内障患者の高眼圧を軽減することがわかった。

実験では、6人の高眼圧症や初期の開放隅角緑内障の患者に対して、THC、CBD(カナビジオール)、またはプラセボを無作為単回投与で眼圧を測定して比較を行なっている。眼圧については、高くなると視神経がダメージをうけて緑内障のリスク要因になると考えられている。

「THC5mgを舌下投与後2時間目には、患者の眼圧は、プラセボ投与後に比べて著しく低下し、4時間後にベースラインに戻った」 と報告している。また、CBDの単回投与に関しては、底量(20mg)では眼圧は変化せず、高量(40mg)では逆に上昇した、としている。

カナビスの吸引で一時的に眼圧が低下することは、1971年に行われたカリフォルニア大学ロスアンジェルス校の臨床実験で初めて報告された。

アメリカでは、300万人が緑内障に苦しんでいると推計されている。緑内障は放置しておくと失明につながる恐れがある。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Effect of sublingual application of cannabinoids on intraocular pressure: a pilot study," appears in the October issue of the Journal of Glaucoma.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7060


●カナダ政府、医療カナビス研究への資金拠出を打切り
2006年9月28日 - カナダ・オンタリオ州オッタワ発

今週、カナダ政府関係者が発表したところによると、予算削減により、これまで割り当てられていたカナビス治療関連の臨床研究には、今度、連邦資金が拠出されないことになった。

医療カナビス研究プログラム (MMRP)は1999年に750万ドルの規模で開始されたが、政府の20億ドル削減計画の一端として打切られた。

だが、カナダ保健省が担当している、連邦認定患者向けの医療カナビスの生産・配付監視 プログラム については、少なくとも現在は削減の対象から外されている。しかしながら、保健省が提供するカナビスは品質が悪いと言われており、利用患者は300人に満たないと推計されている。

また、カナビス研究に対する資金拠出を受けた研究といっても、カナビスの治療可能性に関して、慢性痛患者のカナビス喫煙の安全性と効果を検証する 臨床研究 が、唯一、保健省から認可されているに過ぎず、この研究については今後も継続されることになっている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7061