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2007年11月29日


サティベックス、癌の痛みの臨床試験がアメリカで開始
スエーデン、交通ゼロトレランス法の施行でドラッグ検査が10倍に増加
ウイスコンシン州ウォークシャー郡、カナビスを非犯罪化



●サティベックス、癌の痛みの臨床試験がアメリカで開始
2007年11月29日 - アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク発

天然のカナビス抽出液から作った経口スプレー・
サティベックス による進行癌の痛みの治療効果を調べるための臨床試験が北アメリカにある40のメディカルセンターで行われる。アメリカでサティベックスを使った臨床試験が行われるのは今回が初めてのことになる。

5週間にわたる試験では、募集に応募した進行癌患者300人以上を対象に癌の頑固な痛みの補助治療薬としてサティベックスが役に立つかどうかを評価することになっている。

この試験では、癌にともなう痛みにオピオイド・ベースの鎮痛薬では効果がないと診断された患者だけが選ばれている。また、痛みの評価基準には最高11ポイントの数値化スケールを使って、患者からの報告スコアを集め、最後にどの程度改善されたかを調べる。

この研究を率いるは、ニューヨークのベスイスラエル医学センター・鎮痛医薬品&ペインケア部長のラッセル・ポルテノイ博士で、「癌患者の3分の1以上、また進行癌に限れば4分の3以上が慢性的な痛みを抱えています」 と語っている。

「ですが、こうした患者の多くが従来のオピオイド療法では十分な効果が得られないことがこれまで行われた大規模研究で示されているのです。こうしたことから新しい治療法が必要とされていることは明白で、カナビノイド・ベースの医薬品が将来の重要なオプションになるのではと期待されているのです。」

以前に行われた臨床試験 では、サティベックスの投与で癌患者の痛みが著しく改善されたことが報告されている。また、今月の始めに発表されたイギリスの研究でも、多発性硬化症患者に長期間サティベックスを投与した実験で神経因性疼痛が耐性上昇なしに軽減されたと 報告 している。

サティベックスは、2005年5月に多発性硬化症にともなう神経因性疼痛の治療薬としてカナダ保健省から 承認 を受けていたが、今年の8月にも癌の痛みの治療に使う処方医薬品として 認可 されている。また制限付きながら、イギリス と スペイン でも認められている。

サティベックスの製造元であるイギリスのバイオ企業・GW製薬の広報官は、来年中にも臨床実験の結果を得て、2011年までにはアメリカの規制当局から認証を受けたいと話している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org
or visit http://www.gwpharm.com

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7435


●スエーデン、交通ゼロトレランス法の施行でドラッグ検査が10倍に増加
2007年11月29日 - スエーデン・リンショーピン発

交通外傷防止ジャナールの12月号に掲載されたデータによると、スエーデンでは、血液中にいかなる量の規制薬物が検出される状態で自動車を運転することを禁じる法律が施行されてから、警察が薬物検査をするケースが10倍も増加していることが分かった。

データでは、血液検査をうけたドライバーの60%近くがアンフェタミンに陽性反応を示している。また、カナビスについては、20%のドライバーが他の違法ドラッグと一緒に検出されているが、THCだけが陽性となったケースは4%のみだった。

酔っ払い運転の容疑で検査を受けたドライバーで、すべての規制薬物に陰性だった人の割合は15%になっている。

今回の研究では法律の施行後に検査が10倍に増えたと報告しているが、研究者たちは同ジャーナルに掲載された2005年の研究でも、検査を増やしても酔っ払い運転による事故は減らないとする 
報告 を発表している。結論には、「もともと陽性反応を示した人は常習性が高く、ゼロトレランス方式で対処してもスエーデンでは、薬物の影響下での酔っ払い運転を減らしたり違反を防止することには何ら役立っていない」 と書かれている。

アメリカでもここ数年で、いくつかの州が同じようなゼロトレランス法を 制定 しているが、ゼロトレランス法を批判する人たちは、運転とは関係のない以前ドラッグ使用で残っていた代謝物が検出されてしまう恐れがあり、時間が経って素面の状態で運転していても、酔っ払い運転と認定されて刑事罰を科せられてしまう可能性があると 指摘 している。

NORMLのシニア政策アナリストのポール・アルメンターノ氏は、「アルコールであれ、処方医薬品であれ、あるいは違法ドラッグであれ、あらゆる薬物の影響下で運転することを止めさせるという目標そのものに反対する人はいませんが、いわゆるゼロトレランス法は、法律本来の趣旨からして不適切で非倫理的なのです。しかも、違法ドラッグの影響下で運転することを防止するには何も役立っていないのです」 と語っている。

「どんなに好意的に見ても、こうした法律では複雑な社会の問題に対処するには融通性がなさ過ぎますし、悪く見れば、違法ドラッグのユーザーを捕まえるために交通安全のための法律を悪用しようとする歪んだ意図が隠されているとも言えます。」

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "Predominance of illicit drugs and poly-drug use among drug-impaired drivers in Sweden," appears in Traffic Injury Prevention.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7436


●ウイスコンシン州ウォークシャー郡、カナビスを非犯罪化
2007年11月29日 - アメリカ・ウイスコンシン州ウォークシャー発

ウイスコンシン州ウォークシャー郡の郡政執行官は、今週、27対4の多数でカナビスの初回所持違反を非犯罪化する決定を下した。

この決定で、警察官は、少量のカナビス所持違反者に対しては、逮捕するのではなく召喚状の発行で済ませることになる。罰則としては罰金だけで、刑事罰は科せられない。

ウイスコンシン州の州法では、販売を伴わないカナビスの所持はいかなる量でも軽犯罪として扱われ、最高6ヵ月の懲役になっている。

郡政執行官は今回の決定について、カナビスの軽微な違反を刑事訴追することが地元警察や郡裁判所の過度の重荷になっていることを理由に上げている。

マジソン市や 
ミルウォーキー郡 などウイスコンシン州の他の地域や郡でも同じようなカナビス非犯罪化政策が実施されている。

1973年以降では、12州の議会がカナビスの非犯罪化法を 制定 して、懲役刑を罰金刑のみに置き換えている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7437