Weekly News

2007年10月25日


ドラッグテストは高校生アスリートのリスクを高めている
痛みに対するカナビスの喫煙効果には二面性がある
DEA局長が辞任を発表



●ドラッグテストは高校生アスリートのリスクを高めている
2007年10月25日 - アメリカ・オレゴン州ポートランド発

思春期の健康ジャーナル11月号に掲載された調査結果によると、高校生アスリートを対象にした抜き打ちドラッグテスト・プログラムは、ドラッグの使用の削減には効果がなく、逆に、よりリスクの高い行動を取らせていることがわかった。

オレゴン健康科学大学(OHSU)の研究テームは、高校生アスリートたちの間でのドラッグ&アルコール・テストの抑止効果を調べるために2年間にわたってプロスペクティブ無作為化臨床研究を実施した。今回のこうした調査法は史上はじめてのことになる。研究者たちは、抜き打ちドラッグテストを受けた生徒と、ドラッグテストを実施していない近隣の高校の生徒を自己申告調査で比較したところ、ドラッグの使用状況に差のないことを見出した。

また、研究者たちは、ドラッグテストを実施している高校の生徒たちのほうが 「将来ドラッグを使用するリスク・ファクターの一部が増加する」 ことも分かったと報告している。

この研究を率いたリン・ゴールドバーグ教授は、
プレスリリース で、「今回の調査では、一般の学校では使われていないような最新鋭の装置を使ってテストしたもので、もしこれで際立った抑止効果が認められなければ、もっと粗いテストの場合はさらに何も出てこない可能性が高い」 と語っている。

2003年に行われた過去の全国横断的な研究でも、「最近アメリカの中等学校で実施されているドラッグテストは、生徒たちのドラッグ使用の防止や抑止につながっていない」 と 結論 を出している。しかしながら、この研究を批判する人たちは、ドラッグテストについて異なったスタンスで取り組んでいる学校を一緒くたにして比較しているために、効果がわかり難くなっているためだと主張していた。

アメリカ教育局では、2005年以来、全国の公立中等学校でのドラッグテスト実施のために1000万ドル以上を拠出している。また、ホワイトハウスも、「ドラッグテストを行っている学校では効果が上がっている」 と 主張 して、自画自賛を繰り返してきた。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "Outcomes of a prospective trial of student-athlete drug testing: the SATURN study," appears in the Journal of Adolescent Health or online at: http://download.journals.elsevierhealth.com/pdfs/journals/1054-139X/PIIS1054139X07003230.pdf.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7400


●痛みに対するカナビスの喫煙効果には二面性がある
2007年10月25日 - アメリカ・カリフォルニア州ラ・ホーヤ発

近く出版される麻酔学ジャーナルに掲載された 
臨床試験データー によると、カナビスの吸引によって、人間の痛みに対する刺激が増加する場合もあれば減少する場合もあることが分かった。

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームは、15人の健康な志願者を対象に、チリ・ペッパーの活性成分であるカプサイシンを使って強制的に痛みを引き起こし、効力の違う種類のカナビスとプラセボを喫煙してもらって、痛みの感じかたがどのように変化するかを調べた。

THC濃度の中程度のカナビス(4%)を吸った被験者たちでは、喫煙後45分でカプサイシンの痛みが著しく減少したが、これに対して高濃度のカナビス(8%)を吸った被験者たちは、かえって痛みが強まったと報告している。また低濃度のカナビス(2%)では、痛みの感じかたには変化がなかった。

この研究を率いたマーク・ワランス教授は、UCSDのプレスリリースで、「この結果は、カナビスの鎮痛効果には制限的な枠があることを示しています。つまり、THCが少ない場合には何の効果もなく、逆に高い場合は痛みが増加し、その中間の中程度の場合に痛みが緩和されるわけです」 と語っている。

今年の始めに行われた 別の臨床実験 では、THC3.56%の中程度のカナビスの喫煙で、HIVにともなう神経性の痛みが著しく軽減されることが見出されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "Dose-dependent effects of smoked cannabis on capsaicin-induced pain and hyperalgesia in healthy volunteers," in Anesthesiology.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7401


●DEA局長が辞任を発表
2007年10月25日 - アメリカ・ワシントンDC発

今週、連邦麻薬局(DEA)のカレン・タンディ局長が辞任することを発表した。女性としては初めての局長で、4年間にわたってDE率いてきた。

タンディ氏は、辞任後、通信機器の大手モトローラ社の副社長に就任することになっている。モトローラ社は、DEAの「
ターゲット・アメリカ」という展示キャンペーンの財政面で筆頭支援会社になっている。このキャンペーンでは、違法ドラッグの使用が、911のニューヨークやワシントンDCに対する攻撃など行った国際テロリストの資金源になっているという主張を展開して、論議を呼んでいる。

DEAは、タンディ局長の在任中、カリフォルニア州をはじめ州法でカナビスの医療使用が認められた州の医療カナビス患者や供給者をターゲットに、連邦法での取締まりを 大幅に強化 している。

2005年にタンディ局長は、DEAの白書の中で 「マリファナ、神話が人を殺している」 というタイトルの一文を載せ、「長くドラッグを使っていても自分への影響だけで、他人には迷惑をかけていないという神話を葬り去る必要がある。カナビスの使用をはじめドラッグを使うことは、犠牲者のいない犯罪などではない。・・・カナビスは無垢の子供たちを殺している」 と主張している。

また、カナダの活動家でカナビスの種をアメリカに販売していたマーク・エメリーを逮捕して、アメリカへ 移送 して裁判にかけることにも精力を注いだ。彼女は、エメリーがアメリカのさまざまなドラッグ合法化運動へ財政支援していたと指摘し、彼の逮捕はカナビス合法化運動に対する 「特筆すべき一撃」 になったと 語った 。エメリーの引渡については、現在カナダで裁判手続きが進められている。

現在までのところ、ブッシュ政権からもDEAからも後任人事については何も発表されていない。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7402