Weekly News
2008年7月3日
●アメリカの違法ドラッグ使用率は世界のどの国よりも高い
2008年7月3日 - アメリカ・ワシントンDC発
「それぞれの国の違法ドラッグ使用率レベルは、その所持と使用をどれだけ厳しく取締まっているかにはほとんど関係していない……」
今週、PLosメディシン誌に発表された 統計調査研究 によると、アメリカの違法ドラッグ使用率が、世界のどの国よりも高くなっていることが明かになった。
この研究は、WHOの研究チームが世界17カ国5万4000人の調査データを分析したもので、その範囲は世界の各地域に及んでいる。アメリカ地区からは、アメリカ合衆国・コロンビア・メキシコ、ヨーロッパ地域からは、ベルギー・フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・スペイン・ウクライナ、中東アフリカ地域からは、イスラエル・レバノン・ナイジェリア・南アフリカ、アジア地域からは、日本・中国(北京と上海)、オセアニア地区からは、ニュージーランドが調査に加わっている。
調査では、アルコール、タバコ、カナビス、コカインの経験状況を聞き取っているが、アメリカでの違法ドラッグの使用率は、厳罰的な政策をとっているにもかかわらず最も高くなっており、研究者たちは、「調査したすべての国の中で、アメリカは、合法・違法ドラッグのどちらにおいても最も高いレベルの使用率になっている」 と指摘している。
特に目を引くのがアメリカのカナビス使用率で、世界で最も高い42.4%になっていることで、この数字は、実質的にカナビスの販売と使用が合法化されているオランダの 2倍以上 にもなっている。
またコカインについても、アメリカ人の16%に使用経験があり、世界の他の国のおよそ4倍以上で群を抜いている。これに対して、スペインを除くヨーロッパ諸国、中東アフリカ、アジアではどこも2%以下になっている。
こうした分析を踏まえて研究者たちは、「アメリカは、現在の世界のドラッグ研究や政策課題を牽引し、違法ドラッグに対して厳罰政策をとっているが、アルコール、コカイン、カナビスの使用率は目立って高いレベルになっている」 と結論づけている。
「オランダの場合は、アメリカに比較して、カナビス使用により軽い罰則を採用しているが、特に若年成人の使用レベルが低く留まっている。この事実は、ドラッグ使用率レベルは、その所持と使用をどれだけ厳しく取締まっているかにはほとんど関係していないことを明らかに示している。」
今回の研究報告について、NORMLのポール・アルメンターノ副事務局長は、「1980年以来、ドラッグ事犯で刑務所に入れられたアメリカ人は、天文学的とも言える 1100% も増えています。これは、ドラッグ違反者たちを長くより過酷な懲役刑で対処するという政治家たちの病的な執着心の結果です」 と語っている。
「しかしならが、ドラッグを求める欲求は他のどこの国よりも強いままで、カナビスの所持と使用を非犯罪化または実質合法化したりしている多くの西ヨーロッパ諸国に比べても2倍以上にもなっています。」
●失敗政策の代表、連邦麻薬取締局(DEA)が設立35周年
2008年7月3日 - アメリカ・ワシントンDC発
アメリカ財務省は発表した プレス・リリース によると、連邦の反ドラッグ機関の最上位に位置する麻薬取締局(DEA)は、今週で誕生35周年をむかえた。
プレス・リリースには、「麻薬取締局は、35年前の7月1日にリチャード・ニクソン大統領の大統領命令によって設立されました。指令を1箇所に統合して、あらゆるドラッグの脅威と世界規模で闘うためです」 と書かれている。
「設立当初の取締局の規模は、特別捜査官が1470人、予算は7500万ドル程度で国外事務所は31カ国でしたが、現在では、特別捜査官が5235人で、予算は24億ドル以上、国外事務所も63カ国87箇所にまでなっています。」
この記念日について、NORMLの ポッドキャスト のホストを務める ラス・ベルビル 氏は、「この30年間で違法ドラッグの使用、生産、効力、入手しやすさ、過剰摂取による死亡のいずれもが 急激に増えています」 と指摘している。
「予算規模が大きくなるのに従って、ドラッグはより多くなり、逮捕や死亡も増えています。押収されることが多くなって、より効力が強力になっています。捜査官が増えればユーザーも増える。この35周年を祝って、名前を麻薬取締局(Drug Enforcement Administration)から本来の姿を表す麻薬奨励局(Drug Encouragement Administration)に変えるべきではないかと思います。略称はどちらもDEAで変わりませんが。」
ラス・ベルビル氏の連邦当局を批判したポッドキャストは、http://stash.norml.org/2008/06/30/the-dea-turns-35-today/ で聞くことができる。
●カナビスとコカインの影響下では運転行動で逆に作用する
2008年7月3日 - カナダ・ビクトリア州ブリティシュコロンビア発
交通外傷予防ジャーナルの最新号に掲載された 調査データ によると、カナビスとコカインでは、精神運動機能に逆の作用を持っていることが分かった。
カナダのブリティシュコロンビア中毒研究センターの研究チームは、カナビス、コカイン、アルコールの影響下で運転した経歴のある成人のドラッグ治療に当たって、その人の振る舞いと運転行動を調べた。その結果、カナビスを使った後の影響下では、より慎重に運転するか、あるいは運転することを拒否するようになる傾向が示されたと報告している。
研究者たちは、「カナビスとコカインで、身体へのネガティブな影響と無謀な運転をする頻度を比較したところ、カナビスの場合は、ネガティブな身体的影響が顕著になってくると、運転しようとする頻度が少なくなってくることが分かった」 と結論づけている。
「運転行動という観点から見ると、カナビスでは、一般的に注意深いまたは普通の運転ということができる。これに対してコカインの場合は、無謀で運転能力が劣った状態での運転が多くなる。」
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Full text of the study, “Toward a global view of alcohol, tobacco, cannabis and cocaine use: Findings from the WHO World Mental Health Surveys,” appears online at: http://medicine.plosjournals.org.
Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7641