2007年のカナビス逮捕者数

87万2721人で過去最高を記録


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Source: NORML, Wasington, DC
Pub date: September 15, 2008
Marijuana Arrests For Year 2007: 872,721 Tops Record High
-Five Percent Increase Over 2006-
http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7698


FBIから15日に発表された 年次定形犯罪報告書 によると、2007年のカナビス事犯による警察の逮捕者数は87万2721人だったことが明かになった。この数は、FBIが統計を記録し始めて以来、年間の逮捕者数としては最も多くなっている。

現在のアメリカでは、カナビスによる逮捕者数は、全ドラッグの逮捕者のうちの47.5%を占めるまでになっているが、この率について、NORMLのアレン・ピエール事務局長は、37秒に一人がカナビスで逮捕されていることになると指摘して次のように述べている。

「警察当局は、軽微なカナビス事犯についてはあまり問題にしていないと言っていますが、この数字はそれが嘘で固められた神話に過ぎないことを如実に示しています。このことに費やされている刑事裁判のリソースは極めて膨大な浪費になっています。本来、警察はテロに対する戦争など重大な暴力犯罪に取り組むべきですが、それをできなくすらしています。」

また、カナビス事犯全体の89%である77万5138人は単純所持が理由で、個人利用目的および医療目的の場合も含めた「売買・栽培・製造」カテゴリーが理由となっている逮捕者数は、残りの11%に当たる9万7583人になっている。

また、逮捕者のおよそ4人に3人が30才以下になっている。アレン・ピエール事務局長は、「現在の若者たちはしばしば、アルコールやタバコよりもカナビスの方が簡単に入手できる 報告しているように、現在の政策は、カナビスを利用しにくくする機能や、若者が試したいとは思わないようにする役割を全く果たしていないのです」 と言う。

「今回のカナビス事犯については、他にも2つの大きな注目点があります。まず、カナビスによる逮捕が過去15年間の195%と劇的に増えているにもかかわらず、カナビスの入手し易さにはたいして影響を与えていない点です。カナビスを使ったと言う自己報告している人の率もほとんど変わっていません。」

「第2の特徴は、アメリカ中西部で、カナビス関連の逮捕者の割合が60%を越えていて逮捕の温床になっている点です。これに対して、最もカナビスの逮捕者の率が低いのがアメリカ西部で、半分の29%にとどまっています。これは、西部では、過去数十年にわたって州や地域で非犯罪化の条例や法律が整えられてきた結果であることは明白です。」

「さらに細かい特徴とすれば、中西部では。カナビスの販売・栽培関連の逮捕者がこの1年間で13.3%増加しているのに対して、西部では、所持による逮捕が14%増えていることです。」

また、アメリカの2007年の全カナビス逮捕者数は、殺人、非過失致死、強姦、強盗、加重暴行などを含むすべての暴力犯罪の合計数をはるかに上回っている。

1990年代当初に比較すると、年間のカナビス逮捕者数は約3倍にも増え、過去10年間の逮捕者が900万人近くになっていることについて、アレン・ピエール事務局長は、「カナビス以外のことではきちんと法を遵守し、カナビスについても節度と責任を持って使っている多数の人を逮捕することで、市民の生活を無用に破壊しているわけです」 と語っている。

カナビスとは対照的に、同じ期間では、コカインとヘロインの逮捕者数は急激に減少している。このことは、法執行の努力が、より危険なドラッグの所持や取引に向けられるのではなく、カナビスに対して費やされてきたことを暗に示している。実際2008年10月10日には、1937年にカナビスが禁止されからの累計逮捕者数が2000万人になろうとしていることからも分かる。

「カナビス禁止法の執行コストは、年間100億から120億ドルのも税金で賄われていますが、それが2000万人もの人の逮捕を生み出したのです。それにもかかわらず、およそ1億人のアメリカ人が生涯にカナビスを使ったことがあると認めているのです。」

「現在にような政策を継続して、アルコールやタバコよりもずっと健康リスクの少ないカナビスを使ったという理由で、全アメリカ人の半数近くを犯罪人として扱うことなどはナンセンス以外のなにものでもありません。より正当性と分別のある解決策は、アルコールやタバコと同じように、カナビスに課税して規制管理することです。」

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

For a comprehensive breakdown and analysis of US cannabis arrests, please see NORML's report: "Crimes of Indiscretion: Marijuana Arrests in the United States".
Also, "What If We Arrested 20 Million Americans and No One Noticed" is a featured plenary session at the upcoming 37th Annual NORML National Conference in Berkeley, CA.





2007年のカナビス逮捕者数

2006年の5.2%増で過去最高に


Source: NORML's Daily Audio Stash
Pub date: September 15, 2008
872,721 marijuana arrests in 2007, up 5.2% from 2006
Author: "Radical" Russ
http://stash.norml.org/2008/09/15/
872721-marijuana-arrests-in-2007-up-52-from-2006/


全逮捕者の89%が単純所持

FBIは、2007年の 年次定形犯罪報告書 を発表した。アメリカのカナビス事犯による逮捕者数は昨年に続いてさらに増え続け、2007年には87万2721人がカナビスで逮捕され過去最高を記録した。さらに注目すべきことに、全逮捕者の89%にあたる77万5138人は単純所持が理由で、売買や流通や製造(栽培)には全く関与していない。


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増え続けるカナビス逮捕者数

2007年の逮捕者数は2006年の5.2%増で、過去5年連続で前年よりも増えている。現在では、逮捕は37秒に一人の割合になっており、1時間でおよそ100人にもなっている。

グラフからも明らかなように、逮捕者数が急増し始めたのはクリントン政権の発足直後で、2期目はしばらく横ばいを続けていたが、ブッシュ政権になってから再び増加している。


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ドラッグ戦争では、ますますカナビス所持が標的になってきている

カナビスの単純所持による逮捕が全体の42%を占め、他のどのドラッグの 逮捕理由 よりも圧倒的に多くなっている。

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また、各ドラッグ別の売買・流通・製造に関連する逮捕者の割合については、カナビスが11%なのに対して、ヘロインとコカインは27%、合成ドラッグでは31%になっているという特徴が見られる。


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また、カナビスの売買・製造による逮捕者は、2006年よりも7.6%増えているが、ヘロインとコカインの売買・製造では3.8%減少し、合成ドラッグの売買・製造についても2.6%下がっている。一方、カナビス所持による逮捕者数は4.9%増えているのに対して、ヘロインとコカインの所持は8.1%、合成ドラッグは5.4%減少している。

全体とすれば、カナビスによる全逮捕者数は5.2%増になっているのに対して、その他のドラッグ全体合計では、106万183人から96万8461人へと8.7%の減少になっている。

全ドラッグ逮捕者数の占めるカナビス逮捕者の割合は、2006年には43.9%だったものが、2007年には47.4%に上昇しているが、この数字は、ドラッグ戦争のほぼ半分がカナビスを標的にするようになったことを示している。


The West is the Best

FBIの報告書では、北東部、中西部、南部、西部 のアメリカを4つの地域に分けたデータも掲載している。それによると、全ドラッグ逮捕者の中で、2地域でカナビス逮捕者が50%を越えており、1地域がほぼ50%になっている。

カナビス逮捕者の割合が最も高いのは中西部の60.8%で、次いで南部が52.5%、北東部が49.9%になっている。これに対して、西部では、全ドラッグ逮捕者のうちカナビス逮捕者の割合は3分の1をわずかに越えた34.3%にとどまっている。


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前年でカナビスによる逮捕者の割合が50%を越えていたのは中西部の57%だけで、南部は49.8%、北東部は47.9%、西部が30%だったが、2007年はいづれの地域でも前年を上回っている。全国的にこのような特徴が見られたのは今回が初めてのことになる。

人口比率でカナビス所持による逮捕のリスクを計算すると、南部が最もリスクが高く10万人当たり318人が逮捕されている。次いで、中西部は292人、北東部が225人になっている。これに対して、西部でカナビス所持で逮捕される人の割合は201人になっている。


カナビスによる逮捕者数は、全暴力事犯者数よりも5年連続で多い

おそらく最も首を傾げたくなる数字は、カナビスの単純所持による逮捕者数と全暴力犯罪による逮捕者総数を比較した数字で、それぞれが77万5138人と59万7447人となっている。暴力犯罪には、殺人、非過失致死、強姦、強盗、加重暴行などが含まれている。


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前年に比較すると、カナビスの単純所持による逮捕者数は5.2%上昇しているが、全暴力犯罪者数は2.3%減少している。また、過去5年間では、いずれの年でも、カナビスの単純所持による逮捕者数のほうが全暴力犯罪者数よりも上回っている。

また、犯罪件数で見ると、過去5年間では、 殺人の件数は2.3%増強盗の件数は7.5%増 になっている。全体とすれば、暴力犯罪の件数は、2003年に比べて2007年には 2万4661件増えて いる。

しかしながら、逮捕者数で見ると同期間に421人増えただけで、犯人が捕まっていない暴力犯罪が多いことを示している。2007年では、1000件の暴力犯罪に対して逮捕されたのは424人に過ぎず、その数も、この4年間に7〜10人づつ少なくなってきている。


この10年間の全体傾向

過去10年間で見ると, ほぼすべての犯罪の逮捕者数が減少している。全暴力犯罪による逮捕者数は8.9%下がり、窃盗犯の逮捕者も12.5%少なくなっている。その他の犯罪でも2桁のパーセントで減少しているものの少なくない。例えば、詐欺が30.8%減、売春22%減、家族や子供に対する虐待16.9%減などとなっている。

これに対して、この10年間に逮捕者数が増加している犯罪は多くはなく、強盗の5.9%増、ドラッグ事犯の17.6%増、着服の26.5%が目立っている。