国連薬物犯罪事務所(UNODC)所長

違法ドラッグ・マネーが銀行を救っている

Source: Reuters
Pub date: 25 Jan 2009
UN crime chief says drug money flowed into banks
http://www.reuters.com/article/marketsNews/idUSLP65079620090125


国連の犯罪とドラッグを監視している機関のトップが昨日語ったところによると、世界的な金融危機の中で、違法ドラッグの取引で生み出されたマネーが銀行の生き残りのために使われている。

オーストリアのウィーンにある国連薬物犯罪事務所(UNODC)のアントニオ・マリア・コスタ所長は、オーストリアの週刊誌プロファイルのインタビュー で、昨年後半に急出現した金融のコントロール危機以来、しばしばドラッグ・マネーだけが銀行の利用可能な資金になっているという見方を示した。

「現在では多くの場合、ドラッグ・マネーが唯一の流動資金になっています。2008年の後半には銀行システムにとって、その流動性・換金性が主要な問題になったことで、流動資金が重要な鍵を握ることになったのです。」

「UNODCは、ドラッグの取引やその他の違法活動を基にした資金が銀行間のローンに使われている証拠をつかんでいます。このことは、一部の銀行がこの方法で救済されていることを示しています。」

コスタ所長は、ドラッグ・マネーを受け入れている具体的な国名や銀行名を挙げることは拒否しているので全体の金額や様子については不明だが、オーストリアがその筆頭ではないともインタビューで語っている。

この記事によると、ブラック・マーケットのドラッグ取引から生み出された流動性の高い資金が、銀行ばかりではなく一部の国の救済に寄与してことになる。

皮肉にみればこれに感謝すべきかもしれないが、結局は、銀行が規制を受けていないキャッシュ・フローを確保するためにドラッグの違法化が必要だという異様な世界が出現していることが分かる。

当然のことながら、何の生産性もないドラッグ戦争に多額の資金を浪費したりしなければ、現在のブラック・マーケットが生産的な場に変わり、そもそも黒い流動資金などの必要はなくなる。

UNODC chief Costa: Illegal drug trade saved banks  Pete Guither, 2009.1.25

UNODCのアントニオ・マリア・コスタ事務所長は、以前は経済アナリストとして国連の経済機関で活動してきた。前職はヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)事務総長だった。このことから考えて、今回のインタビューは、金融事情に精通した専門家の意見とも言えるだろう。

United Nations Office on Drugs and Crime, Leadership