オランダ・ボス財務大臣

銀行はコーヒーショップ口座を受入れよ

Source: DutchNews.nl
Pub date: 6 Feb 2009
Banks told to accept cannabis cafe custom
http://www.dutchnews.nl/news/archives/
2009/02/banks_must_accept_coffeeshops.php


銀行はコーヒーショップを顧客として受け入れなければならない、オランダのウーテル・ボス財務大臣はフォルクスクラント紙こう語った。

銀行がコーヒーショップの口座を拒否することで、犯罪ネットワークに財政サービスを求めるようになってしまう恐れがあるからだとその理由を話している。

コーヒーショップは、地方自治体のライセンスを受けて少量のカナビスの販売が正式に認められているが、昨年末にポストバンクがコーヒーショップの口座受け入れの拒否を決めたことで、現在ではすべての銀行が新規口座開設しなくなったばかりではなく、既存の口座の閉鎖も行うようになった。

ボス財務大臣には、銀行にコーヒーショップ口座の受け入れを調整する権限はないが、銀行は談合している疑いもあり、公正取引監視委員会にカルテルの調査を行うように要請していると語っている。

銀行がコーヒーショップと関わることをやめると最初に発表したのは、最近国有化されたABNアムロ銀行で12年ほど前のことになる。それに続いて、ロボバンク、ING(Intemationale Nederlanden Group)に統合されたポストバンクが受け入れを拒否するようになった。

ABNアムロ銀行は、オランダの黄金の17世紀の金融機関の流れを持ったオランダの象徴的な銀行だったが、経営の伸び悩みのために2007年後半にベルギー金融機関フォルティス連合に買収された。

しかし、その後、フォルティスが巨大損失を出してABNアムロ銀行を売りに出したことから、2008年10月末にオランダ政府が買収し、ABNアムロ銀行は国有化されてオランダの手に残った。

また、最近の急激な世界的な金融危機の中で、違法ドラッグの取引で生み出されたマネーが銀行の生き残りのために重要な位置を閉めるようになってきている。いわゆるドラッグ・マネーは流動性が高く、銀行間の流動資金として当てにされることが多くなってきている。

こうしたことから、国有化や資金注入などに頼らなければならなくなった銀行は、綺麗事を言って体面を保つ余裕はなくなっている。また、今回のボス財務大臣の発言の背景には、ABNアムロ銀行が国有化されて実質的に言うことを聞かざるをえないという背景もある。

国連薬物犯罪事務所長、違法ドラッグ・マネーが銀行を救っている  (2009.1.25)
Leading Dutch Bank Shuns Cannabis Coffee Shop Accounts  (2008.12.19)

経済的な問題としては、ドラッグ・ツーリズム問題にも似たようなところがある。一口にドラッグ・ツーリズム問題といっても、色々なケースがある。

例えば、最もドラッグ・ツーリストが多いのはアムステルダムだが、そこを訪れる人の大半は飛行機でやってくるので、市内で渋滞問題などは引き起こさない。また、地元にとっては、ホテルやレストランも利用してくれるので、たくさんのお金を使ってくれるというプラス効果も大きく、単純にドラッグ・ツーリズムがネガティブな問題になったりしていない。

しかし、国境地帯のドラッグ・ツーリストの場合は、ほどんどが近隣諸国から日帰りで車でやってくる。従って、余分なお金は使わないので、地元からみればそれほどありがたい存在ではない。特にマーストリヒトなどのように、ファッション関係で観光客を誘致しようとしているところでは、ターゲットとなる客層が違っていることもあって、さまざまな面でドラッグ・ツーリストが毛嫌いされている。

実際には、アムステルダム市長をはじめほとんどの市長が、ドラッグ・ツーリスト問題は、カナビス・ユーザーやコーヒショップが原因で起こっているわけではないことを認めている。

渋滞、違法駐車、立ち小便、密売組織の活動などほかに、単純にドラッグ・ツーリストを疎んじるという風潮が原因なので、景気が低迷して観光客の数が少なくなっていけば、綺麗事で済まさずに街を整備して管理を徹底し、集客力のあるコーヒーショップを誘致して客足の挽回をはかろうとするところもでてくるだろう。

ドラッグ・ツーリズム問題の解決法
ドラッグ・ツーリズムの空騒ぎ マーストリヒトで起こっていること、いないこと  (2007.6.15)