カナビスを合法化すれば

7800億ドルの景気対策もOK


Mary MacElveen

Source: OpEdNews
Pub date: 7 Feb 2009
The $780 billion stimulus bill can be paid down if we legalized marijuana
Author: by Mary MacElveen
http://www.opednews.com/articles/
The-780-billion-stimulus-by-Mary-MacElveen-090207-759.html


今回の私のブログは、読者がカナビスの使用についてどのように思っているかによって、大きな議論を呼ぶコラムになるに違いない。現在、連邦レベルでは、治験薬の適用免除プログラム(IND)で認められたごく数人のアメリカ人を除けばカナビスの使用は違法になっている。州によっては医療カナビスが合法化されているところもあるが、今回のテーマは連邦レベルの問題なので一応それらは考慮しないことにする。


条件反射

つい最近、北京オリンピックの水泳競技で8個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス選手が、ボングでカナビスを吸っているところを写真に撮られてタブロイドに掲載された。彼はそのことを世間に謝り、ケロッグなどの会社から支援を打ちきられて数逼万ドルを失うことになった。私は、カナビスを使ったアスリートに対する典型的な条件反射だと思った。

だが、一部の政治家たちも過去に同じようにカナビスを使っていたと言われている。そうした一人にはバラク・オバマ現大統領もいる。つまり、単なる条件反射ではなく、過去のカナビス使用を告白した以降に彼が何を成し遂げたかに注目しなければならない。

彼が、アフリカ系アメリカ人として初めての大統領になったのは、当然のことながらカナビスを使っていたからではなく、人々の役に立つことができると認められたからだ。フェルプス選手の支援を引き上げた会社は、そのことを考え直してみるべきだ。


経済を活性化するカナビスの合法化

いよいよ議論の多い本論に入るが,現在は、実際問題としてカナビスを合法化すべきかすべきないかを本格的に議論する時期を向かえていると思う。カナビスの合法化は、病んだ経済を刺激してくれるに違いない。カナビスをアルコールの販売店のように規制管理して販売すれば、政府は新しい日用品として課税することができるからだ。

現在のタバコや酒のように課税するようになれは、カナビスを使うことを選択した人は隠れてこそこそ吸うこともなくなって堂々とそう言うことができるようになる。アメリカでは、かつてアルコールを禁止した時代もあるが,禁酒法はうまく機能しなかったことを知っている。地下社会には多くの密造酒バー(Speakeasies)が繁栄して人々はアルコールを飲み続けた。結局、禁酒法は合衆国憲法修正21条で撤廃された。

カナビス合法化は、その生産を通じて古き良き時代の産業をたくさん復活させる。連作のようなこともできる。麻製品を扱うことで停滞している綿産業も息を吹き返す。新しい産業の出現は、確実に経済にはプラスに働く。


アメリカで最も換金性の高い作物

ラフェエル・ボールドウイン は、ザ・カレッジアンのコラムで何のためらいもなく次のように書いている。

「カナビスを合法化すれば、アメリカ経済に多大な影響が出てくることは間違いない。連邦麻薬取締局(DEA)のウエブサイトでも言っているように、カナビスは ”アメリカで最も換金性の高い作物” だからだ。」

「ワシントンの連邦政府は、経済をてこ入れするための資金を探している。高圧的なモラルを掲げることはやめて、カナビスを合法化することを考えたらいい。そうすれば、マネーは見つかる。」

「作物としての価値は、毎年358億ドルにも達する。この金額は、現在最も利益の出るとされるコーンの125億ドルをも凌ぐ。さらに、アルコールやタバコと同様に課税すれば、カナビスはさらに多くのマネーをもたらしてくれる。」

また、アメリカでカナビスを自給できることも利益だとみなすこともできる。わざわざ南アメリカに頼る必要はなくなる。このことが、現地の麻薬王たちに与える打撃を考えてみればいい。

彼らは,コカインやクラックのような中毒性の高いドラッグをターゲットに生産を続けるだろうが、何よりも生産や販売が数十億ドルと見積もられているカナビスの収入を彼らの悪魔の手にわたらないようにすることができる。


7800億ドルの景気刺激財源でもすぐに用意できる

また連邦議会は、財政不足の中で景気刺激策を作成するために、食料割引プログラム(フード・スタンプ)まで廃止しまうことすら考えている。

だが、ボールドウインは、「カナビスを合法化すれば、警察などの法執行機関が浪費している桁外れに大きい資金を使わずに済むようになる。ハーバード大学経済学部の ミロン教授の試算 では、その額は77億ドルにもなる」 と書いている。

さらに、日用品としての課税することに加えて、違反者を捕まえて起訴する資金を節約しながら、自給生産したカナビスを集めることができる。7800億ドル(70兆円)の景気刺激財源でもただちに賄うことができる。


カナビスには中毒性も禁断症状もなく、死亡した人もいない

ボールドウインはコラムの中でカナビスには中毒性がないと書いているが、私もそのことは以前に別のところで読んだことがある。この事実は、合法化に反対する人たちの恐怖心を和らげてくれるはずだ。

節度を持ってカナビス使っている限りは、朝の一杯のコーヒーのほうがほど中毒性が高い。カナビスの使用を中断しても、タバコのような禁断症状も起こらないない。

それでもカナビスの合法化に懸念を抱く人に対してボールドウインは、「アメリカでは毎年タバコが原因で43万5000人が亡くなり、アルコールでも8万5000人が脂肪すると見積もられている。では、カナビスでは毎年何人が死んでいるか? ゼロ人。これは本当のことで、たとえ多量であってもカナビスの使用だけが原因で死亡した人は知られていない」 と書いている。

私も同じ統計を過去に聞いたことがあるが、酒やタバコが合法的な日用品になっているのに、カナビスがそうなっていないことに心底驚いた。


今こそ合法化議論をやり直すべき時

かつては私もカナビスの合法化という考えに反対していた。だが、合法化で多額のマネーが地下市場ではなく合法市場に流れることを知り、カナビスがタバコやアルコールよりも安全だという事実を目の前にしたことで変わった。

今こそ合法化議論をやり直すべき時だと思う。アメリカ政府には、いかなる議論でもドルの話が出てくると目を大きく開けるようなところがあるので、考え方を変える可能性もある。課税できると見込めば注目するようになる。

だが、私はカナビスを使うことを奨励するつもりはない。カナビスが合法化されれば、それを使うかどうかは大人の選択にまかされる。未成年が成人して大人になれば、アルーコールやタバコの使用について判断できる年齢とみなされるのと同じだ。


同じように重要な産業用ヘンプ

これまで触れてこなかったが、産業用ヘンプについても同じように重要な問題だ。アメリカでは、産業用ヘンプも違法化されている。USAトゥデーの記事 のよれば、「現在のところ、ヘンプ製品の市場は、年間150億ドルと言われる有機製品のごくわずかな部分を占めているに過ぎないが、ヘンプ産業協会は年間50%の勢いで売上が伸びているという。」

カリフォルニア・バークレイの農業研究家であるゲロ・レッセン氏は、2005年に発表した報告書で、今年のヘンプ製品の小売ベース売上で、食品が1500万ドル、化粧品とボディケア製品で4000万ドルになるだろうと書いている。

ヘンプを合法化すれば、経済がどれだけ活性化するだろうか? メイド・イン・アメリカ製品が消費者に直接販売できるようになって、ヘンプ産業が関連する日用品を多量に生み出すことになる。

報告書では、「カナダの農家は、今年、2万4000エーカー 以上のカナビスを栽培している。この量は2004年の3倍にもなる」 と書いている。

アメリカでもヘンプ栽培を認めれば、農家自身が利益を得るばかりではなく、経済全体も恩恵を受けることになるはずだが、アメリカの農家は疎まれるばかりで、どうしてそのチャンスが与えられていないのか?


賞賛か固執か

今回の選挙で選ばれたリーダーたちは、カナビス合法化というアイディアを賞賛に値するとみなすだろうか、それとも従来の古い考えに固執するのだろうか?

一般の人たちも、政治家たちを巻き込んで、カナビスとヘンプの合法化のメリットを見直すすべき時が来ている。もちろんこのアイディアがさまざまな反ドラッグ組織から冷たくあしらわれることは分かっている。

だが、アルコールは責任を持って飲もうというコマーシャルが心に残るように,カナビスは責任を持って吸おうという新しいコマーシャルも気に留められるようになる。

ミロン・レポート:   The Budgetary Implications of Marijuana Prohibition

カナビス禁止法は金食い虫 経済、個人,社会への悪影響  (2005.6.3)
カナビス合法化を主張するリバタリアン経済学者ジェフリー・ミロン  (2008.9.25)

2006年末に発表されたジョン・ガットマン氏の試算では、カナビスはアメリカ最大の換金作物 になっており、カナビス生産量を全国規模でみれば358億ドルで、コーン(230億ドル)、大豆(176億ドル)、干し草(122億ドル)を凌いでいる、と結論を出している。

さらに、1937年にアメリカで禁止法が成立した当時は、カナビス作物の処理の機械化が進み、カナビスは巨万の富を生む新作物 (ポピュラー・メカニックス・マガジン 1938年2月号)と期待されていたこともある。

カナビスの死亡率についての詳細: カナビスの死亡率 他のドラッグよりも危険なのか?

2月1日、カリフォルニア州政府が財政破綻を宣言した。1430億ドルとされる予算に410億ドルが不足し、現金が枯渇してレイオフや無休の自宅待機を求められる職員が続出し、役所業務の縮小やインフラプロジェクトも中断に追い込まれる事態になっている。

しかし、NORMLカリフォルニア支部の試算では、カナビスを合法化すれば、15億〜25億ドルの税収が見込めるほか、関連産業への経済波及効果は80〜130億ドルで、事業税収入とともに5万人の雇用と所得税の対象となる14億ドルの給与が発生し、さらに産業用ヘンプの経済規模も34億ドルになるなどとしている。その内訳は次のようになっている。

  • カナビス1オンスあたり50ドルの消費税を課税することで年間7700万から9000万ドル
  • 合法市場での小売販売額は30億〜45億ドルで、販売税が2400万〜3600万ドル
  • 合法化によってカナビス事犯がなくなり、警察や法執行機関の逮捕、起訴,裁判、投獄などの費用1700万ドル以上が節約できる。さらに、州警察のヘリコプター監視設備も不要になる
  • タバコ税をベースに考えれば、最終的に15億〜25億ドルの税収が見込める
  • ワイン産業をベースに考えれば、合法カナビスを使った商売を通じて単純小売販売の3倍が見込まれ、80億〜130億ドルになる。オランダのコーヒショップ・スタイルにすれば雇用が生まれ、ツーリズムが盛んになる
  • カナビス産業の規模がワイン産業の3分の1だとすれば、事業税収入とともに、5万人の雇用と14億ドルの給与が発生する
  • 産業用ヘンプは、34億ドルのカリフォルニア綿産業に匹敵する主要産業になる

California headed “off the fiscal rails  (2009.2.16)

2007年1月には、カリフォルニア州オークランドの非優先化Z条例監視委員会も、「オークランドにおけるカナビス経済の歳入と税金」と題する報告書を発表している。それによると、カリフォルニア州民は、毎年、8億7000万〜20億ドルを医療カナビスに支出しているが、連邦法の規定のために、収集できるはずの州の売上税7000万〜1億2000万ドルの大半を失う結果となっている。

カリフォルニア州、カナビスによる年間税収数十億ドルを取損う  (2007.1.4)
税収不足に悩むカリフォルニア州 医療カナビス税をめぐる期待と軋轢  (2008.4.3)

また、ハワイ州でも、カナビスの合法化でどの程度の経済高価があるかを試算している。それによると、アルコールと同様に課税して規制管理することで年間300万ドルの歳入が見込めるとしている。

Hawaii: State's Legalization Of Pot Could Yield $33 Million Annually  (2007.3.8)
The budgetary implications of marijuana decriminalization and legalization for Hawaii

また、カナビスが地域経済に与える影響を試算したものとすれば、人口55万人の コロラドスプリングス の例があるが、合法化されていない現在でもカナビスは地域経済の重要な担い手になっており、小売規模8000万ドルで雇用1100人分に相当するとしている。