医療カナビス医師の認定機関が発足
Source: Santa Barbara Independent, The (CA)
Pub date: 23 Apr 2009
US CA: Pro-Pot Docs Organize
http://www.mapinc.org/drugnews/v09/n456/a09.html
現在アメリカでは13の州で医療カナビスが合法化されて使用を望む患者数が増えているが、実際に医療カナビスを使うためには医師の推薦を受けることが必要になっている。しかし、医師側には衆知された推薦基準があるわけではなく、さまざまな混乱を招いている。
こうした現状に対して、妥当な基準を設けてそれをクリアした医師に認定証を発行する団体が誕生した。この団体は、アメリカン・アカデミー・カナビノイド・メディシン(AACM)で、サンタバーバラ郊外のゴレタをベースにしたデビッド・ベアマン医師らの呼びかけで組織された。
AACMでは、医療専門家を対象にカナビス・ベースの医薬品の臨床的有用性について情報提供するとともに、医療カナビス推薦の実際的な基準とガイドラインを設定し、医師には口頭と筆記によるテストを行って認定証を発行することにしている。
認定テストでは、医師の実践的な知識とともに倫理性についてもチェックされる。こうすることで、患者の症状に対する適正な診断を行わずに推薦状を発行するようないい加減で非倫理的な行為を防ぐことができるようになる。
AACMの資格および品質認定を統括する責任者であるベアマン医師は、「われわれは、医師が最高水準の医療を提供できるようにしたいのです」 と語っている。
初めてカリフォルニアで医療カナビス条例が制定されてからすでに12年以上も経過しているが、政府からはカナビスを使うことは違法だと看做され、州の条例でも対応疾患についての規程はあっても医師の判断基準については何も決められていないこともあり、今回のような実践とプロとしての気概を基準化する試みはAACMがはじめてのことになる。
認定テストは年に2回行われることになっているが、初回は8月にシアトルで予定されている。
|
一般に、たとえ医療カナビスに効果があったのしても 医師はカナビスを治療に使いたがらない とも言われている。
多くの人たちは単純に医者だからカナビスのこともよく知っていると思っているが、実際には大学などではカナビスのことは何も教えていないので基礎的な知識も乏しく、またさまざまな制約から自分ではカナビスを試したことも患者に接した実体験もあまりない。
しかし、医者は自分が専門家というプライドがあるので質問されればそつなく答えようとする。そのために、カナビスを他の医薬品の類推をベースにして一般論を語ることになる。また、医師の立場や見方が中心になって患者の生活や意見を軽く見がちになる。
問題の根本は、いろいろな面でカナビスが普通の医薬品とは根本的な違いがあるにもかかわらず、普通の医薬品の知識をベースにカナビスを連想だけで語ってしまうところにある。それが間違いを起こす。その点では、医療専門家であることがさらに誤解と偏見を拡大する結果になってしまっている。
今回のAACMの試みはこれまでのそうした風潮を変える可能性を秘めている。
今年に入ってからの 医療カナビス患者の急増 と、多くの州で医療カナビス条例の制定の動きが活発化しているのにともない、製薬、医師の教育、ディスペンサリーの運営支援、患者への情報提供と支援など多様な分野で組織が設立されている。
また、医療カナビス法の制定の動きもいろいろな州で急速に活発化してきている。特に4月29日には、ミネソタ、ニューハンプシャー、ロードアイランド の3州議会で関係法案が一斉に上院を通過している。
さらに、近日中の採決が予定されている イリノイ でも、60人以上の宗教指導者たちが医療カナビスの制定を支持する呼びかけを行っている。
また NORMLのアレン・ピエール事務局長 によると、3月中旬現在、医療カナビスを中心に、カナビスの合法化、非犯罪化などに関連する法案が24の州で36本も提出されている。もちろんそのすべてが成立する見込みがあるわけではないが、アメリカ社会全体に大きな変化が起きつつあることは間違いない。