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フロッガー医師の検証 > フロッガー医師の検証「ダメゼッタイ」
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「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ医学的検証(全文)

【はじめに】
我が国では大麻の使用は犯罪行為であり大麻取締法によって厳しく罰せられる。本来嗜好品の摂取は基本的には個人の自由であるはずだ。その自由を侵害し罰則を与えるにはそれなりの根拠が必要である。
我が国で薬物情報普及啓発の公的な事業を行っている「財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター」が作成した「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」によれば、その根拠とは、大麻が乱用薬物、いわゆるドラッグであり、「乱用者自身の精神や身体上の問題にとどまらず、家庭内暴力などによる家庭の崩壊、さらには、殺人、放火等悲惨な事件の原因にもなり、社会全体への問題と発展する。」ためとされる。

一方で、オランダをはじめとするEU諸国など、国によっては個人使用を認めている。むしろ、日本の罰則は世界でも厳しい方であり、少量所持であっても最低刑を懲役刑と定めているのはG8で唯一日本のみである。
大麻は覚せい剤・コカイン・ヘロインなど「ハードドラッグ」とは違い、毒性の緩やかな「ソフトドラッグ」であり、厳しい罰則は必要ないと考える人も多い。我が国でも、大麻使用の自由化を求める声があがり始めている。
果たして大麻は我が国のように厳しい罰則を設けるほど危険な薬物なのであろうか。それを明らかにするには大麻の精神や身体への影響についての医学的考察が必要である。
しかし、「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」の「薬物データベース、薬物別解説/大麻について」に記載されている薬物情報は、かつて麻薬防止センターが米国から輸入していた薬物標本の説明書を翻訳したもので、14年以上前の科学的・医学的根拠が全く分からない出典不明の情報であることが明らかとなっている。そのため、我々はこの薬物情報が医学的に評価できるものなのか検証を行う必要があると考えた。

【身体的影響】
■脳に対して
[本文]
『脳に対して;心拍数が50%も増加し、これが原因となって脳細胞の細胞膜を傷つけるため、さまざまな脳障害、意識障害、幻覚・妄想、記憶力の低下などを引き起こします。また、顕著な知的障害がみられます。』

[検証]
1.大麻で心拍数が50%増加するか。
大麻を使用することで、心拍数は20-100%増加すると報告されている(参考文献1-5)。これは、吸引後急性の反応として起こってくるもので2-3時間持続する。
この文章は正しいが、「心血管系について」の項目と重複する為削除を要求する。

2.心拍数の増加が脳神経の細胞膜を傷つけるか。
大麻使用時の心拍数の増加が原因となって脳細胞の障害が起こったとする論文は見つけることが出来なかった。
これについては、根拠となる論文の提示、もしくはこの文章の削除を要求する。
(そもそも大麻以外であっても、心拍数の増加が原因となって脳細胞の障害が起こるということは、医学的に一般的では無い。もしそのような報告があるのなら提示して欲しい。)

3.脳神経の細胞膜を傷つけるか。
1980年代の研究で、2匹のリス猿にTHCを投与した後に解剖し、脳皮層の海馬部位に傷害が見られた、というものがありこのようなことが主張され始めた(6)。ただ同じ結果を得るためには人間の精神作用必要量の200倍以上もの多量なTHCの投与が必要だった。実際、100倍ではいかなる損傷も見つかっていない(7)。また、CTスキャンを用いた研究でも、器質的な変化は立証されていない(8,9)。
これらの結果からは、通常の大麻使用で大麻が脳の器質的損傷を起こすことは結論付けることは出来ない。以上より、この文章の削除を要求する。

4.さまざまな脳障害、意識障害、幻覚・妄想、記憶力の低下などを引き起こすか。
「脳障害」というのが、次に続く「意識障害、幻覚・妄想、記憶力の低下など」と意味が重複しているので訂正、削除を要求する。また、幻覚・妄想というのは大麻の精神的影響の項目と重複する為削除を要求する。

5.意識障害・記憶力低下・顕著な知的障害を起こすか。
急性の影響(すなわち大麻の効果が出現している間)においては、認知障害・記憶障害があることは知られている。(これについては根拠となる論文の提示が必要である。提示すること。)しかし、それが後遺症として長期間残ってしまうことに関しては、コンセンサスが得られていない。
アメリカ政府が資金を拠出して行ったジャマイカ、ギリシャ、コスタリカの人口調査では、長期喫煙者と非喫煙者の認知機能に目立った違いは見られなかった(10)。
しかし、厳密な検査方法と電気生理学的な方法を用いて微妙で選択的な認知障害を認めたとする報告もある(11)。1999年に全米疫学学会誌に掲載された1300人を対象とした研究では「15年以上にわたってカナビスをヘビーに使った人とライトに使った人、全く使わなかった人の間で有意な認知機能の低下はなかった」と報告されている(12)。
以上から、大麻による知能低下は概ね一過性のものであり、もし残存したとしても顕著なものではないと考えられる。
顕著な知的障害については、削除を要求する。意識障害・記憶障害については主に急性の影響であることを追記することを推奨する。

[参考文献]
1. Hollister LE: Health aspects of cannabis. Pharmacol Rev 1986;38:1-20.
2. Hollister LE: Cannabis-1988. Acta Psychiatr Scand Suppl 1988;345:108-118.
3. Beaconsfield P: Some cardiovascular effects of cannabis.AmHeart J 1974;87:143-146.
4. Beaconsfield P, Ginsburg J, Rainsbury R: Marihuana smoking: cardiovascular effects in man and possible mechanisms. N Engl J Med 1972;287:209-212.
5. Reese T. Jones: Cardiovascular System Effects of Marijuana. J Clin Pharmacol, 2002;42:58S-63S
6. Heath, B.C. et al; Cannabis Sativa: Effects on Brain Function and Ultrastructure in Rhesus Monkeys. Biological Psychiatry 15:657 (1980).
7. Scallet, A.C; Neurotoxicology of Cannabis and THC: A Review of Chronic Exposure Studies in Animals. Pharmacology Biochemistry and Behavior 40:671-82 (1991).
8. Rimbaugh CL et al: Cerabral CT findings in drug abuse: Clinical and experimental observations. Journal Computer Assisted Tomography, 4:330-34 (1980).
9. Hannerz J., Hindmarsh T.: Neurological and neuroradiological examination of chronic cannabis smokers Annals of Neurology, 13: 207-210 (1983).
10. E. Russo et al. 2002. Chronic cannabis use in the Compassionate Investigational New Drug Program: an examination of benefits and adverse effects of legal clinical cannabis. Journal of Cannabis Therapeutics 2: 3-57. See Specifically: Previous Chronic Cannabis Use Studies.
11. Fletcher JM, Page BJ, Francis DJ.Cognitive correlates of long-term cannabis use in Costa Rican men. Archives of General Psychiatry, 1996, 53: 1051-1057.
12. C. Lyketsos et al. 1999. Cannabis use and cognitive decline in persons under 65 years of age. American Journal of Epidemiology 149: 794-800.

■呼吸器・肺に対して
[本文]
『気管支・肺に対して;乱用者は再三にわたり、濾過していない大麻の煙をすいこみ、出来るかぎり我慢して息を止めておきますので(こうすることで大麻成分をなるべく多く肺から吸収しようとする)肺などの呼吸器官に障害をもたらします。大麻のタールはタバコのそれよりも50%も多く含まれていますので副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、肺気腫、などの原因となります。また、大麻の煙には非常に多くの発癌性物質が含まれていますので肺癌なども引き起こします。 』

[検証]
1.呼吸器に対する影響。
大麻の呼吸器に対する影響では、大麻に特有な呼吸器障害というものは無く、喫煙つまり煙を吸い込むことによる害である。このことは、WHOの報告にも書かれており、大麻と煙草ではニコチンとカンナビノイド以外の呼吸器刺激物質と発癌物質はほぼ同じ成分である(1)。
したがって、この毒性を持って「ダメ。ゼッタイ。」を主張するのであれば、煙草について記載する必要が出てくる。

2.副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、肺気腫、などの原因となるか。
副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎の原因とはなりうるようである。しかし肺気腫については意見の分かれる部分であり結論は出ていない。
大麻使用により換気機能や末梢気道の障害が引き起こされるという報告がある一方(2)、大麻使用は慢性閉塞性肺疾患や肺気腫の発症と相関しないとする報告もある(3)(4)。(考察:このことはTHCが気管支拡張作用をもつことと関連しているのかもしれない。)
大麻が肺気腫の原因となるとは断定できないことから、この部分に関して変更を要求する。

3.大麻が肺癌の原因となるか。
大麻が肺癌の原因となりうるかということについては、大麻が煙草よりもタールを多く含むことから、そのように考えられてきた。また、症例報告レベルではあるが、若年者呼吸器癌患者が大麻喫煙者であったという報告がある(5)。しかし、アルコールや煙草などの交絡因子が除外できずエビデンスレベルは低い。
最近では2006年にUCLAの研究グループから発表された疫学調査で、大麻の大量長期間使用でも肺癌のリスクの増加は認められないと報告された。さらに肺だけでなく頭頚部癌や食道癌のリスクも増加させないという結果であった(6)。
大麻が煙草よりも多くタールを含むにもかかわらず、発癌のリスクを上昇させないことの考察として、大麻の成分に抗癌物質が含まれていることが示唆される。実際に、2007年のAmerican Association for Cancer Research (AACR)の年次学会で、ハーバード大学の研究チームから、実験室レベルの報告ではあるが大麻の成分であるTHCが肺がん細胞株の成長や転移能力を抑える(7)、という報告があり、今後の研究が期待される。
以上より、大麻が肺癌の原因となりうるかについては、現在のところ否定的と言える。この項目の削除を要求する。

[参考文献]
1. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
2. Bloom JW et al.: Respiratory effects of non-tobacco cigarettes. British Medical Journal, 1987, 295: 516-518.
3. Gil E et al.: Acute and chronic effects of marijuana smoking on pulmonary alveolar permeability. Life Science, 1995, 56(23-24): 2193-2199.
4. Tashkin DP et al.: Longitudinal changes in respiratory symptoms and lung function in non-smokers, tobacco smokers and heavy, habitual smokers of marijuana with and without tobacco. In: Marijuana: An International Research Report. Proceedings of Melbourne Symposium on Cannabis 2-4 September, 1987. National Campaign Against Drug Abuse. Monograph Series Number 7, eds. Chesher G, Consroe P, Musty R. Australian Government Publishing Service, Canberra, 1988, pp 25-30.
5. Taylor RM.: Marijuana as a potential respiratory tract carcinogen: a retrospective analysis of a community hospital population. Southern Medical Journal, 1988, 81, 1213-1216.
6. Mia Hashibe et al.: Marijuana Use and Lung Cancer: Results of a Case-Control Study Marijuana Use and the Risk of Lung and Upper Aerodigestive Tract Cancers: Results of a Population-Based Case-Control Study. Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention Vol. 15, 1829-1834, 2006.
7. Anju pree, Ramesh KG, Jerome EG, et al.: Δ-9 Tetrahydrocannabinol inhibits growth and metastasis of lung cancer. AACR Annual meeting 2007.

■心臓・血管に対して
[本文]
『心臓・血管に対して;心不全、不整脈、胸痛、狭心症、白血球の減少に伴う免疫性の低下、などがあります。』

[検証]
1.心不全、不整脈、胸痛、狭心症が起こるか。
狭心症患者において胸痛が起こりやすくなる(1)、心筋梗塞のトリガーとなりうる(2)、という報告があり虚血性心疾患などの既往があるものに関しては注意が必要であると思われる。しかしWHOレポートで若年、健康成人で深刻な心血管系への影響の報告は少なく、ありそうも無いとしている(3)。
心血管系の疾患があるものに関しては注意が必要である、という記述に変更すること。

2.白血球減少に伴う免疫性の低下が起こるか。(本筋ではないが、白血球減少は心血管系ではない。)
大麻喫煙による白血球減少について述べた論文は見つけることが出来なかった。根拠となる論文の提示を要求する。
大麻が免疫を低下させる、と言われ始めたきっかけは、大麻喫煙者の白血球に免疫賦活剤を加えたときに通常より活性化が抑えられたとする報告である(4)。しかしこれは幾つかの追試がなされ再現性は無かった(5)(6)(7)。白血球の活性化能の低下と白血球減少を勘違いしているのではないか。さらにこれは否定されているので二重に間違えていることとなる。
WHOのレポートでは、実験室レベルでは大麻が免疫を変化させることはわかっているもののその影響は比較的小さく、健康への影響があるかどうかははっきりしないとしている(3)。
また、ジャマイカ、コスタリカ、ギリシャで行われた3つの大規模な疫学研究でも、大麻使用者と対照群の間に感染性疾患の罹患率に差は認められていない(8)。
HIV患者は免疫不全となり重症感染症を引き起こしやすくなるが、HIV患者においても大麻が発症を早めたり症状を悪化させたりしないとする報告がある(9)。
大麻による免疫性の低下は否定的と考える。この記述の削除を要求する。

[参考文献]
1. Aronow WS, Cassidy J: Effect of marihuana and placebo-marihuana smoking on angina pectoris. N Engl J Med 1974;291:65-67.
2. Mittleman MA, et al.: Triggering myocardial infarction by marijuana. Circulation 2001;103: 2805-2809.
3. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
4. Nahas G.G. et al.: Inhibition of Cellular Mediated Immunity in Marijuana Smokers. Science 183: 419-20, 1974.
5. Lau R.J. et al.: Phytohemagglutinin-Induced Lymphocyte Transformation inHumans Receiving Delta-9-Tetrahydrocannabinol, Science 192: 805-07, 1976.
6. White, S.C. et al.: Mitogen-Induced Blastogenetic Responses to Lymphocytes from Marijuana Smokers. Science 188: 71-72, 1975.
7. Wallace, J.M. et al.: Peripheral Blood Lymphocyte Subpopulations and Mitogen Responsiveness in Tobacco and Marijuana Smokers. Journal of Psychoactive Drugs 20:9-14, 1988.
8. Carter, W.E. (ed), Cannabis in Costa Rica: A Study of Chronic Marijuana Use, Philadelphia: Institute for Study of Human Issues (1980); Rubin, V. and Comitas, L., Ganja in Jamaica, The Hague: Mouton (1975); Stefanis, C. et al, Hashish: Studies of Long Term Use, New York: Raven Press (1977).
9. Coates, R.A. et al.: Cofactors of Progression to Acquired Immunodeficiency Syndrome in a Cohort of Male Sexual Contacts of Men with Immunodeficiency Virus Disease. American Journal of Epidemiology 132: 717-22, 1990.

■生殖器官に対して
[本文]
『生殖器官に対して;生殖能力に障害が生じ、遺伝子の異常や突然変異をもたらします。男性ではテストステロン(性ホルモン)を44%も低下させます。また、女性では生殖細胞に異常を生じます。大麻の有害成分は胎盤関門(母胎血液と胎児血液の間に胎盤膜によって形成されている半透過関門)をも通過して胎児にも影響を及ぼしますので胎児の大麻中毒や流産、死産の原因にもなります。』

[検証]
1.生殖能力に障害を生じるか。男性でテストステロンを低下させるか。
生殖機能というと、広い範囲の言葉となるため、男性ホルモン、女性ホルモン、精巣、卵巣と言い換えたい。男性ホルモンを減少させるかについてもここで検証を行う。

a. 男性ホルモンについて。
動物実験においては大麻、THCが男性ホルモンを減少させるとする報告がある(1)(2)。
しかしヒトにおいては、初期の研究で大麻の曝露はヒトの男性の血漿中LH、テストステロン濃度の一時的な減少を生じるとする報告があるものの(3)、その後の研究で経口のTHCあるいは大麻喫煙のどちらもLHとテストステロンの血漿中濃度への影響はないとする報告が続いた(4)(5)(6)。
ヒトにおいては大麻の男性ホルモンへの影響は不明瞭で、もしあったとしても、生殖機能に影響を出すレベルではない。以上より男性ホルモンを低下させるという文章の削除を要求する。

b. 女性ホルモンについて。
動物実験において、LH、FSHとプロラクチンの下垂体分泌を変えるとする報告がある(7)(8)。
ヒトにおいては、月経周期の黄体期の間にLHとプロラクチンが抑制され、それによって性周期が短くなるという報告がある(9)(10)。
しかし、慢性的な大麻使用者でLH、FSHとプロラクチンの変化が無かったとする報告もある(6)。

c. 精巣卵巣機能について。
動物実験においては、精巣や卵巣の重量が減少したとする報告がある。しかし、ヒトにおいてそのような報告は無い。

d.まとめ。
ホルモンなどの項目においては、大麻により影響があるという報告があるものの、男性ホルモンについては再現性が無い。女性ホルモンに関しては、性周期に影響があるとする報告がある。
しかし、大麻が生殖能力を障害し不妊になるとするという疫学的研究報告は見つけることが出来なかった。もしそのような報告があるのなら提示を要求する。もし無いのであれば、生殖能力に障害が生じるという文章の削除を要求する。

2.遺伝子の異常や突然変異をもたらすか。
大麻が遺伝子への変異原性を持つかについては、今まで幾つかの実験室レベルでの報告があり、大麻の煙成分を濃縮したものを細胞に加えエイムス試験法で変異原性を認めたとするものがある(11)(12)。
しかし純粋なTHCには変異原性が無いという報告がある(13)(14)。
このことは大麻の煙による発癌の危険性を示唆するが、前項「気管支・肺に対して」で検証したとおり、大麻による発癌は確認されておらず、実際のリスクとはなっていない。
以上から煙成分を濃縮したものでエイムス試験法を行ったときに変異原性が確認されている、という記載に変更する事を推奨する。

3.女性で生殖細胞に異常を生じるか。
WHOレポートでは大麻使用で親が子供に伝えるような染色体や遺伝子の異常をもたらすという証拠ほとんどないとしている(15)。
この項目の削除を要求する。

4.胎児の大麻中毒、流産、死産の原因となるか。
WHOレポートでは、妊婦の薬物使用の疫学的研究はサンプリングが不確実なため評価するのが難しいとしている。その中で出生時体重の減少は関連がありそうである(16)。
これは、煙草と同じメカニズム、低酸素血症によるものではないかと考察されている。流産・死産についてはエビデンスのある報告を見つけることが出来なかった。
論文の提示、もしくはこの項目の削除を要求する。
ただし、臨床的視点で考えれば妊娠中の大麻使用が問題ないとは言えない。これについては不明な点が多く、真に必要でなければ、胎児の事を第一に考えて妊娠中の大麻使用は控えるべきである。

[参考文献]
1. Symons AM, Teale JD, Marks V. Effects of Δ-9-tetrahydrocannabinol on the hypothalamic-pituitary-gonadal system in the maturing male rat. Journal of Endocrinology, 1976, 68: 43.
2. Puder M et al. The effect of Δ-9-tetrahydrocannabinol on luteinizing hormone release in castrated and hypothalamic differentiated male rats. Experimental Brain Research, 1985, 59: 213-216.
3. Schaefer DF, Gunn CG, Dubowski KM. Normal plasma testosterone concentrations after marihuana smoking. New England Journal of Medicine, 1975, 292: 867-868.
4. Markianos M, Stefanis C. Effects of acute cannabis use and short-term deprivation on plasma prolactin and dopamine-B-hydroxylase in long-term users. Drug & Alcohol Dependence, 1982, 9:251-255.
5. Dax EM et al. The effects of Δ-9-tetrahydrocannabinol on hormone release and immune function. Journal of Steroid Biochemistry, 1989, 34: 263-270.
6. Block RI, Farinpour R & Schlechte JA. Effects of chronic marijuana use on testosterone, luteinizing hormone, follicle stimulating hormone, prolactin and cortisol in men and women. Drug and Alcohol Dependence, 1991, 28: 121-128.
7. Steger RW et al. The effect of Δ-9-tetrahydrocannabinol on the positive and negative feedback control of luteinizing hormone release. Life Sciences, 1980, 27: 1911-1916.
8. Steger RW et al. Interactions of cocaine and -9-tetra cannabinol with the hypothalamo-hypophyseal axis of the female rat. Fertility & Sterility, 1981, 35: 567-572.
9. Mendelson JH, Mello NK, Ellingboe J. Acute effects of marihuana smoking on prolactin levels in human females. Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics, 1985, 232: 220-222.
10. Mendelson JH et al. Marihuana smoking suppresses luteinizing hormone in women. Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics, 1986, 237: 862-866.
11. Busch FW, Seid DA, Wei ET. Mutagenic effects of marihuana smoke condensates. Cancer Letters, 1979, 6: 319-324.
12. Sparacino CM, Hyldburg PA, Hughes TJ. Chemical and biological analysis of marijuana smoke condensate. NIDAResearch Monographs, 1990, 9, 121-140.
13. Zimmerman AM, Stich H, San R. Nonmutagenic action of cannabinoids in vitro. Pharmacology, 1978, . 16: 333-343.
14. Berryman SH et al. Evaluation of the co-mutagenicity of ethanol and Δ-9-tetrahydrocannabinol with Trenimon. Mutation Research, 1992, 278: 47-60.
15. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
16. Day NL, Cottreau CM, Richardson GA. The epidemiology of alcohol, marijuana, and cocaine use among women of childbearing age and pregnant women. Clinical Obstetrics and Gynaecology, 1992, 36(2): 232-245.

【精神的影響その1】
(精神的影響の項目は本文が長い為2つに分けて検証を行う。)
[本文]
『大麻を摂取すると、五感に異常が起こり、いつもより感覚が鋭くなったような錯覚に陥ります。その状態には独特の心地好さやリラックス感があり、からだもほぐれるような気分になります。しかしそれは真のリラックスではなく、ただやる気がなくなったり、物事がどうでもよくなる、などの投げやりな気分になっているに過ぎません。大麻にはそれほどの依存性がないとの誤解から、繰り返し乱用する人も多くみられます。』

[検証]
1.大麻によりやる気がなくなったり、物事がどうでもよくなる、などの投げやりな気分になるか。

この文章は、俗に言われる無動機症候群のことを指しているものと思われる。無動機症候群という概念は、米国で若者の大麻使用が増加した1960年代終わりごろから言われ始めたもので、大麻によりやる気が無くなり非生産的で無責任となるという説である。
WHOレポートでは、無動機症候群という「仮説」の病態は調整因子を考慮していない臨床観察から言われていることであり、大量に大麻を使用している者ではやる気を失うと言う自己申告によるエビデンスはあるものの、無動機症候群は明確に定義されないとしている(1)。
大麻によりやる気を失い生産性が低下するという説を否定する報告も幾つかある。大学生を対象とした長期調査で大麻使用者のほうが使用していないものよりも成績がよく、ほとんど同じように学業を達成している(2)(3)。
ジャマイカ、コスタリカ、ギリシャで実施されたフィールド研究でも、無動機症候群を示す証拠は見つかっていない(4)。
大麻を使用し94日間観察した研究で学習や成績あるいは意欲に目立った悪影響は何もなかった(5)。
別の31日間の研究では、マリファナを与えた被験者のほうが対照群よりも長時間働いた(6)。
大量使用者においてはやる気がなくなるとされているが、WHOレポートでは大量使用による慢性の酩酊状態と明確に区別されないとしている。アルコールと同様で大麻の効果があり酩酊している間は他の活動が低下するということはあると思われるが、通常の使用においては短期間のもので永続しないと考えられる。
また、通常は大麻をレクリエーションの目的で使用する事を考えると、酩酊の間にやる気がなくなることが社会的問題につながるとは考えられない。
大量、長期使用者においてやる気が無くなる可能性がある、と言う内容に訂正する事を推奨する。
「真のリラックスではない」との記載があるが、「真のリラックス」の定義が不明である。「真のリラックス」とはどのようなものを指すのか、また、大麻のリラックスが「真のリラックス」では無い根拠を示す必要がある。

2.大麻にそれ程の依存性が無いというのは誤解か。
米国での報告では、精神障害診断基準(DSM-IV)による統計で、大麻使用者の10%が依存症状を経験したことがあるが、一方でアルコールは15%、コカインは17%、タバコは32%もの人が依存症状を示している(7)。
また、2002年にカナダ上院によって発表された報告では、大麻の依存性は、アルコールやタバコなど他の向精神物質に比較して深刻なものではないとしている(8)。
また、1993年に米国で行われた疫学調査によると、12才以上の米国人で過去に1度でも大麻を使用したことがある人が34%なのに対して、過去1年で使用率9%、過去1ヵ月で4.3%、1週間前までだと2.8%であった。これは、体験した多くの人が繰り返し乱用しないという事を示す(9)。
以上から、アルコール・タバコ依存は社会的な問題であることを考慮しても、大麻はそれ程依存性が無いという意見は出て当然である。これを誤解と言い切るのは言いすぎである。

[参考文献]
1. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
2. Mellinger, G.D. et al, "Drug Use, Academic Performance, and Career Indecision: Longitudinal Data in Search of a Model," pp 157-77 in D.B. Kandel (ed), Longitudinal Research on Drug Use: Empirical Findings and Methodological Issues, Washington, DC: Hemisphere (1978).
3. Mellinger, G.D. et al, "The Amotivational Syndrome and the College Student," Annals of the New York Academy of Sciences 282:37-55 (1976).
4. Carter, W.E. (ed), Cannabis in Costa Rica: A Study of Chronic Marijuana Use, Philadelphia: Institute for Study of Human Issues (1980); Rubin, V. and Comitas, L., Ganja in Jamaica, The Hague: Mouton (1975); Stefanis, C. et al, Hashish: Studies of Long Term Use, New York: Raven Press (1977).
5. Cohen, S., "The 94-Day Cannabis Study," Annals of the New York Academy of Sciences 282:211-20 (1976).
6. Mendelson, J.H. et al, "The Effects of Marijuana Use on Human Operant Behavior: Individual Data," pp 643-53 in M.C. Braude and S. Szara (eds), The Pharmacology of Marijuana, Vol 2, New York: Raven Press (1976).
7. National Academy of Sciences, Institute of Medicine. 1999. Marijuana and Medicine: Assessing the Science Base. pp. 92-96.
8. Canadian House of Commons Special Committee on the Non-Medical Use of Drugs. 2002. Policy for the New Millennium: Working Together to Redefine Canada's Drug Strategy. p. 17.
9. Preliminary Estimates from the 1993 National Household Survey on Drug Abuse, Rockville, MD: U.S. Department of Health and Human Services (1994).

【精神的影響その2】
[本文]
『しかし慢性的な摂取は、じょじょに精神に障害を及ぼします。最初は情緒不安や集中力、忍耐力の低下、自発性のなさなどの障害ですが、それらは幻覚や妄想の引きがねとなり、常に朦朧とした意識状態に陥ったり、うつや偏執病的症状が現れてきます。こうなると、ちょっとした刺激や、もしくはまったく何の理由もなく、突然恐怖にかられたり、錯乱を引き起こしたりもします。また、長期乱用者には知的障害も起こることが報告されており、小学生程度の読み書き、計算しかできなくなるケースもあります。一旦こういった状態になると、たとえ大麻の摂取をやめても、数年もの間、症状がなくならない場合もあります。

■大麻精神病
大麻精神病とは大麻摂取によって起こる精神障害の総称ともいえる。この状態に陥ると、さまざまな症状が現れてくる。その症状は、精神活動の低下による抑制症状、精神運動興奮、幻覚妄想などの体験、気分や情動の異常、意識の変容など。それらがどういった症状を示すのか、詳しく説明してゆこう。

1 精神活動の抑制が引き起こす症状-無動機症候群、知的水準の低下 無動機症候群とは、大麻による抑うつ状態を表す。たとえば、ものごとへの興味や関心が極端にせばまり、自発的な活動や思考がほとんどできなくなってしまう。また注意力や集中力も落ち、ひとつのものごとを持続しておこなうことができなくなる場合もある。なにごとにも無気力で疲労を感じやすく、むっつりした様子やムラ気が目立つようになる。生産活動(仕事など)への興味も損なわれ、将来への展望もなく、退廃的で浮き草のような生活を送ることが多い。 重度の症例では、ほとんど無言、無動となり、終日ぼーっと過ごすなど、意識水準の低下が疑われるような状態になることもある。 大麻摂取を中断すると、通常は1~2週間でふつうの会話や行動がとれるまでに回復する。だが重度になると、活動性が回復するまでに数か月から1年余りを要する場合がほとんどだ。
知的水準の低下は、これらの症状にともなって現れてくる。複雑な会話は理解できず、簡単な計算も間違え、文章もひらがなばかりで幼稚な内容となる。このような状態は精神活動の回復とともによくなってゆくが、最終的に本来の知的水準までもどれるかどうかは不明である。こういった状態を「カンナビス痴呆」とも言う。

2 精神運動興奮 ちょっとした刺激にも簡単に心を乱され、怒りっぽくなったり、興奮しやすくなったり、気分が変わりやすくなる状態を精神運動興奮という。言動にまとまりがなくなり、粗暴な行為が目立つなどの状態は、1~3か月も持続することがある。

3 気分、情動、衝動の異常 大麻による抑うつ状態-無動機症候群や知的水準の低下については先程説明したが、それらの症状に、気分や情動、衝動の異常がともなう場合もある。この場合には抑うつ状態とは逆に、理由のない自殺企画や、衝動的に他人に乱暴をはたらくなど粗暴な行動が現れる。 こういった症状は、思考の混乱や情緒がいちじるしく不安定となり、それらの考えや不安に耐えきれなくなって、衝動的な行動を起こす、と考えられている。

4 幻覚妄想 大麻によって引き起こされる幻覚や妄想のほとんどは、本人に被害を与えるような内容のものである。主に幻聴で、何かを命令されたり、本人の行動に逐一干渉するような場合もある。症例によっては「神様が見える」「誰かが体を触る」など、幻視や幻触の体験も報告されている。 妄想の内容としては、誰かに見張られている、追跡されるなどの迫害妄想が多く、時に罪の意識を感じる罪業妄想、微小妄想、誇大妄想なども認められる。 その他、作為体験(ありもしない体験を事実とする)や、誰かの思考が伝わってくるという妄想、誰かの考えを吹き込まれるといった妄想、逆に自分の考えが誰かに奪われたりこっそり聞かれたりするといった妄想を伴うこともある。 これらの精神病的体験は、具体的で色彩感があり、覚せい剤による精神病の体験とよく似ている。いったんこういった症状が現れるとなかなか回復せず、2年間以上持続した例もある。

5 意識の変容 夢幻状態や錯乱、せん妄などを意識の変容という。大麻精神病の症状のひとつとして、こういった症状が数日~2週間以上、ときどき現れる場合がある。その間の記憶は脱落するか、断片的にしかのこらず、幻覚妄想もともなって、顕著な不安を引き起こす。

6 観念の抽出、思考の錯乱 この症状は、思考がばらけていくような感覚をもたらす。その感覚は以下のように表現されることが多い。「ふっと考えが頭に浮かび、それにどう対応していいか自分でもわからなくなる」「考えがバラけてしまってまとまらず自分でも困る」「質問されると、その言葉の意味が同時にいろいろと浮かんできて、どう答えていいかわからなくなる」など。 こういった思考の錯乱のほとんどが、1~5までの他の症状にともなって認められるが、場合によっては、この症状だけがまず現れてくるときもある。』

[検証]
■大麻精神病
WHOの見解では大麻精神病は仮説の病態であり、その存在は調整因子を考慮していない臨床観察から言われており、大麻使用者に併発した統合失調症や他の精神疾患と明確に区別できないとしている(1)。
また経過も多様であり、大麻との因果関係を確定することは困難で、診断基準や分類も一定せず、大麻精神病というclinical entityは確立していない(2)。
大麻精神病(仮説)は、「急性中毒」、「急性中毒性精神病」、「慢性中毒性精神病」に分類される。急性中毒については、精神症状としてパニックや不安、不快、恐怖感を伴ういわゆるBad Tripと呼ばれる嫌悪反応がある(3)。急性中毒性精神病としては、初心者が大量に摂取した後などに、急性・亜急性に幻覚・妄想などの異常体験、情動不安、記憶障害、失見当識、離人症、離人症を伴った錯乱症状を起こすことがあるとされる(2)。
これらは、一般に経過は短く一週間以内に回復するとされる。この2つについては因果関係についてのコンセンサスを得られている。
慢性中毒性精神病については、Thornicroftが、「大麻が精神病を新たに惹起する」、「潜在していた精神病を顕在化する」、「精神病を再発させる」、「精神病が大麻乱用をもたらす」、「両者の関係は偶然に過ぎない」、「無関係」、という6つのカテゴリーを指摘し、「両者の多面的な関連性」、「社会・文化的要因を超えた一貫性・均一性」、「特異性」、「発症の時間的平行性」、「摂取量との平行性」、「実験的再現性」、が検証される必要があり、現段階では大麻精神病という用語はもちいるべきではないとしている(4)。
また最近の研究で、統合失調症患者のうち大麻使用と非使用の間で症状の差がないとする報告(5)があり、この研究者グループは大麻精神病の存在に反対する意見を出している。

以上から、大麻と精神病は、急性の病的酩酊に限っては因果関係を認めるものの、慢性の精神症状への因果関係は証明されておらず、大麻精神病という用語は不適切であり、削除を要求する。

1.精神活動の抑制が引き起こす症状
・無動機症候群
無動機症候群については前項「精神的影響その1」に記載したが、無動機症候群はヘビーユーザーにおける慢性中毒と区別されず明確に定義できない。また、アルコールや他の薬剤乱用者、精神障害者においてもしばしば観察されることであり、大麻に特有なものとはいえない。
我が国における大麻精神病の報告ではその大半に無動機症候群の症状を認めるが、報告数は30例以下と少ない(6)(7)。
1997年の一般人口調査で大麻使用経験者が0.5%である(8)事を考えると、その頻度は少なく稀な病態と考えられる。
大麻との因果関係が不明であり、かつ稀な病態を、使用者に一般的に起こりうるような印象を与えるような記載をすることは望ましくない。大量、長期使用者に対する勧告にとどめることを推奨する。

・知的水準の低下
「身体的影響、脳に対して」で検証を行ったとおり、大麻による知能低下は概ね一過性のものであり、もし残存したとしても顕著なものではないと考えられる。また前項「精神的影響その1」においても提示したが、大麻により学業・生産性の低下が無かったとする報告もあり、大麻により知的水準が低下するエビデンスはない。
文章がひらがなばかりになるというのは、徳井らの報告(6)によるものと思われるが、以下のような問題点がある。「一例の報告であり一般化することには無理がある。」「大量使用歴がある。」「LSDやヘロインの使用歴があり他の薬剤の影響がある。」「海外にてヘロイン中毒で入院し、退院後窃盗で逮捕され、強制送還後に発症しており強い心理的ストレスが予想される。」以上から、大麻が原因であるとは言い切れず、一般化することは出来ない。
この文章の全面的な改訂もしくは削除を要求する。

2.精神運動興奮(怒りっぽくなる。興奮しやすくなる。粗暴な行為が目立つ。他人に暴力をはたらく。)
大麻と暴力の関連は証明されていない。ラットの実験で、大麻投与により他のラットをかみ殺すという報告があるものの、ヒトにおいては実証されていない。
2002年のカナダ上院の「大麻に関する討議資料」で、「大麻の使用が犯罪を誘発することはなく、攻撃性や反社会的行為を助長することもない]と報告されている(9)。
また、2002年のイギリスのドラッグ乱用審議委員会の報告書で、「大麻にはアルコールと大きく違う側面があり、リスクを高めるような行動を取らないようにする性質があるように思われる。」「このことは、アルコールの使用が自殺や事故や暴力などの大きな要因になっているのと異なり、大麻が他人や自分自身に対して暴力的になることはめったにないということを示している」と述べられている(10)。外傷を持つ900人の患者の退行心理分析で、大麻単独使用では入院を要するような暴力あるいは非暴力のどちらの傷害とも関連性はないとする報告がある(11)。
大麻により粗暴になり暴力をはたらくことはなく、削除を要求する。

3.気分障害、抑うつ。
急性中毒症状、いわゆるBad tripで抑うつとなることはあるが、慢性のうつとの関連は否定的である(12)(13)。

4.幻覚妄想
本文中にあるような症状は統合失調症でもしばしば見られるものであり、大麻による特異的な症状とは言えない。前項「大麻精神病」でも記載したが、大麻使用者に起こった統合失調症と区別することが出来ない。

5.意識の変容
急性の反応として起こりうる。しかし、初心者の大量使用時など、病像形成には病前性格や発病状況などの影響も大きい(2)。

6.観念の抽出、思考の錯乱
本文中にあるような症状は統合失調症でもしばしば見られるものであり、大麻による特異的な症状とは言えない。前項「大麻精神病」でも記載したが、大麻使用者に起こった統合失調症と区別することが出来ない。

[参考文献]
1. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
2. 横山尚友洋: 大麻(カンナビス)精神病.精神医学 34:839, 1992.
3. Rottenburg D, Robins AH, Beb-Arie O, et al.: Cannabis associated psychosis with hypomanic features. Lancet ii: 1364, 1982.
4. Thornicroft G: Cannabis and psychosis. Br J Psychiatry 157: 25, 1990.
5. J. Boydell, K. Dean, R. Dutta, at al.: A comparison of symptoms and family history in schizophrenia with and without prior cannabis use: Implications for the concept of cannabis psychosis. Schizophrenia Research, In Press, Corrected Proof, Available online 25 April 2007.
6. 徳井達司,来元利彰,岩下覚ほか:大麻精神病の6例.精神医学 31: 919,1989.
7. 福田修二,鈴木二郎:大麻精神病の4症例.臨床精神医学 23: 1467, 1994.
8. 福井進,和田清,菊池秀一ほか:薬物乱用・依存の世帯調査。平成9年厚生科学研究「薬物依存・中毒者の疫学調査及び精神医療サービスに関する研究班」,薬物乱用・依存の多面的疫学調査研究(3),pp7-48, 1998.
9. Canadian Special Senate Committee on Illegal Drugs. 2002. Discussion Paper on Cannabis.Ottawa. p.4.
10. United Kingdom's Advisory Council on the Misuse of Drugs. 2002. The Classification of Cannabis Under the Misuse of Drugs Act of 1971. See specifically: Chapter 4, Section 4.3.6.
11. Blondell R et al. 2005. Toxicology Screening Results: Injury Associations Among Hospitalized Trauma Patients. March 2005. Journal of Trauma Injury, Infection, and Critical Care, 58: 561-70.
12. Harder VS, Morra AR, Arkes J, et al.: Marijuana use and depression among adults: testing for causal associations. Addiction 101: 1463, 2006.
13. Monshouwer K, Dorsselaer VS, Verdurmen J, et al.: Cannabis use and mental health in secondary school children: Findings from a Dutch survey. Br J Psychiatry 188: 148-153, 2006.

【まとめ】
まず、このホームページには根本的な問題がある。それは、記述された内容の根拠となる論文が記載されていないことである。これでは、閲覧者がその内容について真偽を確かめることが出来ない。これについては、改める必要がある。

大麻の害についてはまだ不確定な部分が多く、政治的な立場により害の評価が変わってくる。ダメゼッタイに書かれている大麻の害は、まさに政治的立場から害を過度に誇張していることが明らかとなった。
しかし、世界的には大麻に関する医学的「エビデンス」は確実に蓄積されてきており、米国や欧州の公的機関から科学的根拠にもとづいた報告書(1-4)が数多く出されている。我が国においても、他の先進国と大麻に関する見解を共有するべきであり、正しい知識に基づかないキャンペーンを取りやめるべきである。

身体の害で重篤なものは無かった。特に、肺癌との関連は広く信じられているにもかかわらず、根拠が無かった。

重篤でないものは、
・呼吸器系:気道の炎症を引き起こす。これは煙による害であり、経口摂取やベポライザー(5)とよばれる蒸気を吸い込む器具を用いることにより防ぐことが出来る。
・心血管系:心疾患を持つものでは注意が必要である。
・妊娠中の大麻喫煙と胎児の異常:明確なエビデンスはないものの不明な点が多く、真に必要でないならば胎児の事を優先すべきであり、推奨できない。

精神への害に関しての問題点は、「大麻精神病」である。大麻精神病という病名は明確に定義されたものではなくその存在に異論が多い。その中で、慢性中毒性精神病と分類されるものに関しては、大麻使用者に併発した統合失調症と区別できない。実際に欧米では大麻精神病という言葉はあまり使われず、大麻が統合失調症のリスクを上げるかという議論を行っている。

以上を踏まえると、大麻の精神への害は以下のように分類するべきである。
1.依存
2.急性中毒(酩酊):大麻の効果があるときの精神症状。
3.急性中毒性精神病:大麻吸引後急性もしくは亜急性に出現する錯乱症状。
4.統合失調症のリスク要因か否か。

依存に関しては、アルコールや煙草よりも問題が少ないことが明らかとなった。十分コントロールできるレベルと考えられる。
急性中毒で問題となるのは俗にBad tripと呼ばれる嫌悪反応である。これは使用者の心理的、環境的要因が大きく影響し、初心者に多いとされる。一過性であり回復する。大麻使用に慣れないものは一人で行わないようにする、落ち着く環境で行うなど対処が必要であろう。
急性中毒性精神病は初心者などが大量に摂取した場合に起こることがある。一般に短期間のうちに回復する。慣れないものは少量ずつ徐々に使用するべきである。このような病的酩酊はアルコールでもしばしば見られる。
統合失調症のリスク要因となりうるかは難しい問題である。大麻使用者で統合失調症のリスクを上げるとする報告(6)(7)(8)はあるが、大麻使用率が上昇したオーストラリアで統合失調症発症率は上昇しておらず実際のリスクとならないという意見(9)もある。その中で、思春期・若年者での使用では特にリスクを上げるという報告(8)があり、若年者の使用には注意が必要かもしれない。総合的に判断すると、大麻と統合失調症の間は明確な因果関係というよりも小要因のひとつであり、発症素因を持つものに対して影響を与えるというモデルが最も合理的である。

以上、大麻の害について検証した。しかし、我々がさらに検証すべき点は、その害でもって大麻を厳しく規制することの妥当性である。
その為には大麻の害の程度を評価する必要がある。客観的な大麻の害の評価の為には、大麻と他の薬剤との比較を行い、薬剤の害をスケール化することが必要である。
2007年に、イギリス下院科学技術委員会の要請で開発研究されたドラッグの害と乱用度合を評価するための論理スケールが報告された。これは身体的害・依存症の害・社会的害など多方面からスコアリングし評価する方法である(10)。
その結果、大麻は調査したドラッグのうちで中程度であったが、大麻より一つ上のブプレノルフィンとの間にはスコア上の段差があり、ドラッグの害の分類を試みるに当たっては一つの分岐点になり得ることを示していた。さらに現在合法であるアルコールや煙草よりも害のランクが低かった。
大麻が有害であり、「ダメゼッタイ」すなわち絶対悪であるとするのであれば、それよりも有害であると評価されたアルコールや煙草についても記載を行うべきである。
もちろんそれをしない理由は予想できる。アルコールや煙草はもはや一般に広く拡散しており、文化的にも許容されていて規制による不利益が大きいためである(11)。
つまり、薬物の規制というのは、有害性だけではなく、文化的・歴史的・社会的要因が大きいということである。逆に言えば、大麻とアルコールや煙草の規制の違いは、有害性というよりも、文化的・歴史的・社会的要因が大きい。

「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの改正が予定されているとの事であるが、今までのように誇張された有害性で「ダメ。ゼッタイ。」と言うのではなく、大麻の正しく評価された薬物情報を示すことと、大麻規制の文化的・歴史的・社会的側面について触れるべきである。
我々は公正で科学的な審議を望んでいる。

[参考文献]
1. The Senate Special Committee on Illegal Drugs: Cannabis: Our Position for a Canadian Public Policy. 2002. (カナダ, 違法ドラッグに関する上院特別委員会)
2. Division of Neuroscience and Behavioral Health, Institute of Medicine: Marijuana and Medicine. Assessing the Science Base. 1999. (全米科学アカデミー医学研究所).
3. House of Commons Science and Technology Committee: Drug classification: making a hash of it? 2006. (イギリス下院, 科学技術特別委員会)
4. Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997. (WHO)
5. Abrams DI, Vizoso HP, Shade SB, et al.: Vaporization as a smokeless cannabis delivery system: a pilot study. Clin Pharmacol Ther. 11, 2007.
6. Andreasson S, Allebeck P, Engstrom A, et al.: Cannabis and schizophrenia: A longitudinal study of Swedish conscripts. Lancet, vol 2, 1483, 1987.
7. J. van Os, M. Bak, M. Hanssen, et al.: Cannabis Use and Psychosis: A Longitudinal Population-based Study. Am J Epidemiol, 156, 2002.
8. Arseneault L, Cannon M, Poulton R, et al.: Cannabis use in adolescence and risk for adult psychosis:longitudinal prospective study. BMJ, 325, 23, 2002.
9. Degenhardt L, Hall W, Lynskey M, et al.: Testing hypotheses about the relationship between cannabis use and psychosis. Drug and Alcohol Dependence 71 37, 2003.
10. Nutt D, King LA, Saulsbury W, et al.: Development of a Rational Scale to Assess the Harm of Drugs of Potential Misuse. Lancet, 369, 1047, 2007.
11. 林原雅樹, たばこ・アルコール・大麻の法的規制:市民的自由と刑事制裁の境界領域, 社会環境研究, 11, 33, 2006.

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