神話 8

カナビスは 脳障害を引き起こす


The Lindesmith Center
Lynn Zimmer, John P. Morgan
http://www.druglibrary.org/schaffer/hemp/general/mjmyth/Exposing_08_1095.html


反対論者たちは、カナビスが脳細胞に障害を与えることがわかっており、それが原因になって記憶喪失や認知機能障害や学習障害を起こす、と言い立てている。


事実
この主張の根拠になっている研究は、2匹のリス猿にTHCを投与し、死後解剖して脳の部位ごとの構造変化を調べたもので [51]、主要な変化が、学習や記憶に重要な役割を担っている脳皮層の海馬部位に見られ、人間のカナビス・ユーザーの脳にも悪影響がある可能性を示唆するものとされた。

追認研究でも、リス猿を使い同様な脳変化は確かめられているが、ただ同じ結果を得るためには人間の精神作用必要量の200倍以上もの多量なTHCの投与が必要だった。実際、100倍ではいかなる損傷も見つかっていない [52]

最も最近発表された研究では、リス猿に顔マスクを装着し1日あたりジョイント4〜5本相当の煙を1年にわたって吸引させた実験が行われ、7ヵ月後に解剖されたが、海馬の構造、細胞の大きさや数、シナピスの配置などには何の変化も認められなかった。研究者は結論として次のように書いている。

猿に煙を吸引させている間には行動や神経内分泌的な影響が見られたが、1年におよぶ煙の処方後の7ヵ月目の脳には、カナビスの影響によるいかなる神経病理学的および神経化学的な影響も無かった [53]

2匹のカナビス猿で脳の損傷が起こったという報告から既に20年も経過しているが、脳細胞に損傷を与えるという主張は実質的に証明されていないといえる。

死後解剖調査ではないが、人間のカナビス・ユーザーの脳の研究も行われている。その多くがカナビスの脳認知機能への影響に関するもので、実験用の施設のなかで被験者にカナビスを与え、注意力、学習力、記憶力などについて各種の測定を行って対照群と比較している。

多くの研究では目立った違いが見つかっていない [54]。実際、カナビスの酩酊が過去の学習記憶を損なわないことを示す実験結果がたくさん得られている [55]。ただ、特にカナビスの使用量が多い場合に、新しい情報を恒久的な記憶に変換する能力を阻害するという事例も見つかっている [56]

カナビスでハイになっている間に限れば学習能力が低下するということは一般に認められているが [57]、たとえ長期ユーザーであってもカナビス・ユーザーが長期の記憶や行動障害に苦しむといった例はない。実際、長期のカナビス・ユーザーと非喫煙者を対象とする研究が多数行われているが、学習力、記憶の想起力、その他の認知機能に目立った違いは見つかっていない [58]