オランダ

カナダでの医療カナビス販売に意欲


Source: The Canadian Press
Pub date: 8 May 2009
Dutch eye medical weed market in Canada
Author: Steve Lambert, The Canadian Press
http://www.cannabisculture.com/v2/content/
dutch-company-eyes-medical-marijuana-market-canada


カナダでは医療カナビスの使用が認められているが、認定を受けた患者やケアギバーが自分で栽培するか、または政府が独占供給するカナビスを購入する必要がある。しかし、政府のカナビスはさまざまな面で評判が悪く、認定患者全体の20%以下しか購入していない。また最近の裁判で、政府による独占供給体制が憲法違反だとする判決も下されている。

こうした状況を見て、オランダで医療カナビスを生産している会社が、カナダの医療カナビス患者にも自社製品を使ってもらいたいとして、品揃えなどについてカナダ政府にアドバイスを提供している。

この会社は、オランダ政府の委託を受けて医療カナビスを生産しているベドローカン有限責任会社(Bedrocan B.V.、フローニンゲン州フェーンダム)で、現在ではTHCなどの成分構成の異なる3種類の医療カナビスを提供している。

オランダの医療カナビス供給は6年ほど前から始まっているが、当初はTHC濃度の違う2種類(ベドローカン18%とベドノビノール11%)が用意されていた。シェアの大半を占めるベドローカンは、カナダ政府のTHC12.5%よりもずっと高くなっている。

THCは、カナビスの最も主要な活性成分で、癌やエイズ患者の吐き気を抑え食欲を増すことが知られているほか、緑内障や多発性硬化症の痛みを緩和する効果も認められている。

また、2年ほど前には、特に多発性硬化症患者向けに、THC濃度を抑えてCBD(カナビジオール)を豊富に含んだハイになりにくい品種ベディオール(THC6%、CBD7.5%)も加わった。CBDは、精神効果がない一方で鎮痛効果に優れているという特徴がある。

ベドローカン社のチャリング・エリケレンス主任は、「まず何といっても医療カナビスの種類を増やすことが必要です。患者さんたちにとっては、いろいろな種類から選べるということは非常に重要なことなのです。われわれの製品にはCBDを豊富に含んだものもありますが、ヨーロッパでは多くの医師がCBDに関心を持つようになってきています」 と話している。

多様な種類の製品を求める声はカナダの医療カナビス・コミュニティからも上がっている。7種類のカナビスを900人に供給しているバンクーバー・アイランド・コンパッション・ソサイエティのフィリップ・ルーカス代表は、「カナビスは品種ごとに異なった症状に効果をもたらすのです。さらにその効き方も人によって異なります」 と言う。

「これは、例えばうつの治療には1種類の薬だけではなくいろいろなタイプの薬があるのと同じことです。…カナビスは品種ごとに成分の構成が違いますから効果も違ってくるのです。ですから医療カナビスにはさまざまな種類があることが大切なのです。そのことを知らねばなりません。」

カナダ政府の医療カナビスは、マニトバ州の古い鉱山の地下廃坑を利用して栽培されている。栽培を請け負っているのはプレーリー・プランツ・システムで、厳格に管理された環境で1品種だけを栽培するように政府から求められている。

ブレント・ゼッテル社長は、「それは非常にタイトなもので、製品の均一性を高度に確保するために厳しいテストをしています」 と話している。

しかし、そのことが患者のニーズに適合しない原因にもなっている。政府の規則では、患者は自分で栽培するかまたはケアギバーを指定して栽培してもらうこともできるようになっているが、ケアギバーが栽培して供給できるのは特定の患者一人だけに限られている。

これに対して患者グループは、政府による独占供給をやめて、多数の患者に供給するプロバイダーも認めるべきだとする裁判を起こした。裁判では昨年、連邦地裁も控訴審でも政府側が敗訴し、今年の4月末には連邦最高裁も下級審を支持する判断を下している。

政府は昨年プレーリー・プランツ・システムとの契約を2011年まで延長する決定をしているが、それが終了するまでの間に、供給可能な他の会社が契約申入れすることも呼びかけている。

ベドローカン社はそれに加わることを検討しているが、現在、契約期間などの詳細についてカナダ政府に問い合せている。「今は、もっと詳しい情報を待っているところです。そしてその結果を見てどうするかを決めます」 とエリケレンス主任は語っている。

多彩な治療効果をもつカナビジオール
医療カナビスの効力と利用法 ホーンビイ博士の医療カナビス研究 (2005.10.11)
カナビジオール・ナウ! CBDで変わる医療カナビス・ディスペンサリー (2009.3.13)

神話  服用量を標準化できないカナビスは医薬品としては使えない

カナダ最高裁 政府の医療カナビス独占体制を終結させる判決  (2009.4.23)
カナダ連邦控訴審判決 政府の医療カナビス独占を認めず (2008.10.28)
カナダ連邦地裁、政府の医療カナビス栽培制限を認めず  (2008.1.11)

混迷するカナダの医療カナビス  (2008.2.27)
医療カナビスの合法使用プログラムに不熱心なカナダ政府  (2007.5.10)
カナダ・プレイリー・プランツ

ベドローカン、ベドノビノール、ベディオールの仕様 (PDF)

オランダ厚生省医療カナビス局
ベドローカン社
メディカル・マリファナ・スティヒチング研究所(SIMM)

ドイツ連邦医薬品研究所 オランダのハーバル・カナビスの使用を初めて認可 (2008.12.7)
オランダ、医療カナビスの販売継続へ、外国からの購入打診も  (2007.10.13)
フィンランド、医療カナビス患者を初認定 (2006.12.19)
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