サティベックス 投稿者:フロッガー 投稿日:2007/02/27(Tue) 11:35  No.1832   [返信]
サティベックスのライセンスを大塚製薬が取得したニュース、いい徴候であると思います。
そして、米国で「オピオイド系薬剤による治療で効果の見られない末期がんの患者の疼痛治療」第U/V相試験が行われるとの事ですね。
ここで簡単な解説をしておきたいと思います。
まず、癌疼痛治療について。現在癌疼痛治療はWHOの推奨するやり方で行うのが通常で、その中心はオピオイド、すなわちモルヒネなどの麻薬を中心とした治療です。オピオイドは非常に効果のある薬で大体は効果的なのですが、オピオイドが無効な場合があります。特に神経障害性疼痛が厄介です。
神経障害性疼痛とは、神経が直接障害を受けて発生する痛みで、例えば背椎へ癌が転移して太い神経を直接圧迫したり直接浸潤して起こる痛みです。現状では抗けいれん剤や抗うつ剤など神経の伝達を抑えるような薬で対応するのですが、あまり効果的とは言えず困ってしまうことが多いです。カンナビノイドがどの程度効果があるのかはまだ分かりませんが、以前の治験ではよい結果だったとのことから期待できそうですね。
治験で第U/V相試験を行うということですが、治験のシステムについて解説しておこうと思います。治験は主に第T〜V相の3つの相に分かれています。第T相は毒性を見たり、投与量を調べる試験です。第U相は安全性と共に効果について調べます。第V相は現状の治療と比較して効果的なのかということを調べます。第V相で効果が確認できれば新たな標準治療として認められることになります。サティベックスは第U/V相試験ということなので、この試験によって治療薬としての承認を受ける事を目的としているのでしょう。
あえて日本の企業である大塚製薬がライセンス取得したということは、日本での発売はもちろん視野に入れてのことだろうと思います。おそらく一番大きなターゲットは「癌疼痛治療目的」で、治験のやりやすいアメリカでデータを出して、その結果で日本での治験を勧める根拠とするのでしょう。大取り法は治験を行うのにそれ程障壁とならない、という見通しがあるのでしょう。企業の政治力と患者に役立つという大義名分があればクリアーできると思います。
大塚製薬のひとで仲良くしている人は特にいないのですが、大塚のMRさんがいたら情報をゲットしときます。