ダウさん 投稿者:フロッガー 投稿日:2008/09/25(Thu) 00:49  No.4006   [返信]
日本の医療大麻・カンナビノイド製剤で、THCのような市民運動がまず目標としなければならないことは、「大麻取締法第4条、医薬利用・研究の禁止」の改正であり、その後は国民・医学会によるいわば「神の見えざる手」的な決定がなされるだろうというのが、私の考えです。その後に私は医師として、その「神の見えざる手」の一部として働くことはあるかもしれません。
私が医師の立場で、医療大麻について申し上げるのであれば、私にとってそれは患者を良くするための道具であり、それを使いこなすにその効果と副作用を知る必要があると思っています。ただし、現状では使用できないので、論文からの知識がメインとなり、現場で実際経験しないと分からないことがたくさんある。それが私の限界でしょう。
現代の医師は「エビデンス」というものを重視します。これは、経験だけで医療を行うことの危険性、ともすれば独りよがりになるのを防ぐ意味があります。あとは、医療の質をキープするためです。ただし、現場では一人一人の病状は違いますし、経験による匙加減が医師の技量となるのだと思います。
このような公に対する場では、医師として「エビデンス」に基づかない発言は無責任です。大麻賛成論者の間では得てして大麻は万病に聞くといったファンタジーが起こりがちで、それは大きな間違いですから、きちんと科学的に立証された部分を述べ、それを抑制すると言う役割も私にはあるのです。科学的に立証されたものと言うのは、どうしても論文ベースの話になりますが、ご存知のように論文では仮説を単純化するためになるべく余計なファクターの無いカンナビノイド製剤を用いているものが多くなります。その為、大麻とカンナビノイド製剤の区別が曖昧となっているように見えるでしょう。さらに私の頭は疾患ベース・化学物質ベースであり、医療大麻の品種などはまだ実際に使用できない状況で実感がわかないというのが正直なところです。
ダウさんのおっしゃるように、医療大麻は患者の相互補助的なところから広まってきたもので、普通の医薬品の流通とは違うと思います。医療界はそれに後追いしているような印象を受けます。患者から上がってくるこのような動きを私はとてもよいものだと思っています。しかし、患者主体とはいえ、医療大麻が使用する人にとって本当に有益なのかということを、医療者がプロとしての目で見ていかなければならないと思います。例えば、癌に自然食品が効くといって、本当に効く治療を受けず、かえって不利益をこうむる人がいます。これは極端な例ではありますし、大麻に効果が無いと言いたい訳ではないのですが、科学の目が無いと危険もあると思うのです。
ダウさんは、分かってない、と思われるかもしれませんが、私は私の役割があり、その上のことなので、ご理解ください。