あれあれさんへ 投稿者:研修医 投稿日:2008/09/30(Tue) 02:04  No.4050   [返信]
現在精神科で研修しています。
せっかくなので医師の論理で述べまさせていただきます。
>少し語弊があるかもしれませんが、長期入院の患者のほとんどが、もともとの症状が原因ではなく、ケミカル製剤による人格破壊です。
>もちろん患者自体に素因はあるでしょうが、薬による人格破壊は明らかでしょう。
>なぜなら、ほとんどの患者に外見上、思考パターン、生活習慣に恐ろしいまでの共通項があるからです。
こう結論するためには、薬物療法をしつつ長期入院している患者さんと、薬物療法をしないで長期入院している患者さんとを比較しなければならないと思います。
統合失調症の陽性症状が強い時は、幻覚、思考伝播、被害妄想などから自傷他害の危険が高くなる人もいます。そんな人はたいてい周りから通報され、医療保護入院となり、薬物療法を受けることになるのですが…
薬物療法を受けない場合のメリット、デメリットについて考えてみてください。興奮、衝動が抑えられなくなり他人に迷惑をかけてしまうリスクを放置できるでしょうか。現在の医療において、薬物療法を放棄して患者さんを再び社会復帰させてあげることができるでしょうか。
教科書的には統合失調症の予後はその1/3が寛解、1/3が薬物療法しながらなんとか外来で、1/3が治療抵抗性で残念ながら人格荒廃にいたるとされています。「長期」入院中の患者さんの症状が似通っているのは何が原因と考えられますか。外来の患者さんも入院している患者さんと同じ薬を当然飲んでいます。
つい1世代前までは彼らは一生座敷牢でした。日本の精神医療は確かに薬物療法一辺倒な傾向は指摘されていますが、リスパダールが、ジプレキサが、セロクエルが患者を再び社会に復帰させる可能性があるのもまた事実だと思います。

ここからは個人の意見です。
とはいえ、「精神科医はなぜ…」のような本も出版されていたり、精神科医療に対する不信感?不透明感?を抱いている人は現在多いのだとわかります。症状が改善しない場合、医者を疑いたくなる気持ちももっともでしょう。
ですが、我々のような初期研修必修世代は、精神科志望であっても最初の2年間は産婦人科から外科までローテーションすることになっています。この世代の医師なら、心と体を不可分のものと考える機会は増えていくのではないでしょうか。これからの医療は少しは変わりたいと、変えたいと思うばかりです。
余談ですが、医療政策は厚生労働省、実行犯が医師です。診療報酬というしばりでもって、彼らは我々を操っています。また、一般病棟の看護師の数と精神科病等の看護師の数では精神科病棟のそれのほうが少なくてよいことになっています。それ以上雇うと赤字が増えます。暴力団が儲かり末端の市民が逮捕される構図は大麻と似ています。
長文失礼しました。