投稿者:野中 投稿日:2009/09/20(Sun) 20:37  No.5553   [返信]
PHOさんにお寄せ頂いた情報、オランダでコーヒーショップの利用制限法案は、我が国から提出された’不正目的のための大麻種子に関する決議’と関連する動きであると思います。

大麻種子に関する決議には、

・WHOによる1997年の大麻の健康影響に関する報告書が唯一の大麻に関する国際的な評価であることを強調すること
・全ての加盟国に対して1961年の単一条約の法令を遵守して、大麻植物の違法な栽培に対して断固とした処置をとることを強く迫ること
・INCBに対して、国際条約、国連のルールと手続きに従って、インターネットを通じた大麻種子の販売を含む、大麻種子に関する情報を加盟国から集め、共有することなどを要請すること

などが盛り込まれています。オランダ政府の動きはこうしたプレッシャーに対応するものだと思われます。

 WHOによる1997年の大麻の健康影響に関する報告書の公表以降、ヨーロッパを初め、カナダ、オーストラリア、アメリカ、南米のいくつかの国々など世界の多くの国々で大麻の個人使用目的の所持が非犯罪化されました。これは、同報告書を踏まえて、各国が人権を尊重する観点から、大麻の個人使用目的の所持に対して刑事罰を適用する措置が適切ではないとする判断を下したためだと考えられます。また、イギリス政府やEMCDDA、Beckley Foundationなど、世界の様々な国や組織、シンクタンクなどによる大麻の健康影響や政策などに関する最新の研究や報告書が提出されました。日本政府が今回の決議案を提出した背景には、このような動きを懸念し、牽制する狙いがあったものと思われます。

 WHOによる1997年の報告書では、大麻の個人使用目的の所持に対して刑事罰を適用するほどの大麻使用の有害性は立証されていません。現状において、大麻の個人使用目的の所持に対して逮捕・拘禁を伴う刑事罰を適用する措置は重篤な人権侵害であり、立法や行政の不作為にあたります。この問題の立証責任は明らかに日本政府にあります。

 そもそも、厚生労働省は、WHOによる1997年の報告書の日本語翻訳版を保有しているのでしょうか?保有しているとしたら、何故公表しないのか?何の信憑性も無い15年以上も前のアメリカ製薬物標本の説明書が誤った情報であることを認めておきながら、一方で、我が国の公的情報として法廷に提出したり、随意契約の天下り団体と化している(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターのホームページ上の記述を改めることなく放置し、国民を欺き続けることは許されてはなりません。

国内で大麻の健康影響に関する研究を禁じておきながら、今回のような決議案を提出した我が国の代表は、国際社会において多くの失笑とため息を買ったことでしょう。