カナビスの害削減パラドックス

エンドカナビノイド・システムによる体内の害削減



ロバート・メラメード博士
コロラド大学生物学教授

Source: Harm Reduction Journal
Date: 22 September 2005
Subj: Harm reduction-the cannabis paradox
Author: Robert Melamede
Web: http://www.harmreductionjournal.com/content/2/1/17



●概要

この論文では、今までにない観点からカナビスをベースにした害削減について考察している。害削減の中心的な命題は、単に社会的な側面ばかりではなく、生物学的な面にもある。もっと具体的には、道徳や社会規範をもとに区分けして害を評価するのではなく、カナビスに備わっている生物学的な害削減作用をどのように利用して人間の生存適応性を向上させるかというアプローチである。

ここでは、専門家たちが見出した科学的エビデンスを参考にしながら、人間を始めとするすべての動物がその進化の過程で体内にカナビスに似た物質(エンドカナビノイド)を自己生成して害削減してきた、という仮説を立ててその検証を試みている。

もっと簡潔に言えば、エンドカナビノイドによって、心臓血管、消化、内分泌腺、排泄、免疫、神経、筋骨格、生殖などあらゆる体内調整システムの恒常性が保たれ、システム全体が適切に働くことによって各個体の健康が維持されているということを立証することを目標にしている。



●序

害削減というコンセプトついては、それぞれの国によってドラッグ政策の基本にどのように位置付けるかをめぐって対立がある。害削減というアプローチの先駆はオランダだが、ドラッグ問題を抱える人々に対しては刑事罰で対処するのではなく、健康を取り戻すことを助けることを目指した政策のほうが社会全体の利益になるという立場を採っている。今日では、ヨーロッパの大半の国やカナダにおいてもそれに続いている。

これに対してアメリカ連邦政府は、違反者を投獄することに重点を置いたゼロ・トレランス政策に固執し、相変わらずドラッグ戦争を続けている。

確かに一見するとどちらの議論にもそれなりの理由が備わっているように見える。だが、害削減を採用する最近の世界の潮流の拡がりは、ドラッグの使用が古来からあらゆる社会で行われてきたことであり、それを抑圧しようとする政策は費用がかかる割りには効果がなく、害にすらなるという認識が定着してきたことを示している。


・注射針交換プログラムの成功 と ドラッグ戦争の失敗

害削減の利益を端的に表した例とすれば、ドラッグに使う注射針の交換プログラムがある。禁止論者たちは、きれいな注射針を提供することはドラッグの使用を促進してしまうと主張しているが、事実はそのようにはなっていない。

実際、オーストラリアの注射針交換プログラムでは、世界的な水準に比較してHIV・エイズの感染率を非常に低く抑えていることで高く評価されている。http://www.chr.asn.au/about/harmreduction.

一方、アメリカ政府が実施している抑圧政策の失敗例としては、過去の禁酒法と現在のドラッグ戦争がその顕著な例と言える。ドラッグ禁止法は、結果として多くの犯罪を誘発し、テロリストの財源確保を助け、法の軽視を生み、家族やコミュニティやエコシステムの破壊を引き起こしている。さらに、アメリカ政府の推進するドラッグ戦争のために膨大な税金が浪費されており、その額は年間何十億ドルにも達している。


・カナビスはゲートウエイにはならない

世界では、カナビスはタバコとアルコールに次いで3番目の多く使われているドラッグになっているが、特にアメリカでは、ドラグ戦争の中心に据えられて年間70万人以上の人が逮捕されるまでになっている。だが、果してこの政策に正当性があるのだろうか?

カナビスの禁止の理由の一つになっているゲートウエイ理論で、カナビスの使用が他のドラッグを使用を助長するとされ、アメリカの政策の大きな柱になっている。

しかし、アルコールとタバコの使用のほうが、ゲートウエイ効果が大きいとする指摘もある[1,2]。また、害削減を重点にしてハードドラッグに手を出さないような社会の実現をめざしている国もある。そうした国では、結果的にカナビスを非犯罪化することで効果をあげている。

実際、最もリベラルなドラッグ法を持っているオランダのカナビス・ユーザーの割合はカナビスに抑圧的な政策の国よりも低く、人口あたりのヘロイン・ユーザー数も少なくなっている。http://www.drugpolicy.org/global/drugpolicyby/westerneurop/thenetherlan/

オランダ司法省は、カナビス・ユーザーの中でヘロインを使っている人は0.16%しかいないと見積もっているが、この数字はカナビスがゲートウエイ・ドラッグであるという主張を支持していない。また、アメリカの保険福祉省のドラッグ乱用・精神衛生事務局の実施した2000年のドラッグ乱用に関する全国家庭調査でも、カナビスを試す人の圧倒的多数はハードドラッグを使うようにはならないことが示されている。


・生物学から見た害削減

害削減をさらに深く考えていくと、カナビスを体内に摂取するということ自体は、害削減的には具体的に何を意味しているかという疑問も出てくる。

この論文では、生物学的な観点からカナビスによる害削減について取り上げている。これには2つのアプローチがある。一つは、カナビスの使用によってどのような生物学的な影響があるかという検証で、もう一つは、そうした生物学的な面から考えてどのような社会的影響が派生してくるかを考察する方向である。

処方医薬品も含めて、いかなる薬物であれいったん体内に取り込めばポジティブな影響とネガティブな悪影響が出てくる。当然カナビスもその例にもれない。その影響は、摂取量や頻度や品質、そして最も重要なのが個々のユーザー特有の生化学的な反応で、それらが絡み合って影響の現れ方も変わってくる。

禁止論者たちはカナビス使用で起こるネガティブな悪影響に焦点を絞るが、一方で反禁止論者たちはポジティブな影響に焦点を当てようとする傾向がある。もし、それぞれの意見にそれなりの正当性があるとすれば、解くべき問題はネガティブとポジティブの影響のバランス点を見出すことにある。

最終的には、寛容政策と厳罰政策のどちらのほうが害削減に寄与して、社会全体とドラッグ・ユーザー双方にとってより良い結果を導き出せるかという問題に至る。


・害と害削減のパラドックス

社会科学と比べれば、生物科学のほうがより客観的な評価法を備えている。この論文で扱う中心テーマは、適切にカナビスを使えば、特に加齢によって頻度が増加する生化学的不均衡によって生ずる生理的な害を軽減することができるという点にある。

誤用や乱用とは違い、カナビスの適切な使用では、体内で自然に生成する内因性カナビノイドを補完して健康に著しくポジティブな効果を発揮する。要するに、6億年の進化の過程で作られたエンドカナビノイド・システムが、体内の恒常性を保つて生物体内の害削減に中心的な役割を演じているのである。

近年になって続出しているエンドカナビノイド・システム研究で得られた生物学的な知識を土台にして、カナビス使用の社会的意味合いを考察すると、カナビスにはパラドックスがあり、害があると主張されているカナビス使用が実は体内の害削減に関与していることが分かる。カナビスを適切に使用すれば、使わないよりも良い効果が得られる可能性がある。



●分裂する議論

カナビスの使用目的を大別すれば、余暇、医療、宗教の3つのカテゴリーに分けることができる。ここでは最後の宗教目的については扱わないが、余暇と医療については、カナビスの使用に賛成あるいは反対する人の中にも両者の目的は同じものだと言う人もいる。

賛成の人たちは、しばしば、医療的必要性が少しでもあればどのようなカナビス使用も正当化されると主張し、反対の人たちは、そもそもカナビスには医療価値などなく、医療を隠れみのにして本当は 「ストーン」 したいだけなのだと主張する。前者の主張は少し極端過ぎるが、後者も、エンドカナビノイドの生理機能についての最新の科学的知見を無視している。

また、カナビスの余暇利用に眉をひそめる人も多いが、一方では、大多数が医療使用には賛成している。

アメリカ連邦政府もカナビスの医療使用に対してはいかなる正当性もないと否定しながらも、一方では、ドラッグ乱用研究所(NIDA)は、食品医薬品局(FDA)の治験新薬温情プログラム(IND)で認められた少数の患者に対して現在も国が栽培したカナビスを毎月提供し続けている。

州においても、州議会での立法や住民投票によって医療カナビスの使用を認めているところもあれば[3]、従来どおり余暇と医療とを区別せずに取り締まっている州もある。



●治験新薬プログラム患者の現状

以下では、カナビスの医療使用に賛成あるいは反対の意見をより適正に評価するために、科学的な証拠にもとづいて、カナビスには健康へのメリットがあることを検証しているが、まず最初に、連邦の治験新薬プログラム患者の現状について触れておく。

このプログラムは、緑内障、慢性筋骨格疼痛、けいれんと吐き気、多発性硬化症にともなう痙縮などに対するカナビスの治療効果を臨床的に調べることを名目にした温情政策の一環として1978年に始められた。

現存する患者たちは11〜27年にわたってカナビスの提供を受けて使用し続けているが、驚くべきことに、カナビス使用によるネガティブな副作用に苦しんだというエビデンスは全く出てきていない[4]。



●エンドカナビノイド・システム

カナビスを使った調合薬は、てんかん、偏頭痛、出産、月経痛などの治療に何千年にもわたって使われてきた。しかしながら、その活性成分が特定されたのは比較的最近のことで、作用のメカニズムについては解明が始まったばかりと言ってもよい。

1967年にΔ9-テトラヒドロカナビノール(THC)がマッカラムらによって初めて単離されたが[5]、脳内にカナビノイド・レセプターが存在することは1990年まで知られていなかった[6]。

だが、それを契機に、同年にはレセプターのクローンも作られ[7]、かつてない程のスピードで解明が始まった。当然のことながら、カナビノイド・レセプターは人間が外部から摂取した植物の成分に結合するために存在しているとは考えられず、体内で生成される未知の結合物質(内因性リガンド)があるはずだとして、それを発見しようとする研究が盛んに行われた。

そして、1992年にアナンダミドが発見された[8]。この液状の代謝体は、現在エンドカナビノイド(内因性カナビノイド)と呼ばれるグループの中で最初に発見されたリガンド分子で、その後、数種類の違う分子が発見された。

エンドカナビノイドはレセプターと結合し、分解されて細胞内に移送されることでエンドカナビノイド・システムを形成しているが、このシステムを上手く操作すれば、広範囲な治療に応用できることが見込まれ、その実現化に向けた研究も始まっている[9,10]。

実際、現在では、世界中の大手の製薬会社や大学の研究者たちがカナビノイド関連の研究に取り組んでいるが[11]、研究の中心課題は、カナビノイド・システムの機能を調べ、目的とする病気や症状に応じてその活動を加速させたり減速させたりするのはどのように操作すればよいのか解明する点に絞られている。

例えば、イギリスのGW製薬はカナビスの抽出液をベースにしたサティベックスという製品を開発し、臨床試験を行っている[12]。また、フランスのサノフィ・アベンティス製薬は、エンドカナビノイドの働きを抑制するアンタゴニストを開発し、食欲を減退させて減量コントロールに使うことを目指している。



●エンドカナビノイド・システムの進化

カナビノイド・システムが形成され始めたのは、多細胞器官が初めて出現する6億年前にまで遡ると言われているが [13,14]、その初期のシステムの原型は、軟体動物[15] や腔腸動物[16] にみられる。

動物の進化が進むにしたがって、カナビノイド・システムがその生命の維持に果たす役割はますます大きくなっていった。現在では、このシステムが、あらゆる動物内の器官とその連係を司る恒常性(ホメオスタシス)の維持に深く関わっていることが知られている。

細胞内においては、カナビノイドが、グルコース代謝[17] のような基本的な代謝システムをコントロールし、特に免疫システム[18] と神経システム[19] においては細胞間の通信を制御している。

全体としては、カナビノイドは、心臓血管[20]、消化器[16]、内分泌 [21]、排泄器官[22,23]、免疫[18]、筋骨格[24]、神経 [19]、生殖器官[25]、呼吸器官[26]、などの細胞組織・器官・身体が協調して機能するように全体を調整している。

カナビノイドの意識や精神に対する影響については今だ十分に解明が進んでいないが、カナビスがリクレーショナル的に使われていることを考えれば大きな影響を持っていることは間違いない。こうした作用にも医療効果の可能性のあることが指摘されている[27]。



●カナビノイドの恒常性維持機能

さまざまな生理器官をつかさどるカナビノイドの恒常性維持機能は、エンドカナビノイド・システムが体内の害削減システム以外の何ものでもないという考え方の上に成り立っている。

エンドカナビノイドは、生体が健康に機能し続けられるように動的に生体の定常状態を微調整しながら生体を保護するように働くが、エンドカナビノイド・システム全体は、生体機能の必要に応じて増えたり減ったりすると考えられている。

後で詳しく取り上げるが、エンドカナビノイドのレベルは頭部の怪我や脳梗塞によって自然に増加し[28]、また、カナビノイド・レセプターの数は神経の損傷とそれに伴う痛みに応じて増加する[29]。ところが一方では、カナビノイドの影響が大きくなり過ぎるとレセプター数が減少する[30]。



●生体システムにおける細胞の協調活動

カナビノイドが生化学的どのようにしてバランスを取っているのかを多面的に理解するために、以下で、内因性および外因性のさまざまなカナビノイドの働きについて述べるが、まず、その準備段階として細胞生物学について簡単に触れておこう。

全ての生物は、十分な栄養の摂取して老廃物を排出しながら動的に組織の秩序を保っているが、器官が複雑になればなるほど、栄養や老廃物の流れを適正に維持するためにいっそう複雑な調整機能が必要になってくる。

機能を調整するためには情報の伝達が必要になるが、細胞間の情報伝達には無数のやり取りがある。また、細胞表面にあるレセプターもさまざまな反応を示し、とりわけ特別な分子(リガンド)と結合すると細胞内に生化学的な変化を引き起こす。

細胞膜上に届いたそうした調整シグナルに反応して、細胞内では遺伝子的な直接反応ばかりではなく、細胞核周辺の酵素などの作用レベルにも変化が起こる。

こうした変化は複雑な生化学的プロセスを経て、最終的には細胞を分裂させたり、特別な仕事を遂行させたり、休眠状態あるいは死滅させたりする。いずれにしても細胞の活動が適正に協調して行われなくなると、その結果として病気が起こることになる。

病気の形態は、一般的な感染症による急性疾患と加齢による疾患の2種類のカテゴリーに分けることができる。アメリカにおける死亡原因の推移を歴史的に見ると、病原体関連から加齢関連へと移り変わってきている。

カナビスに関する最近の科学文献では、カナビスの使用はしばしば病原体関連の疾患には悪い方向へと作用するが、免疫のセクションで後述するように、加齢にはポジティブに働くことを示している。



●カナビノイドと脳障害

カナビスが脳の神経に作用することはリクレーショナル用途に広く使われていることからも明らかなので、自然の生物学的害削減システムにおいてカナビノイドがどのような活動をしているのか検証する上では、神経システムから始めるのが最も適している。

カナビノイドをベースにした治療法には、神経システムに関連した数多くの疾患の改善に大きな可能性が見込まれている[31]。神経システムは神経とそれを支える細胞で構成されているが、カナビノイドは神経システムを健全に保つ役割 [32]の他にも、各種疾患に対する改善作用も持っている。

そうした疾患とすれば、脳梗塞[28]、パーキンソン病[33]、ハンチントン病[34]、筋萎縮性側索硬化症(ALS)[35]、アルツハイマー病[36]、神経膠腫(脳の腫瘍) [37]、多発性硬化症[38]、てんかん発作[39]、痛み[40,41]、などが上げられている。



●カナビノイドと脳の健康

健康な人間の体内では、カナビノイド・システムが、さまざまなタイプの神経細胞間の神経伝達を直接的に担っている。神経細胞の間にはシナプス(神経節)と呼ばれるギャップがあり、通常の神経伝達は一方向にしか流れないが、カナビノイド・システムには逆方向に神経情報を伝達する仕組みが備わっており、シナプスの機能を制御できるようになっている[42]。

この働きは、基本的には、神経細胞の感度を調整するフィードバック機能で細胞の過剰な活動を防いでいる。一部の細胞は、グルタミン酸塩のような興奮性の神経伝達物質に過剰に刺激されると死んでしまうが、カナビノイドは刺激のレベルを低下させ、この種の細胞死が起こらないように作用する[43,44]。

また、カナビノイドは神経伝達を抑制してこの種の細胞死を減らす機能(生物的害削減)の他にも、炎症性サイトカイニンであるインターロイキン-1(IL-1)とIL-1レセプター・アンタゴニスト(IL-1ra)の働きをコントロールしている[45]。例えば、カナビノイドは、細胞死を促すIL-1に対抗してIL-1raの放出を調整して細胞を保護することが示されている[46]。

このように、カナビノイドは、神経の健康を維持し、病気の進行を抑える役割があり、神経細胞の状態を見極めながら、細胞死を防止している。

さらに、カナビノイド・レセプターは、線維芽細胞増殖因子レセプター(FGF)と共同して働く。FGFレセプターが刺激を受けると、ジアシルグリセロール(DAG)脂質が加水分解されて2-アラキドン酸グルセロール(2AG)が生成される[47]。2AGは、エンドカナビノイドとして、神経細胞の軸索の成長と誘導に重要な役割を果たしており[48]、神経ネットワーク形成にあたって、神経細胞同士を適切の結付つけるという決定的に重要な働きを担っている。

このようにカナビノイドには、坑炎症特性とともに神経の基本的な活動をコントロールするという能力があり、脳梗塞や怪我などで神経がダメージを受けて苦しんでいる人々の健康を再構築する上で重要な恩恵をもたらすと考えられている[28]。



●カナビノイドと多発性硬化症

カナビノイドには多くの神経性疾患を緩和する治療可能性のあることは、動物実験や人間の臨床研究で強い証拠が示されている[49]。

多発性硬化症(MS)の苦しむ人たちにカナビノイド治療が行われているのはその典型的な例で、医療カナビス害削減薬として重要な役割を担っていることを示している[50]。

多発性硬化症は、神経が変性する疾患の一つで、免疫システムを狂わせて神経システムに攻撃を加えてくる。中枢神経システム(CNS)の神経細胞の軸索は、電線を保護するために回りを覆っている絶縁体と同様に、ミエリン脂質で覆われているが、多発性硬化症では、ミエリンが分解されて軸索機能が低下し細胞死を引き起こし、その結果、痛みなどの症状が出てくる。

カナビスをベースにした多発性硬化症の治療は、対症療法ではなく、本質的な症状緩和効果を備えている。実験的につくり出した慢性再発性自己免疫性脳脊髄炎(CREAE)のマウス・モデルを使った実験では、カナビノイドが痙縮を軽減することも確かめられているが[51]、カナビノイド・システムは、多発性硬化症の根本にさらに深く関与している。

実際的な意味において、多発性硬化症は免疫系の疾患だということができる。これまで指摘した以上に、多発性硬化症の治療の機能的レベルでカナビノイドが重要な役割を果たしている[52]理由を理解するためには、免疫システムについて簡単に知っておく必要がある。



●カナビノイドと免疫システム

簡単に言えば、免疫システムの役割は外部の攻撃から自分を守ることを意味しているが、もっと具体的には、生命を保護し調節している生物学的機能で、外部から侵入してきた細菌やウイルスや内部に発生した癌細胞を見分けて細胞死させたりする働きをしている。

こうした働きを実現させるために、免疫システムには、「Th1」と「Th2]という相反する2種類の反応形態が備わっている。Th1反応は、特別の感染体が引き起こす感染症と戦うという決定的に重要な役割を持っているが[53]、過剰反応した場合には、カナビノイドがその機能を抑制することが知られている。そうした意味で、カナビノイドには免疫システムの恒常性を調整をする重要な役割を担っていると言える。

カナビノイドは、しばしば免疫抑制物質と分類されることもあるが、実際には、Th1反応を抑制している間はTh2反応を促進するように働いている。つまり、カナビノイドは免疫システムのバランスを取っている調整物質と考えるほうが適切で、このことは、免疫システムのほとんどに細胞のカナビノイド・レセプター(CB2)[54]が存在していることからも分かる。



●Th1免疫反応

Th1過程では、炎症反応を促進して、病原体を追い払うために際めて重要な働きを持つフリーラジカルを防衛的に生成する。特に、レジオネラ病、リーシュマニア、結核などの細胞内の病原体に対しては活発に反応する。

したがって、免疫システムでTh1が特定の病気と闘っている場合には、カナビスの使用は避ける必要がある。カナビスの使用は、免疫を抑制させるだけではなく、最近の研究では、水パイプを共用して結核菌に接触感染したケースが報告されている[55]。

フリーラジカルの生成、炎症、細胞を媒介した免疫作用は、Th1反応の特徴となっている。Th1免疫反応は、感染性の微生物や感染した細胞をターゲットにして、周囲の健康な細胞にフリーラジカルを送りつけるが、しかし一方では、過剰に送りつけると健康な細胞にまでダメージを与えてしまう結果になる。



●自己免疫疾患に対するTh1の過剰反応を抑えるカナビノイド

Th1過程が細胞性免疫反応なのに対して、Th2過程では体液性の免疫反応が促進される。Th2反応は一般に坑炎症性で、Th1反応を抑制し、細菌などに対抗する抗体を生成する。

理想的には、Th1とTh2の過程が、生存環境内で生体が最適に生きていけるのうなバランスを保つことが望まれるが、実際には、さまざまな自己免疫疾患や加齢にともなう疾患が起こる。このような疾患では、Th1によって引き起こされた過剰な免疫反応で周囲の細胞がダメージを受けてしまう。

多発性硬化症、関節炎、クローン病、糖尿病などの疾患はどれもこのカテゴリーに分類できるが、これらの疾患に対するカナビノイドの治療効果には時に目ざましいものがある。例えば、実験的に自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を引き起こした多発性硬化症モデル動物にカナビノイド治療を行った研究では際立った結果が得られている[56]。

モルモットやラットを使った実験では、THC治療を行わなかったEAE動物の98%が死亡したが、THC治療を施した動物では95%以上が生き残り、全く症状が現れないか、現れても軽微な程度にしかならなかった。

一方、カナビノイドにさまざまな自己免疫疾患を下方制御する働きがあることは、減量のためにカナビノイド・ブロッカーを長期間使うことが危険であることを示している。カナビノイド・レセプターの機能をブロックする減量薬が開発されているが[57]、臨床試験に参加した人の中で、それまで全く予兆のなかった一人が多発性硬化症を発症したケースが知られている[58]。



●カナビノイドの二相的な対立反応

今まで見てきたように、カナビノイドがどうのようにして多様な疾患状態に影響を与えるのか考察するためには、細胞生物学や神経学や免疫学を少し学ぶことがその土台として役立つ。

その上でカナビノイドが果たしている全般的な役割を考えると、恒常性の調整機能にあると言うことができるが、ここで注意しなければならない重要なことは、カナビノイドの活動が大きすぎても小さ過ぎても害をもたらす可能性のあることだ。

必要なカナビノイドのレベルや集積度の範囲は、器官の遺伝的特徴、細胞の種類、健康状態、周囲の環境などによって大きく変化するので、カナビノイドとその効果について書かれた科学文献を評価するためには注意する必要がある。カナビノイドは、しばしば二相的な対立する反応を示し[59]、カナビノイドの少量投与ではTh2免疫反応を刺激するが、大量投与ではTh2反応を抑制してTh1よりにバランスをとるようにシフトする。

実際、害削減の観点から見れば、投与量、疾患の種類とその程度を観察することが決定的に重要で、カナビス治療にあたっては、患者個人個人に合わせたアプローチが要求される[60]。

例えば、パーキンソン病のカナビノイド治療では、カナビノイドの活動が過剰になっても不足しても問題が出てくることが知られている。パーキンソン病は、神経細胞が生成するレボ・ドーパミン(L-dopa)失われることで引き起こされ、神経細胞間の接続が減少して、筋肉をスムーズに動かせなくなり運動障害が起きる。

パーキンソン病を起こしたラットの実験では、レボ・ドーパミンを生成する細胞が6-ヒドロキシードーパミンによって殺されてしまうが、体内のエンドカナビノイドとや外部から投与したカナビノイドが即座にグルタミン酸の活動を抑制するように働くことが分かっている[61]。

また、パーキンソン病の標準的な治療では、レボ・ドーパミンを新しいものと交換する方法が採られるが、残念なことに、しばしば異常な運動障害(ジスキネジア)が起こる。最近の臨床試験では、カナビノイド治療により、ガンマ・アミノ酪酸(GABA)の再摂取が減って、レボ・ドーパミン誘発性ジスキネジアが緩和することが示されている[33]。また、6-ヒドロキシードーパミンの損傷を受けたラットでは、レボ・ドーパミンの交換が促進されることも報告されている[62]。

上で述べたカナビノイド・アゴニストの場合とは逆に、カナビノイド・アンタゴニスト(ブロッカー)SR141716Aを使った別の動物実験では、レセルピン誘発性の協調運動障害が軽減されることが知られている[63]。この例では、エンドカナビノイド過程を促進するのではなく、逆に抑制することで運動機能が回復するケースもあることを示している。



●カナビノイドと癌

カナビノイドの害削減効果が最も大きいのは、癌患者に使った場合だと思われる。カナビノイドには多様な薬理的特徴があるが、その多くが癌患者に恩恵をもたらす。その中でも、坑嘔吐作用や食欲増進作用については多くの患者が実感している[64]。

1975年から1997年の間に行われた、制吐剤としてのカナビノイドの効果を調べた無作為対照研究30件について総合的に検証した研究では、カナビスを喫煙したケースは除いて、合成カナビノイドの経口投与治療を受けた1366人のケースを調べている[65]。

その結果、化学療法の中領域のレベルの治療を必要とする患者では、レベルの従って38%から90%の間で好ましい効果が現れている。しかし、低程度および高程度のレベルの治療が必要な患者ではそれほどの効果が認められていない。また、ポジティブな副作用には鎮静効果や多幸感などがあるが、一方では、めまい、不安、幻覚、動脈性低血圧などのネガティブな副作用が現れている。

カナビノイドには癌細胞の殺滅[66]するという特徴があることについては一般にはあまり知られていないが、細胞培養や動物実験でカナビノイドがさまざまな種類の癌を殺滅することが分かっており、化学療法薬としての可能性が期待されている[67]。

例えば、カナビノイドが殺滅する癌細胞としては、白血病やリンパ腫 [68]などのリンパ芽球性悪性腫瘍、皮膚癌[69]、神経膠腫 [70]、乳癌や前立腺癌[71]、褐色細胞腫[72]、甲状腺癌[73]、結腸直腸癌[74]などが知られている。2002年には、スペインで、THCを使った神経膠腫の治療の臨床試験も開始されている[75]。

しかしながら、すべての癌で同じようになるわけではなく、カナビノイド改善効果があるとは限らない。カナビノイドには、上に示した種類の癌では殺滅効果があるが、他の癌では悪作用を示すものもある。例えば、最近の研究で、合成カナビノイドやメタアナンダミドが、カナビノイド・レセプターを介在することなく、シクロオキシゲナーゼ-2(COX2)の上方制御に使われる経路を通じて肺癌細胞の成長を促すことが確認されている[76]。

確かに、さまざまな状況でのカナビノイドのアゴニストやアンタゴニストの治療効果についてはかなり分かってきたと言えるが、どのようにしてエンドカナビノイド経路を適切に制御するかについての研究はいまだ初期的段階にとどまっており、さらに多くの努力が必要とされている。



●カナビノイドと痛み

現在、世の中の注目を集めて始めているカナビノイド研究分野の一つに、癌の疼痛[77]やそれ以外の疾患の痛み[78]に対する緩和治療がある。実際、カナビス抽出液をベースにした薬では、痛みの緩和に効果のあることが示されている[79]。

最近になって、エンドカナビノイドのアナンダミド(AEA)が、カチオン・チャンネルのゲートになっているバニロイド・レセプターのリガンドとして働くことが確認されている。バニロイド・レセプターは、痛みの治療においては最も基本的なターゲットとして知られており、カナビノイドが痛みの回路の中でも本来的な役割を果たしていることが分かってきた[80]。

また、カナビノイドは、オピオイド作動経路に並行する経路でも機能し[82]。内在性オピオイド拮抗ペプチドであるノシセプチンとは相反する作用をして脊髄や脳に影響を与えると考えられている[83]。さらに、カナビノイドが局所的に作用して、マスト細胞が脱顆粒することを抑制することもある[84]。

カナビノイドによる痛みの緩和効果が認められるようになって、イギリス[11]とカナダ[41]で、様々な疾病に苦しむ人たちにカナビス調剤が提供されるようになった。人間での試験では、オピオイドとカナビスを同時投与することでオピオイドの使用を劇的に下げ、他の治療方では効果のなかった神経性の痛みを緩和することが示されている[85]。

最近では、合成カナビノイドWIN55、212-2を使うとモルヒネの抗侵害受容性作用が著しく亢進されることが注目を集めており、認知副作用の少ないカナビス鎮痛薬の開発に期待がかけられている[86]。さらに、ラットの神経にダメージを与えると、CB1レセプターが増えて上方制御することが示されており、カナビノイドには、本来的に痛みの調整機能が備わっていることが確認されている[29]。

ここでも、自然が、害を削減するためにカナビノイドを選んだことがわかる。



●カナビスの喫煙と肺癌

カナビスをベースにした害削減は、生物学的な意味においてもあるいは政治的な意味においても、根本にはどのように摂取するのが最善かという問題に至る。

確かに、カナビスを経口摂取[87]するよりも喫煙するほうが、発現も迅速で、摂取量をコントロールして効果の度合を確認しながら吸うことができるという利点がある[88,89]。だが、残念なことに、カナビスの煙には多数の発癌性物質が含まれており[90]、タールもタバコより多いことが知られている[91]。

しかしながら、カナビスの煙が細胞を前癌状態に変えるという事実があるのにもかかわらず、主要な疫学研究では、カナビスの喫煙においてはタバコに関連したような癌は見付かっていない[92]。

タバコと肺癌の間には明確な関連のあることは、近年の多数の研究で科学的にも確かめられているが、カナビスの煙と肺癌の関連については十分な証拠が示されていない。例えば、ニコチン・レセプターに作用するニコチンは、遺伝的に障害のある細胞の細胞死を妨げて癌を成長させるという決定的な性質を持っている[93]。

また、タバコは、腫瘍の成長を支えるのに必要な血管の発達を促すが[94]、カナビスの場合は、非メラノーマ皮膚癌[69]や神経膠腫[95]において、腫瘍血管新生化を抑制する働きのあることが確かめられている。

カナビスとタバコ、あるいは療法を組み合わせて喫煙した場合の発癌作用を調べた研究で、カナビスの喫煙と頭部や頚部の癌に関連があるとする結論がしばしば引用されているが [96]、この結論はその後十分に吟味されていない。

この研究では、カナビスの同時使用でタバコの使用が多くなり、それが頭部や頚部の癌に発展することを示すデータが出てはいるが、カナビスのみを使っていた被験者グループは2人だけしかおらず、このグループから得られた結論は統計的な信頼性に乏しい。


・カナビス摂取法の工夫

カナビスの喫煙が肺癌を引き起こすかどうかにかかわらず、少しでも一酸化炭素や発癌性物質、刺激性の物質などが含まれている煙を吸い込むことは健康に悪く、ネガティブな結果をもたらす可能性がある。

だが、幸運なことに、カナビス喫煙には害削減できる方法がある。しばしば議論の対象になるが、THC濃度の高く効力の強いカナビスを使えば、その分だけ少ない煙の吸入で医療効果を得ることができる。さらに、カナビスの活性成分を蒸気にして吸引するバポライザーを使えば、必要な成分だけを取り出して、問題のある成分の大半を取り除くことができる[97]。

これに対して、水パイプやボングを使った場合にはタールや一酸化炭素が減らないことが、最近のオーストラリアの研究で示されている[98]。

一方、イギリスのGW製薬の開発している経口スプレーは、脆弱な医療カナビス・ユーザーにとって、喫煙に代わる搬送システムとしてより安全で効果的な方法であることが明らかにされている[12]。また、会社では、それぞれの治療に合わせて、各種のカナビノイドの比率が一定に含まれる特定品種のカナビスを栽培している。



●カナビノイドによる薬物の代謝

カナビスの害削減のもう一つの重要なテーマとしては、カナビスの使用が他のドラッグの薬物的動力学にどのような影響を与えるのかという問題がある[99]。

ほとんどのカナビノイドも含めて多くのドラッグの代謝は、P450ファミリー酸化酵素を通じて行われている[100]。カナビノイドはP450(2Aおよび3C)の転写を刺激もするが、また、直接この酵素の働きを抑制することも知られている[101]。つまり、カナビノイドは、両方の向きにP450抑制の関係していると考えられる。

また、P450の活動はタバコの煙に含まれる前発癌物質を活性化して、積極的に癌を引き起こす変異体をつくり出すことが知られている[102]。したがって、カナビノイドによって酵素の活動が抑制されれば、煙の吸引にともなうネガティブな結果の一部を最小限に押えられる可能性もある。

一方、多くの医学品がP450ファミリー酵素によって代謝されるが、カナビノイドとの薬物動力学に影響されて代謝率が下がる現象としては、コカイン[103]、バルビツール酸[104]、オピエート[105]、アルコール、坑精神病薬のハロペリドール[106]、その他[107]で認められている。

現在までのところ、内因性化カナビノイドも外因性カナビノイドも、さまざまな状況下で害削減に関係していることが分かっている。カナビノイドをベースにした治療については、特に、神経と免疫に関係した各種の疾患で役に立つことが示されている。



●微小な変動が大きな影響を持つ複雑系システム

これまで上げてきた例は、カナビノイドとその生物学的作用に関する科学文献のほんの僅かな一部に過ぎないが、動物界においてカナビノイドの自然に備わった害削減システムを操作することを通じて、カナビノイドにはさまざまな医療可能性が秘められていることが明らかになってきたと言える。

しかしながら、こうした複雑な生物学的な現象が、どのような基本的仕組みでこれほど多くの健康や行動にかかわっているのかという根本的な問題に対しては答え出ているとまでは言えない。

熱力学における均衡システムとは全く違って、複雑な生体組織のシステムの場合は、分子的な力学現象と肉眼で見える現象の間には大きな隔たりがある[108]。

複雑系システムでは、摂動と呼ばれるごく小さな変動がシステム全体に波及して増幅されて現れることがあるが、生物学的現象においては、微小なカナビノイドが極めて広い範囲にわたって調整機能を果している。こうした作用のすべては遺伝的な背景を持っており、したがって、サブグループの生物遺伝的な僅かな違いが、健康や行動様式に大きく影響することも考えられる。

サブグループでカナビノイド・レベルやその感度が違っているように、個人個人においてもそれぞれの健康と疾病状態に対するカナビノイドの機能が異なっており、カナビノイドの活動を増やす必要のある人もいれば、減らす必要がある人もいることになる。

これまで見てきたように、多くの状態ではカナビノイドの活動を高めるほうがメリットも大きくなるが、人によって生まれながらに備わっているカナビノイド・レベルや感度が違っているために、必要な状態も異なっている。したがって、一部の状況では、カナビノイドの活動を減らす方がメリットになる場合もある。

カナビノイドの過剰な摂取が害になり得る典型的な例とすれば、妊娠している女性で、カナビノイドのレベルが高いと害になる可能性があるとして、低く保つ必要性が指摘されている[109]。



●カナビスの中毒性と行動への影響

これまで述べてきたように、広範囲にわたるカナビノイド恒常性維持作用はハードサイエンスを基本にしたものだったが、それを心理学や行動科学レベルにまで拡張しようとすれば、当然のことながら、より推論的ならざるを得ない。しかし、この分野の文献においてもハードサイエンスと同様の一貫性が見られる。

研究者たちは、何年にもわたってカナビスの中毒の度合について調べてきたが、中毒の度合は、自分の意思でドラッグを摂取する自己投与とその結果出てくる報酬行動によって特徴づけられる。霊長類においては、際立った報酬行動が出てこなければ、次の自己投与行動が引き起こされない現象となって表れる。

ラットの行動を調べた実験では、THCを少ししか投与しない場合は場所嗜好性を示すが、たくさん与えるとTHCに嫌悪を示すようになると報告されている[110]。このことは、やはりカナビノイドに備わった恒常性機能の現れとして把えることもできる。また、自己投与行動は向精神薬乱用に最も典型的に見られる振舞なので、その点からすれば、カナビスの乱用可能性の程度は低いと言える。

一方では、リス猿を使った動物モデルで継続的にTHCを自己投与する行動が確認された実験もあり[111]、一部には、カナビスの乱用性が低いことに疑問を投げかける人もいる。しかし興味深いことに、その後に行われた実験では、THCの自己投与量の範囲は2〜8ug/kgで、ピークが4ug/kgとなっており[112]、やはり、カナビノイド・システムの恒常性による害削減機能が働いていることを示すものとなっている。

同様に、ラットによる、合成カナビノイドWin 55、212-2の静脈注射による自己投与実験でも、ピークの12ug/kgを境に相が逆転することが示されている[113]。このようにドラッグの摂取量が自己調整により低くコントロールされるケースは、中毒性の乱用ドラッグの特徴を備えているとは言えない。

また、カナビスの中毒性が低いことを示す最も端的は証拠としては、大半のカナビス・ユーザーが使用を中断しても禁断的な症状が現れず苦しむことがないという事実が上げられる。



●カナビノイド と ストレス

精神活性を持つカナビノイドによってドーパミン作動性の神経細胞が活発化することから、カナビノイドの報酬行動にはさらに別の側面のあるのではないかという見方もある[114]。

このドーパミン活性経路は、モルヒネ、アルコール、ニコチンなどの主要な乱用性ドラッグでも共通して使われているが[115]、カナビノイドの場合には、ストレスよって一般的に生成される糖質コルチコイド・ホルモン[116]を抑制することも示されている[117]。このことから、カナビノイドによる嗜癖行動は、ストレスと報酬行動が複雑に絡み合って起こっていることがわかる。

では、THCの繰り返しの使用によってそれらの状態がどのような影響を受けるのだろうか? 最近行われた実験では、繰り返しTHCを投与することでラットの脳の各部のグルコース利用率がどのように変化するかを測定してこの疑問を検証している[118]。

その結果、一般にTHCの単回投与で影響を受けることが知られている皮質部、視床部、脳幹神経節などの多く部位で、7日目にはグルコース利用率が低下するが、21日目には元に戻って影響を受けなくなるのに対して、中隔側坐核、視床背内側核、扁桃体基底外部、海馬の一部、中央縫線核などの部位では、グロコース利用率は変化しないことが示された。

つまり、体温調整や自発運動活性に関係する前者の部位ではTHCの繰り返しの影響を受けるが、やがて対抗性が現れる一方で、脳の高度な機能に関係する後者の部位では、THCに対する応答性に変化は起こらないことになる。このような適合性の違いは、THCの中毒可能性が低いことを示している。

一方、カナビノイドがストレスを緩和するという性質は、カナビノイドの薬理的活性を示す重要な特徴となっている。特に、記憶に影響してストレスを緩和しているメカニズムは興味深い。実際、カナビノイドには痛みの記憶を消滅させる働きのあることが示されているが[119]、このことは、衰弱して死に瀕している人にとっては、自分の不遇を忘れることができるという大変な福音になっている。



●カナビスとオピオイドの関連性

カナビスによる直接的な中毒特性とは全く別に、カナビスとオピオイドの関係性についても興味深い性質が示されている。どちらのドラッグ類も、特定のレセプターとリガンドの間で働く経路を通じて機能するが、これらの経路は必ずしも排他的なものではなく、経路同士の間で相互に信号漏洩が起こる[120]。

この現象についてはまだ十分に明らかにはなっていないが、例えば、CB1レセプターのブロックしたノックアウトマウスでは、CB1に対するカナビノイドの活動には応答せず、オピエートの中毒作用を軽減することが示されている[121]。また、ルイスラットを使った実験では、合成カナビノイドCP55040を与えておくと、モルヒネの自己投与感度が高まることが知られている[122]。

さらに、別の観点から行われた実験でも、ラットの脳内の2AGを極端に減少させてカナビノイド・レスプターを下方調整すると、慢性的にモルヒネを自己投与するようになるという結果が得られている[123]。

これらの結果は、エンドカナビノイドとオピエートのシステムの間に、正反両方のフィードバックが行われていることを示している。

実際、カナビノイドには、オピオイドの中断にともなう禁断症状を軽減する働きがあることが示されており[124]、ラットを使った別の実験でも、合成カナビノイド・アンタゴニストWin 55-212、2を投与すると、コカインの静脈注射による自己投与が減ることが示されている[125]。

また、最近の研究では、アルコール中毒を引き起こしたモデルでTHCがアルコール嗜好性を抑制すことを示した報告[127]がある一方で、マウスを使った実験では、THCがニコチンの禁断症状を促進させることも示されている[126]。こうした正反対の結果は、カナビノイドが中毒を軽減させる場合と、カナビノイド・レスプターを遮断することによって中毒が抑えられる場合があることを示している[128]。



●人間の行動プロセスの複雑性

人間に備わった行動プロセスとその複雑性は他の動物とは全く異なっている。このような状況の中で、動物実験の結果を単純に人間の行動に当てはめることができるもなのだろうか? 

別の言い方をすれば、分子と動物の細胞の生化学を人間に当てはめてみて比較検討してみることを意味するが、人間の行動のバリエーションは動物に比べればはるかに多いので、異なる生物種との間で関連性を考えることには大きな困難を伴う。

進化的関係性に着目してみれば、カナビノイド・レセプターは、人間の脳というより進化した部分に多く見られるという特徴がある。どのような母集団であっても、何らかの測定データは常に平均値を中心にばらつきを持っているが、人間を何らかのサブグループに分けて比較した場合は、当然のことながら、よりプリミティブな行動様式において違いが出てくるものと考えられる。

では、カナビスを使った結果として、あるサブグループのほうがより中毒的な行動や精神的な問題を引き起こすことがあるのだろうか? また、カナビノイド・システムは、よりプリミティブな行動の調整に最適化されているものなのだろうか? あるいは逆に、現代人に要求される行動の柔軟性により適化されるものなのだろうか?

実際のところ、カナビノイド・システムは、脳の皮質容量と同じように、より複雑な社会の中でますます行動の柔軟性を獲得し、将来の変化した環境にも適応できるようになっているのだろうか?

こうした質問に対する答えは、人間のカナビス使用のデータの中にあるように思われる。大半の人は、若者の時にカナビスを使っていても、人生の過程の中で、発達の自然の帰結のように自分から使うのを止めてしまう。外から強制されたり助けを借りることなく、あるいはヘロイン・ユーザーになることもなく、統合失調症や無動機症候群になることもなく自然に止めていく。

こうした事実は、カナビスを試す大多数の人々が、中毒になったり、ヘロインを使うようになったりせず、あるいは、カナビスが精神病を発症するトリガーにならないことを示している。しかしながら、カナビノイドの作用が複雑であるために、ごく少数の人に対しては、カナビスが問題を顕在化させる場合もある。

上でも見てきたように、そうした生物的な個人差があることは当然予想されていたことでもあり、大切なことは、カナビスを使うとネガティブな影響を受ける人をどのようにしたら見つけ出すことができるのかという点にある。そうできれば、理性的なドラッグ政策を通じてそのような人を特定して救うことができる。これに対して、ユーザーを犯罪者扱いすれば、その反動として精神的にも医学的にもさらに大きな害を与える可能性がある。



●カナビスと統合失調症

カナビスだけではなく、どのような精神作用薬物であっても、若者の発達中の精神にどのような影響があるのかに関心が集まるのは当然のことで、例えば、カナビス使用と統合失調症の間には関連性があるのかどうかという議論が繰り返されている。

統合失調症という疾患は、現実認識の歪、言語や思考プロセスの混乱、社会からの離脱といった特徴を持っている。確かに、カナビスの酔いはこのような症状に似たところがあり、このことから、特に精神的な脆弱性を抱えた人たちが[130]、カナビスがトリガーになって統合失調症になるのではないかと懸念されている[129]。

カナビスの使用という側面から見た場合、統合失調症や統合失調症様障害は2つのカテゴリー分けることができると考えられている[131]。一つは、カナビスの使用によって自分の症状が緩和されることを見出して自己治療に使っている場合で、もう一つは、実際にカナビスによって症状を発症するリスクを抱えている場合がある。

この問題の複雑さは、後述するように、神経と免疫システムのような複雑なシステムにおいて、予期できない相互作用が起こることが原因となっている。

デ・マルキらが最近発表した重要な研究[132]では、健康な志願者と統合失調症患者の間でエンドカナビノイド・レベルがどのように違っているかを検証している。また、統合失調症患者については、抗精神薬投与治療を行う前と、治療が成功した後での状態についても調べている。

その結果、急性の症状に見舞われた患者では、健康な人や臨床的寛解期にある患者に比較して、血中のアナンダミド・レベルが著しく高くなっていることが分かった。このことから、カナビノイド・レベルの上昇が急性症状をもたらしたと考えられるが、では、何がカナビノイドのレベルの上昇をもたらしたのだろうか?

カナビノイドは、生体のサブシステム全体で恒常性を保つように働いているので、以前から、統合失調症の場合は免疫が絡んでいる可能性が指摘されていた。実際、患者からは免疫学的な特徴が見付かっており、例えば、統合失調症と間接リウマチは相反する関係が見られ、一般に両方の疾患は同時には起こらないことが知られている[133]。

また興味深いことに、統合失調症は、ネコの糞などから感染するトキソプラズマ感染症などのヒト白血球抗原と関係のあることも知られている[133]。トキソプラズマは脳の神経に感染するが、強力な炎症性の免疫応答によって良好に対抗することができる。ここでは、エンドカナビノイドが、Th2の抗炎症反応を上方制御することで、Th1の炎症反応を調整している。

したがって、たまたまトキソプラズマ感染症に対抗するために過剰にエンドカナビノイドが生成されている人では、精神状態の異常に苦しむケースが多い。実際、こうした異常は、抗精神薬によって症状が改善することが知られている[134]。



●結論

生体内のあらゆる器官では多数の生物学的現象が起こっているが、進化の過程において、それらの現象を恒常的に調整する物質としてエンドカナビノイドが生成されるようになった。エンドカナビノイドには、さまざまな疾患や損傷によって引き起こされる生化学的なアンバランスを改善する働きがあり、特に、加齢にともなう疾患の改善には大きな役割を果たしている。

生命が誕生する以前から、すでにカナビノイドは母乳に中に存在しており[135]、胎児の摂食行動を促している。実際、マウスを使った実験では、カナビノイド・ブロッカーを与えるとエンドカナビノイドの活動が抑制され、新生児は餓死することが知られている。

エンドカナビノイドは、生命が成長するに従って、食欲、体温、生殖行動、学習能力などを正常に保つために絶えず調整を繰り返している。生体が何らかの損傷を受けるとエンドカナビノイドが呼び出され、炎症を軽減したり、神経を保護したり[136]、脈拍を調整したり[137]、酸素の欠乏から心臓を守ったりする[20]。

また、結腸直腸癌に苦しんでいる人では、エンドカナビノイドのレベルが上昇して癌をコントロールし[74]、感覚障害性疼痛に苦しんでいる人では、エンドカナビノイドが痛みを緩和して、恐怖感や不快な記憶を消し去って積極的に運動できるように働いている[119]。

この論文は完全というにはほど遠いが、エンドカナビノイド・システムが自然に備わった害削減システムであるというコンセプトで解釈できることを示してきた。上で述べてきたカナビノイドの調整活動は、どれもある程度決まったパターンを持っている。

カナビノイドが調整・保護している多くの生化学的なアンバランスは加齢に関係している。加齢自体は、高度な化学的な均衡状態を失いながらも、すべての生体器官がアンバランスにならないように、なんとかシステム全体の化学的均衡を保とうとする働きと言える。

一方、カナビス使用による害については、多くの人にはしばしば言われるほど問題にならないが、少数の人たちには大きなリスク要因になることもある。そのような人たちは、カナビノイドのレベルを低く保つことで、精神の安定が得られたり、妊娠期を順調に過ごしたり、あるいは規則的な食事ができるようになったりする。



●参考文献


[1] Lindsay GB, Rainey J: Psychosocial and pharmacologic explanations of nicotine's "gateway drug" function. J Sch Health 1997, 67:123-126. [PubMed Abstract]

[2] Ginzler JA, Cochran BN, Domenech-Rodriguez M, Cauce AM, Whitbeck LB: Sequential progression of substance use among homeless youth: an empirical investigation of the gateway theory. Subst Use Misuse 2003, 38:725-758. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[3] Herstek J, Watson A, Kammer C: Pharmaceuticals issue brief: medical marijuana: year end report-2002. Issue Brief Health Policy Track Serv 2002, 1-12. [PubMed Abstract]

[4] Russo E, Mathre ML, Byrne A, Velin R, Bach PJ, Sanchez-Ramos J, Kirlin KA: Chronic Cannabis Use in the Compassionate Investigational New Drug Program:An Examination of Benefits and Adverse Effects of Legal Clinical Cannabis. Journal of Cannabis Therapeutics 2002, 3-56. [Publisher Full Text]

[5] Mechoulam R, Gaoni Y: The absolute configuration of delta-1-tetrahydrocannabinol, the major active constituent of hashish. Tetrahedron Lett 1967, 12:1109-1111. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[6] Herkenham M, Lynn AB, Little MD, Johnson MR, Melvin LS, de Costa BR, Rice KC: Cannabinoid receptor localization in brain. Proc Natl Acad Sci U S A 1990, 87:1932-1936. [PubMed Abstract][PubMed Central Full Text]

[7] Matsuda LA, Lolait SJ, Brownstein MJ, Young AC, Bonner TI: Structure of a cannabinoid receptor and functional expression of the cloned cDNA. Nature 1990, 346:561-564. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[8] Devane WA, Hanus L, Breuer A, Pertwee RG, Stevenson LA, Griffin G, Gibson D, Mandelbaum A, Etinger A, Mechoulam R: Isolation and structure of a brain constituent that binds to the cannabinoid receptor. Science 1992, 258:1946-1949. [PubMed Abstract]

[9] Di M, Bisogno T, De Petrocellis L: Endocannabinoids: new targets for drug development. Curr Pharm Des 2000, 6:1361-1380. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[10] Cravatt BF, Lichtman AH: Fatty acid amide hydrolase: an emerging therapeutic target in the endocannabinoid system. Curr Opin Chem Biol 2003, 7:469-475. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[11] Baker D, Pryce G, Giovannoni G, Thompson AJ: The therapeutic potential of cannabis. Lancet Neurol 2003, 2:291-298. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[12] Cannabis-Based Medicines 窶 GW Pharmaceuticals: High CBD, High THC, Medicinal Cannabis 窶 GW Pharmaceuticals, THC:CBD Drugs R D 2003, 4:306-309. [PubMed Abstract]

[13] Elphick MR, Satou Y, Satoh N: The invertebrate ancestry of endocannabinoid signalling: an orthologue of vertebrate cannabinoid receptors in the urochordate Ciona intestinalis. Gene 2003, 302:95-101. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[14] Elphick MR, Egertova M: The neurobiology and evolution of cannabinoid signalling. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 2001, 356:381-408. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[15] Sepe N, De Petrocellis L, Montanaro F, Cimino G, Di Marzo V: Bioactive long chain N-acylethanolamines in five species of edible bivalve molluscs. Possible implications for mollusc physiology and sea food industry. Biochim Biophys Acta 1998, 1389:101-111. [PubMed Abstract]

[16] De Petrocellis L, Melck D, Bisogno T, Milone A, Di Marzo V: Finding of the endocannabinoid signalling system in Hydra, a very primitive organism: possible role in the feeding response. Neuroscience 1999, 92:377-387. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[17] Guzman M, Sanchez C: Effects of cannabinoids on energy metabolism. Life Sci 1999, 65:657-664. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[18] Yuan M, Kiertscher SM, Cheng Q, Zoumalan R, Tashkin DP, Roth MD: Delta 9-Tetrahydrocannabinol regulates Th1/Th2 cytokine balance in activated human T cells. J Neuroimmunol 2002, 133:124-131. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[19] Ralevic V: Cannabinoid modulation of peripheral autonomic and sensory neurotransmission. Eur J Pharmacol 2003, 472:1-21. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[20] Hiley CR, Ford WR: Endocannabinoids as mediators in the heart: a potential target for therapy of remodelling after myocardial infarction? Br J Pharmacol 2003, 138:1183-1184. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[21] Brown TT, Dobs AS: Endocrine effects of marijuana. J Clin Pharmacol 2002, 42:90S-96S. [PubMed Abstract]

[22] Pinto L, Izzo AA, Cascio MG, Bisogno T, Hospodar-Scott K, Brown DR, Mascolo N, Di Marzo V, Capasso F: Endocannabinoids as physiological regulators of colonic propulsion in mice. Gastroenterology 2002, 123:227-234. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[23] Dmitrieva N, Berkley KJ: Contrasting effects of WIN 55212-2 on motility of the rat bladder and uterus. J Neurosci 2002, 22:7147-7153. [PubMed Abstract]

[24] Grotenhermen F, Muller-Vahl K: IACM 2nd Conference on Cannabinoids in Medicine. Expert Opin Pharmacother 2003, 4:2367-2371. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[25] Habayeb OM, Bell SC, Konje JC: Endogenous cannabinoids: metabolism and their role in reproduction. Life Sci 2002, 70:1963-1977. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[26] Calignano A, Katona I, Desarnaud F, Giuffrida A, La Rana G, Mackie K, Freund TF, Piomelli D: Bidirectional control of airway responsiveness by endogenous cannabinoids. Nature 2000, 408:96-101. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[27] Rottanburg D, Robins AH, Ben-Arie O, Teggin A, Elk R: Cannabis-associated psychosis with hypomanic features. Lancet 1982, 2:1364-1366. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[28] Nagayama T, Sinor AD, Simon RP, Chen J, Graham SH, Jin K, Greenberg DA: Cannabinoids and neuroprotection in global and focal cerebral ischemia and in neuronal cultures. J Neurosci 1999, 19:2987-2995. [PubMed Abstract]

[29] Lim G, Sung B, Ji RR, Mao J: Upregulation of spinal cannabinoid-1-receptors following nerve injury enhances the effects of Win 55,212-2 on neuropathic pain behaviors in rats. Pain 2003, 105:275-283. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[30] Caberlotto L, Rimondini R, Hansson A, Eriksson S, Heilig M: Corticotropin-Releasing Hormone (CRH) mRNA Expression in Rat Central Amygdala in Cannabinoid Tolerance and Withdrawal: Evidence for an Allostatic Shift? Neuropsychopharmacology 2003.

[31] Croxford JL: Therapeutic potential of cannabinoids in CNS disease. CNS Drugs 2003, 17:179-202. [PubMed Abstract]

[32] Wilson RI, Nicoll RA: Endocannabinoid signaling in the brain. Science 2002, 296:678-682. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[33] Sieradzan KA, Fox SH, Hill M, Dick JP, Crossman AR, Brotchie JM: Cannabinoids reduce levodopa-induced dyskinesia in Parkinson's disease: a pilot study. Neurology 2001, 57:2108-2111. [PubMed Abstract]

[34] Lastres-Becker I, de Miguel R, De Petrocellis L, Makriyannis A, Di Marzo V, Fernandez-Ruiz J: Compounds acting at the endocannabinoid and/or endovanilloid systems reduce hyperkinesia in a rat model of Huntington's disease. J Neurochem 2003, 84:1097-1109. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[35] Raman C, McAllister SD, Rizvi G, Patel SG, Moore DH, Abood ME: Amyotrophic lateral sclerosis: delayed disease progression in mice by treatment with a cannabinoid. Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord 2004, 5:33-39. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[36] Milton NG: Anandamide and noladin ether prevent neurotoxicity of the human amyloid-beta peptide. Neurosci Lett 2002, 332:127-130. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[37] Guzman M, Sanchez C, Galve-Roperh I: Control of the cell survival/death decision by cannabinoids. J Mol Med 2001, 78:613-625. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[38] Pryce G, Ahmed Z, Hankey DJ, Jackson SJ, Croxford JL, Pocock JM, Ledent C, Petzold A, Thompson AJ, Giovannoni G, Cuzner ML, Baker D: Cannabinoids inhibit neurodegeneration in models of multiple sclerosis. Brain 2003.[PubMed Abstract]

[39] Wallace MJ, Blair RE, Falenski KW, Martin BR, DeLorenzo RJ: The endogenous cannabinoid system regulates seizure frequency and duration in a model of temporal lobe epilepsy. J Pharmacol Exp Ther 2003.

[40] Iversen L: Cannabis and the brain. Brain 2003, 126:1252-1270. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[41] Ware MA, Gamsa A, Persson J, Fitzcharles MA: Cannabis for chronic pain: case series and implications for clinicians. Pain Res Manag 2002, 7:95-99. [PubMed Abstract]

[42] Wilson RI, Nicoll RA: Endogenous cannabinoids mediate retrograde signalling at hippocampal synapses. Nature 2001, 410:588-592. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[43] Nadler V, Mechoulam R, Sokolovsky M: The non-psychotropic cannabinoid (+)-(3S,4S)-7-hydroxy-delta 6- tetrahydrocannabinol 1,1-dimethylheptyl (HU-211) attenuates N-methyl-D-aspartate receptor-mediated neurotoxicity in primary cultures of rat forebrain. Neurosci Lett 1993, 162:43-45. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[44] Hampson AJ, Grimaldi M, Axelrod J, Wink D: Cannabidiol and (-)Delta9-tetrahydrocannabinol are neuroprotective antioxidants. Proc Natl Acad Sci U S A 1998, 95:8268-8273. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[45] Patel HC, Boutin H, Allan SM: Interleukin-1 in the brain: mechanisms of action in acute neurodegeneration. Ann N Y Acad Sci 2003, 992:39-47. [PubMed Abstract]

[46] Molina-Holgado F, Pinteaux E, Moore JD, Molina-Holgado E, Guaza C, Gibson RM, Rothwell NJ: Endogenous interleukin-1 receptor antagonist mediates anti-inflammatory and neuroprotective actions of cannabinoids in neurons and glia. J Neurosci 2003, 23:6470-6474. [PubMed Abstract]

[47] Sugiura T, Kondo S, Sukagawa A, Nakane S, Shinoda A, Itoh K, Yamashita A, Waku K: 2-Arachidonoylglycerol: a possible endogenous cannabinoid receptor ligand in brain. Biochem Biophys Res Commun 1995, 215:89-97. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[48] Williams EJ, Walsh FS, Doherty P: The FGF receptor uses the endocannabinoid signaling system to couple to an axonal growth response. J Cell Biol 2003, 160:481-486. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[49] Glass M: The role of cannabinoids in neurodegenerative diseases. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2001, 25:743-765. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[50] Page SA, Verhoef MJ, Stebbins RA, Metz LM, Levy JC: Cannabis use as described by people with multiple sclerosis. Can J Neurol Sci 2003, 30:201-205. [PubMed Abstract]

[51] Baker D, Pryce G, Croxford JL, Brown P, Pertwee RG, Huffman JW, Layward L: Cannabinoids control spasticity and tremor in a multiple sclerosis model. Nature 2000, 404:84-87. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[52] Baker D, Pryce G: The therapeutic potential of cannabis in multiple sclerosis. Expert Opin Investig Drugs 2003, 12:561-567. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[53] Klein TW, Newton CA, Nakachi N, Friedman H: Delta 9-tetrahydrocannabinol treatment suppresses immunity and early IFN-gamma, IL-12, and IL-12 receptor beta 2 responses to Legionella pneumophila infection. J Immunol 2000, 164:6461-6466. [PubMed Abstract]

[54] Munro S, Thomas KL, Abu-Shaar M: Molecular characterization of a peripheral receptor for cannabinoids. Nature 1993, 365:61-65. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[55] Munckhof WJ, Konstantinos A, Wamsley M, Mortlock M, Gilpin C: A cluster of tuberculosis associated with use of a marijuana water pipe. Int J Tuberc Lung Dis 2003, 7:860-865. [PubMed Abstract]

[56] Lyman WD, Sonett JR, Brosnan CF, Elkin R, Bornstein MB: Delta 9-tetrahydrocannabinol: a novel treatment for experimental autoimmune encephalomyelitis. J Neuroimmunol 1989, 23:73-81. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[57] Fernandez JR, Allison DB: Rimonabant Sanofi-Synthelabo. Curr Opin Investig Drugs 2004, 5:430-435. [PubMed Abstract]

[58] van Oosten BW, Killestein J, Mathus-Vliegen EM, Polman CH: Multiple sclerosis following treatment with a cannabinoid receptor-1 antagonist. Mult Scler 2004, 10:330-331. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[59] Berdyshev EV, Boichot E, Germain N, Allain N, Anger JP, Lagente V: Influence of fatty acid ethanolamides and delta9-tetrahydrocannabinol on cytokine and arachidonate release by mononuclear cells. Eur J Pharmacol 1997, 330:231-240. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[60] Melamede RJ: Indications for Cannabinoids: Autoimmune Diseases. Cannabis and Cannabinoids, Pharmacology, Toxicology and Therapeutic Potential 2000.

[61] Gubellini P, Picconi B, Bari M, Battista N, Calabresi P, Centonze D, Bernardi G, Finazzi-Agro A, Maccarrone M: Experimental parkinsonism alters endocannabinoid degradation: implications for striatal glutamatergic transmission. J Neurosci 2002, 22:6900-6907. [PubMed Abstract]

[62] Gilgun-Sherki Y, Melamed E, Mechoulam R, Offen D: The CB1 Cannabinoid Receptor Agonist, HU-210, Reduces Levodopa-Induced Rotations in 6-Hydroxydopamine-Lesioned Rats. Pharmacol Toxicol 2003, 93:66-70. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[63] Di Marzo V, Hill MP, Bisogno T, Crossman AR, Brotchie JM: Enhanced levels of endogenous cannabinoids in the globus pallidus are associated with a reduction in movement in an animal model of Parkinson's disease. FASEB J 2000, 14:1432-1438. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[64] Mechoulam R, Hanu L: The cannabinoids: an overview. Therapeutic implications in vomiting and nausea after cancer chemotherapy, in appetite promotion, in multiple sclerosis and in neuroprotection. Pain Res Manag 2001, 6:67-73. [PubMed Abstract]

[65] Tramer MR, Carroll D, Campbell FA, Reynolds DJ, Moore RA, McQuay HJ: Cannabinoids for control of chemotherapy induced nausea and vomiting: quantitative systematic review. BMJ 2001, 323:16-21. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[66] Guzman M, Sanchez C, Galve-Roperh I: Cannabinoids and cell fate. Pharmacol Ther 2002, 95:175-184. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[67] Parolaro D, Massi P, Rubino T, Monti E: Endocannabinoids in the immune system and cancer. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 2002, 66:319-332. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[68] McKallip RJ, Lombard C, Fisher M, Martin BR, Ryu S, Grant S, Nagarkatti PS, Nagarkatti M: Targeting CB2 cannabinoid receptors as a novel therapy to treat malignant lymphoblastic disease. Blood 2002, 100:627-634. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[69] Casanova ML, Blazquez C, Martinez-Palacio J, Villanueva C, Fernandez-Acenero MJ, Huffman JW, Jorcano JL, Guzman M: Inhibition of skin tumor growth and angiogenesis in vivo by activation of cannabinoid receptors. J Clin Invest 2003, 111:43-50. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[70] Sanchez C, Galve-Roperh I, Canova C, Brachet P, Guzman M: Delta9-tetrahydrocannabinol induces apoptosis in C6 glioma cells. FEBS Lett 1998, 436:6-10. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[71] Melck D, De Petrocellis L, Orlando P, Bisogno T, Laezza C, Bifulco M, Di Marzo V: Suppression of nerve growth factor Trk receptors and prolactin receptors by endocannabinoids leads to inhibition of human breast and prostate cancer cell proliferation. Endocrinology 2000, 141:118-126. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[72] Wilson RGJ, Tahir SK, Mechoulam R, Zimmerman S, Zimmerman AM: Cannabinoid enantiomer action on the cytoarchitecture. Cell Biol Int 1996, 20:147-157. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[73] Portella G, Laezza C, Laccetti P, De Petrocellis L, Di Marzo V, Bifulco M: Inhibitory effects of cannabinoid CB1 receptor stimulation on tumor growth and metastatic spreading: actions on signals involved in angiogenesis and metastasis. FASEB J 2003, 17:1771-1773. [PubMed Abstract]

[74] Ligresti A, Bisogno T, Matias I, De Petrocellis L, Cascio MG, Cosenza V, D'argenio G, Scaglione G, Bifulco M, Sorrentini I, Di Marzo V: Possible endocannabinoid control of colorectal cancer growth. Gastroenterology 2003, 125:677-687. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[75] Blazquez C, Gonzalez-Feria L, Alvarez L, Haro A, Casanova ML, Guzman M: Cannabinoids inhibit the vascular endothelial growth factor pathway in gliomas. Cancer Res 2004, 64:5617-5623. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[76] Gardner B, Zhu LX, Sharma S, Tashkin DP, Dubinett SM: Methanandamide increases COX-2 expression and tumor growth in murine lung cancer. FASEB J 2003.

[77] Kehl LJ, Hamamoto DT, Wacnik PW, Croft DL, Norsted BD, Wilcox GL, Simone DA: A cannabinoid agonist differentially attenuates deep tissue hyperalgesia in animal models of cancer and inflammatory muscle pain. Pain 2003, 103:175-186. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[78] Ware MA, Doyle CR, Woods R, Lynch ME, Clark AJ: Cannabis use for chronic non-cancer pain: results of a prospective survey. Pain 2003, 102:211-216. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[79] Berman J, Lee J, Cooper M, Cannon A, Sach J, McKerral S, Taggart M, Symonds C, Fishe K, Birch R: Efficacy of two cannabis-based medicinal extracts for relief of central neuropathic pain from brachial plexus avulsion: results of a randomised controlled trial. Anaesthesia 2003, 58:938. [Publisher Full Text]

[80] Smart D, Gunthorpe MJ, Jerman JC, Nasir S, Gray J, Muir AI, Chambers JK, Randall AD, Davis JB: The endogenous lipid anandamide is a full agonist at the human vanilloid receptor (hVR1). Br J Pharmacol 2000, 129:227-230. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[81] Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D: The capsaicin receptor: a heat-activated ion channel in the pain pathway. Nature 1997, 389:816-824. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[82] Walker JM, Huang SM: Endocannabinoids in pain modulation. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 2002, 66:235-242. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[83] Walker JM, Hohmann AG, Martin WJ, Strangman NM, Huang SM, Tsou K: The neurobiology of cannabinoid analgesia. Life Sci 1999, 65:665-673. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[84] Rice AS, Farquhar-Smith WP, Nagy I: Endocannabinoids and pain: spinal and peripheral analgesia in inflammation and neuropathy. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 2002, 66:243-256. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[85] Wade DT, Robson P, House H, Makela P, Aram J: A preliminary controlled study to determine whether whole-plant cannabis extracts can improve intractable neurogenic symptoms. Clin Rehabil 2003, 17:21-29. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[86] Yesilyurt O, Dogrul A, Gul H, Seyrek M, Kusmez O, Ozkan Y, Yildiz O: Topical cannabinoid enhances topical morphine antinociception. Pain 2003, 105:303-308. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[87] Hall W, Degenhardt L: Medical marijuana initiatives: are they justified? How successful are they likely to be? CNS Drugs 2003, 17:689-697. [PubMed Abstract]

[88] Abrams DI: Medical marijuana: tribulations and trials. J Psychoactive Drugs 1998, 30:163-169. [PubMed Abstract]

[89] Grotenhermen F: Pharmacokinetics and pharmacodynamics of cannabinoids. Clin Pharmacokinet 2003, 42:327-360. [PubMed Abstract]

[90] Novotny M, Lee ML, Bartle KD: A possible chemical basis for the higher mutagenicity of marijuana smoke as compared to tobacco smoke. Experientia 1976, 32:280-282. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[91] Wu TC, Tashkin DP, Djahed B, Rose JE: Pulmonary hazards of smoking marijuana as compared with tobacco. N Engl J Med 1988, 318:347-351. [PubMed Abstract]

[92] Sidney S, Quesenberry CPJ, Friedman GD, Tekawa IS: Marijuana use and cancer incidence (California, United States). Cancer Causes Control 1997, 8:722-728. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[93] Minna JD: Nicotine exposure and bronchial epithelial cell nicotinic acetylcholine receptor expression in the pathogenesis of lung cancer. J Clin Invest 2003, 111:31-33. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[94] Heeschen C, Jang JJ, Weis M, Pathak A, Kaji S, Hu RS, Tsao PS, Johnson FL, Cooke JP: Nicotine stimulates angiogenesis and promotes tumor growth and atherosclerosis. Nat Med 2001, 7:833-839. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[95] Blazquez C, Casanova ML, Planas A, Del Pulgar TG, Villanueva C, Fernandez-Acenero MJ, Aragones J, Huffman JW, Jorcano JL, Guzman M: Inhibition of tumor angiogenesis by cannabinoids. FASEB J 2003, 17:529-531. [PubMed Abstract]

[96] Zhang ZF, Morgenstern H, Spitz MR, Tashkin DP, Yu GP, Marshall JR, Hsu TC, Schantz SP: Marijuana use and increased risk of squamous cell carcinoma of the head and neck. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 1999, 8:1071-1078. [PubMed Abstract]

[97] Gieringer D, Laurent SJ, Goodrich S: Cannabis Vaporizer Combines Efficient Delivery of THC with Effective Suppression of Pyrolytic Compounds. Journal of Cannabis Therapeutics 4:7-27. [Publisher Full Text]

[98] Gowling L, Ali R, White J: Respiratory Harms of Smoked Cannabis. Adelaide Australia: Drug and Alcohol Services Council; 2000.[PubMed Abstract]

[99] Agurell S, Halldin M, Lindgren JE, Ohlsson A, Widman M, Gillespie H, Hollister L: Pharmacokinetics and metabolism of delta 1-tetrahydrocannabinol and other cannabinoids with emphasis on man. Pharmacol Rev 1986, 38:21-43. [PubMed Abstract]

[100] Yamamoto I, Watanabe K, Narimatsu S, Yoshimura H: Recent advances in the metabolism of cannabinoids. Int J Biochem Cell Biol 1995, 27:741-746. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[101] Bornheim LM, Everhart ET, Li J, Correia MA: Induction and genetic regulation of mouse hepatic cytochrome P450 by cannabidiol. Biochem Pharmacol 1994, 48:161-171. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[102] Tretyakova N, Matter B, Jones R, Shallop A: Formation of benzo[a]pyrene diol epoxide-DNA adducts at specific guanines within K-ras and p53 gene sequences: stable isotope-labeling mass spectrometry approach. Biochemistry 2002, 41:9535-9544. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[103] Pellinen P, Honkakoski P, Stenback F, Niemitz M, Alhava E, Pelkonen O, Lang MA, Pasanen M: Cocaine N-demethylation and the metabolism-related hepatotoxicity can be prevented by cytochrome P450 3A inhibitors. Eur J Pharmacol 1994, 270:35-43. [PubMed Abstract]

[104] Deutsch DG, Tombler ER, March JE, Lo SH, Adesnik M: Potentiation of the inductive effect of phenobarbital on cytochrome P450 mRNAs by cannabidiol. Biochem Pharmacol 1991, 42:2048-2053. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[105] Cichewicz DL, McCarthy EA: Antinociceptive synergy between delta(9)-tetrahydrocannabinol and opioids after oral administration. J Pharmacol Exp Ther 2003, 304:1010-1015. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[106] Marchese G, Casti P, Ruiu S, Saba P, Sanna A, Casu G, Pani L: Haloperidol, but not clozapine, produces dramatic catalepsy in {Delta}9-THC-treated rats: possible clinical implications. Br J Pharmacol 2003.

[107] Khanna P, Gupta MB, Gupta GP, Sanwal GG, Ali B: Influence of chronic oral intake of cannabis extract on oxidative and hydrolytic metabolism of xenobiotics in rat. Biochem Pharmacol 1991, 41:109-113. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[108] Prigogine I: From Being to Becoming. San Fransisco: W.H. Freeman; 1980.

[109] Park B, McPartland JM, Glass M: Cannabis, cannabinoids and reproduction. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 2004, 70:189-197. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[110] Lepore M, Vorel SR, Lowinson J, Gardner EL: Conditioned place preference induced by delta 9-tetrahydrocannabinol: comparison with cocaine, morphine, and food reward. Life Sci 1995, 56:2073-2080. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[111] Tanda G, Munzar P, Goldberg SR: Self-administration behavior is maintained by the psychoactive ingredient of marijuana in squirrel monkeys. Nat Neurosci 2000, 3:1073-1074. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[112] Justinova Z, Tanda G, Redhi GH, Goldberg SR: Self-administration of Delta(9)-tetrahydrocannabinol (THC) by drug naive squirrel monkeys. Psychopharmacology (Berl) 2003, 169:135-140. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[113] Fattore L, Cossu G, Martellotta CM, Fratta W: Intravenous self-administration of the cannabinoid CB1 receptor agonist WIN 55,212-2 in rats. Psychopharmacology (Berl) 2001, 156:410-416. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[114] Ameri A: The effects of cannabinoids on the brain. Prog Neurobiol 1999, 58:315-348. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[115] Gardner EL: Addictive potential of cannabinoids: the underlying neurobiology. Chem Phys Lipids 2002, 121:267-290. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[116] Marinelli M, Piazza PV: Interaction between glucocorticoid hormones, stress and psychostimulant drugs. Eur J Neurosci 2002, 16:387-394. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[117] Di S, Malcher-Lopes R, Halmos KC, Tasker JG: Nongenomic glucocorticoid inhibition via endocannabinoid release in the hypothalamus: a fast feedback mechanism. J Neurosci 2003, 23:4850-4857. [PubMed Abstract]

[118] Whitlow CT, Freedland CS, Porrino LJ: Functional consequences of the repeated administration of Delta(9)-tetrahydrocannabinol in the rat. Drug Alcohol Depend 2003, 71:169-177. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[119] Marsicano G, Wotjak CT, Azad SC, Bisogno T, Rammes G, Cascio MG, Hermann H, Tang J, Hofmann C, Zieglgansberger W, Di Marzo V, Lutz B: The endogenous cannabinoid system controls extinction of aversive memories. Nature 2002, 418:530-534. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[120] De Vries TJ, Homberg JR, Binnekade R, Raaso H, Schoffelmeer AN: Cannabinoid modulation of the reinforcing and motivational properties of heroin and heroin-associated cues in rats. Psychopharmacology (Berl) 2003, 168:164-169. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[121] Ledent C, Valverde O, Cossu G, Petitet F, Aubert JF, Beslot F, Bohme GA, Imperato A, Pedrazzini T, Roques BP, Vassart G, Fratta W, Parmentier M: Unresponsiveness to cannabinoids and reduced addictive effects of opiates in CB1 receptor knockout mice. Science 1999, 283:401-404. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[122] Norwood CS, Cornish JL, Mallet PE, McGregor IS: Pre-exposure to the cannabinoid receptor agonist CP 55940 enhances morphine behavioral sensitization and alters morphine self-administration in Lewis rats. Eur J Pharmacol 2003, 465:105-114. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[123] Vigano D, Grazia Cascio M, Rubino T, Fezza F, Vaccani A, Di Marzo V, Parolaro D: Chronic morphine modulates the contents of the endocannabinoid, 2-arachidonoyl glycerol, in rat brain. Neuropsychopharmacology 2003, 28:1160-1167. [PubMed Abstract]

[124] Yamaguchi T, Hagiwara Y, Tanaka H, Sugiura T, Waku K, Shoyama Y, Watanabe S, Yamamoto T: Endogenous cannabinoid, 2-arachidonoylglycerol, attenuates naloxone-precipitated withdrawal signs in morphine-dependent mice. Brain Res 2001, 909:121-126. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[125] Fattore L, Martellotta MC, Cossu G, Mascia MS, Fratta W: CB1 cannabinoid receptor agonist WIN 55,212-2 decreases intravenous cocaine self-administration in rats. Behav Brain Res 1999, 104:141-146. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[126] Balerio GN, Aso E, Berrendero F, Murtra P, Maldonado R: Delta9-tetrahydrocannabinol decreases somatic and motivational manifestations of nicotine withdrawal in mice. Eur J Neurosci 2004, 20:2737-2748. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[127] Basavarajappa BS, Hungund BL: Role of the endocannabinoid system in the development of tolerance to alcohol. Alcohol Alcohol 2004.[PubMed Abstract]

[128] Le Foll B, Goldberg SR: Cannabinoid CB1 antagonists as promising new medications for drug dependence. J Pharmacol Exp Ther 2004.[PubMed Abstract]

[129] Zammit S, Allebeck P, Andreasson S, Lundberg I, Lewis G: Self reported cannabis use as a risk factor for schizophrenia in Swedish conscripts of 1969: historical cohort study. BMJ 2002, 325:1199. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[130] Patton GC, Coffey C, Carlin JB, Degenhardt L, Lynskey M, Hall W: Cannabis use and mental health in young people: cohort study. BMJ 2002, 325:1195-1198. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text][PubMed Central Full Text]

[131] Bersani G, Orlandi V, Kotzalidis GD, Pancheri P: Cannabis and schizophrenia: impact on onset, course, psychopathology and outcomes. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci 2002, 252:86-92. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[132] De Marchi N, De Petrocellis L, Orlando P, Daniele F, Fezza F, Di Marzo V: Endocannabinoid signalling in the blood of patients with schizophrenia. Lipids Health Dis 2003, 2:5. [PubMed Abstract] [BioMed Central Full Text] [PubMed Central Full Text]

[133] Torrey EF, Yolken RH: The schizophrenia-rheumatoid arthritis connection: infectious, immune, or both? Brain Behav Immun 2001, 15:401-410. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[134] Jones-Brando L, Torrey EF, Yolken R: Drugs used in the treatment of schizophrenia and bipolar disorder inhibit the replication of Toxoplasma gondii. Schizophr Res 2003, 62:237-244. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[135] Fride E, Ginzburg Y, Breuer A, Bisogno T, Di Marzo V, Mechoulam R: Critical role of the endogenous cannabinoid system in mouse pup suckling and growth. Eur J Pharmacol 2001, 419:207-214. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]

[136] Mechoulam R, Spatz M, Shohami E: Endocannabinoids and neuroprotection. Sci STKE 2002, 2002:RE5. [PubMed Abstract]

[137] Krylatov AV, Uzhachenko RV, Maslov LN, Bernatskaya NA, Makriyannis A, Mechoulam R, Pertwee RG, Sal'nikova OM, Stefano JB, Lishmanov Y: Endogenous cannabinoids improve myocardial resistance to arrhythmogenic effects of coronary occlusion and reperfusion: a possible mechanism. Bull Exp Biol Med 2002, 133:122-124. [PubMed Abstract] [Publisher Full Text]



●参考リンク集

Pro Links

Con Links

Omni Links