カナビス製品のリスクと害削減

入手にあたって注意すべきこと


カナビス製品には異物混入や効力の不安定さなどさまざまなリスクがある。どれもカナビスそものもがもたらすリスクというより、禁止されていることで品質規制や検査したりする機関がないことが大きな原因になっている。

隠れて不法に栽培や供給する側はユーザーの健康などは考慮しないし、品質の悪いものをつかまされたユーザーのほうも逮捕されかねないので訴えることもできない。禁止法が作り出しているこうした無責任で野放図な状態が人々の健康を害する結果を招いている。


高効力 = 危険、という神話

カナビス製品の品質をリスク面からみると、実は、効力自体はあまりリスクにはならない。そもそも、カナビスには致死量が存在しないので、多量に摂取してバッド・トリップに陥ることはあっても死ぬリスクはない。また、効力が強ければその分だけ喫煙後すぐに効果が自覚できるので、少し経験を積めば自分の適量を判断して効き目をコントロールできるようになる。

このことは、慣れればむしろ効力の強いカナビスのほうがリスクが少なくなることを示唆している。喉が熱にさらされる時間が減り、吸い込む煙の量が少なくなる分だけタールなどの有害物質の摂取量も減る。

確かに、初心者がいきなり高効力のカナビスを使うことは危険な行為だが、一人ではなく経験者の指導を受けて、まず使用量の上限を決めてから試せば余り問題にならない。

むしろ効力の弱いものを使って効果が十分に自覚できずに続けて惰性で過剰に吸ってしまうと依存性に陥りやすい。実際、適度な効力のカナビスをきちっと吸えば、たいていはきちんとハイになるので続けて吸いたくはなくなる。その分、リスクは少なくなる。これは、ナイフと似ている。切れないナイフでは、無理な力を加え過ぎて思わぬ怪我を招くことがある。

低品質カナビスのリスク
  • 使用量がふえる分だけ喉が熱にさらされる時間が長く、吸い込む煙の量も増えてタールなどの有害物質の摂取量も増える。
  • 効果が十分に自覚できずに惰性で過剰に吸ってしまい、依存性に陥りやすい。
  • 増量や効力増強のためにさまざまな異物が混入されるリスクが高い。
高品質カナビスのメリット
  • 効果に合わせて、吸う量をユーザー自身が調整できる。
  • 喉が熱にさらされる時間が減り、吸い込む煙の量が少なくなる分だけタールなどの有害物質の摂取量も減る。
  • 使用量の上限を決めやすい。
  • 異物混入のリスクが少ない。

初心者へのアドバイス
初めてカナビスを吸った人の中には、自分には効かないと思い込んでいる人もいる。これは、吸い方が悪く十分に煙が肺に到達していない場合が多い。煙をただフカすのではなく、意識的にきちんと吸い込むようにする。また、実際には効いているのに初心者は気がつかない場合もある。1か月くらいかけて何回もやらないと本当の効き方が分かるようにはならない、とあせらずじっくり構えよう。

オランダのコーヒーショップなどで売っているジョイントは、普通、タバコが混ぜられているので燃えた長さで摂取量の見当を付けるのは難しい。買う場合にはタバコの混じっていない 「ピュア・ジョイント」 を買えばよいが、残念ながらピュア・ジョイントは売っていない場合ほうが多い。そうした場合は、初心者にはジョイントを巻くことが難しいので、親切そうな人に頼むか小型のパイプを買っておくとよい。

まず、一本をゆっくりと吸ってみて最低15分以上はどのように効いてくるか神経を集中して観察しよう。その間はできるだけ飲んだり食べたりしないようにする。特にアルコールの併用は効果の学習の妨げになるので絶対にしてはならない。


マリファナのリスク

マリファナは狭義には、カナビス植物の葉を乾燥してお茶のように細かく粉状にしたもので、穂そのものを乾燥させたバッズとは異なる。マリファナは葉の原型をとどめず粉になっているので、いろいろなものが混入されているリスクが常に伴う。

当然、効力の弱い植物下部の葉やオスの葉などが入っているが、増量のために形状や色の似ているオレガノやキャトニップなどのスパイスが混ぜられていることもある。

また、効力を増強するためにアニマル・トランキライザーやPCP(Angel Dust)、時にはハード・ドラッグなどが混ぜられることもある。ホルムアルデヒドに漬けるという方法も知られている。

さらに、大がかりな密輸ではマリファナを圧縮してプレートやブロック状にされるが、粘着しやすくするためにフルーツ・ジュースなどが加えられビニールなどで密封される。こうした嫌気環境は危険なボツリヌス菌などが繁殖しやすい。

オランダのコーヒーショップではこうしたリスクを避けるために、植物の原型が確認できるバッズしか販売しないようになった。バッズはメスの穂であることが一目でわかるので異物が混入している危険は少なく、香りを嗅げばカビや不自然な薬品の付着にも気づきやすい。現在ではマリファナには商品価値はなくなっている。

初心者へのアドバイス
現在では、マリファナをリーフとかやブレンド物などと呼んで販売している売人もいるが、まず、きちんとしたバッズを持ってないか聞いてみたほうがよい。バッズも持っていないような手合は信用できない。


ハシシのリスク

ハシシはマリファナ以上に原型をとどめていないので、増量のためにさまざまな物質が混入されていることがある。こうした例では、イギリスでソープバーがよく知られている。ソープバーの混ぜ物としては、アニマル・トランキライザー、ケタミン、アスピリン、粘着のためのテレピンや蜂蜜、着色用のヘンナやコーヒーや靴研クリーム、燃焼をよくするためのジーゼルやベンゼン、トルエンなどがあり、本物のハシシはごくわずかしか入っていないといわれている。
Smoking SOAP = Smoking POISON

しかし、もともとハシシは産地が限られていて特徴があるので、ベテランは見ただけでたいてい見当が付く。また、ライターで少し温めると泡だったり、形状が簡単に崩れたりする。灰皿の上で少量のハシシにライターで火をつければよく燃えて油の輪ができる。不純物が多ければ燃えカスも不均一で粗く、きれいな輪もできない。

また、最近のハシシはバッズを原料にしてアイソレーターで作ることが多くなってきたが、この方法で製造されたアイスハシシは粒子が細かく均一で植物の細胞の原型をとどめているので判定が割りと容易にできる。安全性が高く、効力も強い。


農薬、化学肥料のリスク

農薬や化学肥料のリスクは普通の農産物の問題と同じで余り深刻ではないという人もいる。しかし、カナビス栽培はもともと違法なので基準や罰則もないので過剰に使われている危険がある。

特に問題になっているのは医療患者向けのカナビスの安全性で、農薬のために体調を崩したとされる例が報告されている。また、化学肥料の放射能が危険だとする報告もある。同じことは妊娠している人や胎児へのリスク要因にもなりうる。


いずれにしても、このような背景から、最近ではオランダのコーヒーショップなどでもオルガニック栽培されたカナビスが注目を集めている。一般にオルガニック栽培は手間をかけるので農薬の使用リスクが少なく、化学肥料も使わないので放射能の危険も少ないとされている。そのうえ、香りや味もよいと言われている。また、意外だが、ピュアなカナビスほど咳を誘発しやすいとも言われている。

農薬や肥料などに化学物質が多く使われている場合は、一般にケミカルな匂いがする。また、燃やすと黒っぽくなったり、パチパチはじけたり、煙が落ち着かずメローに燃えない。


虫食、カビのリスク

普通、食品が虫食だっやりカビていたら食べない。しかし、カナビスは高価で貴重なために無理して使おうとする。特に、マリファナにはそうしたものが混入されている可能性があるので注意が必要だ。


(左図)Cannabis and Cannabinoids, F.Grotenhermen & E.Russo editor. 339p
The Haworth Integrative Healing Press, New York, 2002
(右表)An evaluation of the quality of medicinal grade cannabis in the Netherlands
Arno Hazekamp,Cannabinoids 2006;1(1):1-9
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カビには皮膚障害や肺炎など肺の感染症を引き起こすものもある。アスペルギルスがよく知られているが、燃やしても胞子は生き残こるので、特に体の弱い医療患者では命にかかわることもある。

また、右表から分かるように、コーヒーショップ・カナビスのカビ・コロニー数は、医療許容限度以内のものはなく、医療的にみればすべて汚染されている。これは、政府の医療カナビスにはガンマ線照射が義務づけられているという事情もあるが、コーヒーショップのカナビスは主に品種で値段が決まってしまうので収穫後の後工程に対する評価があまり重視されておらず、そのために後工程の技術が成熟していないという事情も反映している。

初心者へのアドバイス
虫食やカビなどは外見や匂いで判断できるので、普段から注意することが重要だ。吸う前にはかならず香りを嗅ぐ習慣を身につけよう。普段から香りチェックをしていると、カビだけではなく、ディーラーの扱っているカナビスの鮮度を知ることもできる。

新鮮なカナビスにはシトラルなどの芳香性がある。芳香性物質は速やかに揮発してやがて香りは弱くなるので鮮度の指標になる。また香りの強さ自体は直接THCの濃度に関係するわけではないが、THCも時間が経てばCBNに変化して効力を失うのでその度合の見当をつけることもできる。

普通、ハシシにも香りはあるが、THCが50%ちかい最高純度のアイスハシシでは精製過程で香りの成分が抜けてほとんど無臭になる。匂いの強いハシシはケミカルな感じがしないか注意したほうがよい。