カナビスの酔いのピークと持続時間


酔いの強さは血液中のTHC濃度で表す

当然のことながら、カナビスの酔いはアルコールと同様に、同じ量を同じ方法で同じように摂取してもいつも同じようになるとは限らないが、アルコールの酔いの程度が血中濃度で客観的に示されるように、カナビスでも血液中のTHCの濃度で酔いの状態の見当をつけることができる。

カナビスの血中THC濃度は、吸ったっ場合には肺から吸収されて数分以内にピークに達することが知られている。この迅速性は、吸いながら意識的にピークを調整できるというカナビスの安全性の特徴にもつながっている。また、ゆっくり浅く吸うのと、急いよく深く吸うのとではピークの形が変わることも意味している。


Developing Science-Based Per Se Limits for Driving under the Influence of Cannabis
Franjo Grotenhermen et al., IACM, 2005.



ピークは吸っている間におとずれる

ジョイントを1本吸うのには、急いで吸った時は5分、ゆっくりでは15〜20分ぐらいかかる。パフの間隔は30〜40秒で、回数は15〜30回ぐらいになっている。

ジョイントの喫煙時間と血中THC濃度のピークまでの時間を比較した実験では、ジョイントを半分程度吸った時点で濃度がピークに達していることが示されている。


Marijuana Smoking: Factors that Influence the Bioavailability of Tetrahydrocannibinol.


喫煙者が実際にピークを感じるのには血中THC濃度にピークとは若干タイムラグがあるが、慣れれば、一服目からヒットを感じて、数服で体感ピークの状態を予想できるようになる。たいていの場合は、欲ばらずに十分と思う一歩手前のところで中断すると、心地よいピークが体感できる。これは、血中濃度のピークとのタイムラグが影響しているためだと思われる。


吸い方でピークの形は異なる

喫煙のよるTHCの吸収の早さは、ピークの形が吸い方によって影響を受けることを意味している。実際、実験でも急いで深く吸い込むと、ピークが早く鋭くなることが示されている。

このことは、ボングで一気に多量の煙を吸い込んだ場合に、ジョイントよりもピークが早く鋭くなることからもわかる。また、効力の弱いカナビスでは吸うのに時間がかかって、思うようにピークが形成できないことも示している。


Marijuana Smoking: Factors that Influence the Bioavailability of Tetrahydrocannibinol.


しかしながら、常にピークが早く鋭いほうがよいとは限らない。特に医療的にカナビスを使ったり、作業の集中度を高めたり、クリエーティブが仕事をする場合にはある程度持続的でフラットなピークの方が好ましい。そのためには、確実に効く高効力のカナビスを間隔を開けて少しづつ吸ってピークをコントロールすることが必要で、効力の弱いカナビスでは吸う回数が多くなって調整が難しい。


ピークの調整と安全性

カナビス・スモーカーは、慣れれば吸いながら自分の吸う必要量を自然と加減するようになるが、実験でも、ジョイントの吸入量(排気量)が序々に減っていって、前半と後半では約半分になっていることが示されている。

カナビス喫煙に備わったこうした自己調整機能は、摂取してから酔ってくるまでに時間がかかるアルコールやLSD、エクスタシーなどには見られない特徴で、カナビスには致死量がない という特徴と相まって、カナビス使用の安全性につながっている。


Marijuana Smoking: Factors that Influence the Bioavailability of Tetrahydrocannibinol.


しかしながら、カナビスを食べた場合には喫煙のような調整ができないので、適量が不明な場合は、最初に標準量の半分ぐらいを食べて、30分ほど様子を見てから残りを食べるかどうか決めるようにする必要がある。すでに自分の適量がわかっている場合には、割り合いピークは安定している。


酔いの持続時間

カナビスの酔いの継続時間については、喫煙の場合はそれほど個人差はないが、食べた場合には個人によって強さや持続時間が大きくな幅がある。
   
喫煙
持続時間1〜4時間
発現までの時間0〜10分
ピークまでの時間5〜10分
効いている時間15〜30分
効果が醒めてくる時間45〜180分
       
食用
持続時間4〜10時間
発現までの時間30〜120分
ピークまでの時間30〜180分
効いている時間2〜5時間
効果が醒めてくる時間3〜6時間


実際には、1回のセッションで時間をおいて繰り返し吸うのでトリップ時間はそれだけ長くなる。下のグラフは、アムステルダムとサンフランシスコの調査で、リクレーショナルでカナビスを使う人がどの程度の時間トリップしているかを示している。予想されるように、最も頻繁に使っている時期のトリップ時間が一番長いが、その時期を過ぎると大半の人が1〜2時間程度になっている。


Cannabis in Amsterdam and in San Francisco
Reinarman, et al., American Journal of Public Health , May 2004, Vol 94, No. 5